長期休業の社員を解雇する場合もプロセスが重要!
こんにちは!社会保険労務士の吉永晋治です。
季節の変わり目ですが皆様は体調など崩されていませんか?
今日は育児休業と解雇についてお話したいと思います。
先日ある社長からこんな質問を受けました。
「育児休業を取得した女子社員が2年経っても保育園が決まらないとの理由で職場復帰しないのだけど、解雇しても問題ないか?」との内容でした。
皆様はどう思われますか?
育児休業は育児・介護休業法(正式名はすごく長いので省略します)で次のように定められています。
『労働者は、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。また保育園が決まらないなど一定の条件を満たした場合は1歳6ヶ月に達するまでの間も休業することができる』。
つまり事業主側は一部の例外を除いて労働者から育児休業の申し出を受けた場合はそれを拒否できません。
これは女性だけでなく男性にも適用されます。
さてそれでは上記の社長の質問の回答に答えましょう。
結論から申し上げますと法律で定めている育児休業は最大1年6ヶ月ですから2年経っても復職しない従業員を解雇することは適法です。
しかし解雇については解雇権の乱用と認定されてしまうと、その解雇は無効となってしまいます。
矛盾したことを言いますが、上記労働者にいきなり解雇を告げることは解雇権の乱用と受け取られる可能性が強いと考えられます。
それではどうしたらいいのか?私は労働基準監督署に相談に出かけました。
社労士なのにそんな解決策も出せないのか?とお叱りを受けそうですが、後でお客様に迷惑をかけてしまうのが一番つらいのでプライドを捨てて労働基準監督署の判断を尋ねてみました。
「出産から2年経っても復職しない社員を解雇することは法的に問題ありません。ただ解雇権の乱用と見られないためにはプロセスを踏んで下さい。
具体的には、(1)まず貴方の代わりに他の人を雇いたいので退職して欲しいと退職勧奨する、(2)その上で自主退社してくれれば解雇予告手当てにいくらか上乗せして退職金代わりに支払いますと告げる、(3)それでも応じないようであれば、1週間以内に自主退社に応じない場合は解雇してしまうと最後通告する。
ここまでプロセスを踏んだ上で最後の手段として解雇を通告して下さい」
以上が労働基準監督署の方の回答でした。
解雇をできるだけ避けたいという事業主の姿勢がポイントになるようです。
解雇についてはこうすれば大丈夫という明確なガイドラインはなく、ケースバイケースの対応が必要になります。
やむを得ず上記のような事例にぶつかったら専門家に意見を聴くことをお勧めします。
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(法人コンサルティング部・社会保険労務士 吉永晋治)