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火災保険で「臨時費用保険金のみ」請求しました

火災保険には、火災によって被った損害(修理代)などをカバーする
直接的な保険金(「損害保険金」と言います)だけではなく、
金額に換算しにくい雑多な費用をあらかじめ定められた計算式で算出し
補償する「臨時費用保険金」があります。

例えば火事で建物の一部が焼失し、100万円の損害があったとします。
そして火災保険から100万円がおりる場合、この100万円の30%、
つまり30万円が別途、臨時費用保険金としておりるのが一般的です。

火事にあったとなると、とても普通の状況ではありません。
はっきりと計算はできないかもしれませんが、
色々と余計なお金を使うはずです。
こうした、火事にさえ遭わなければ使わなかったであろう金銭(負担)を
カバーする目的で設けられているのが、「臨時費用保険金」です。

そして、この臨時費用保険金は自分が加入している火災保険を使わなくても、
単独でおりる場合があるのです。
実際に私が経験したケースをご紹介します。

ある方の紹介で、もうすぐ火災保険が切れてしまうという
Aさんをお訪ねしました。
Aさんは2階建ての賃貸アパートを所有しており、
そのアパートの火災保険が切れるということでした。
Aさんがこれまで加入していた保険は「住宅総合保険」という保険で、
アパートが新築された5年前からずっと加入をしてきたそうです。

私がひと通り、「住宅総合保険」がどういった時に保険がおりるのか
という説明をすると、Aさんはこんな話をされました。

「2年ほど前にアパートの入居者が車で
 (Aさんのアパート1階の)バルコニーにぶつかって
 直すのに100万円ぐらいかかってしまったんですよ。
 ブレーキとアクセルを間違えたんですかね。
 幸いその入居者が自動車保険に入っていて、
 その対物賠償保険でもって、
 100万円は全部払ってもらいましたよ...」

「...でも万が一その入居者が自動車保険に入っていなかったとしても、
 私(Aさん)の火災保険でも対象になったんですね。
 『外部からの物体の衝突』でしたっけ。そういう理由で
 アパートを修理しなければならない場合、火災保険が使えるなんて、
 その(車でぶつけられた)時には思いもしませんでした。」

私はその話を聞いて、「臨時費用保険金」の話をしました。
Aさんが言うとおり、たまたまぶつけた人の自動車保険が使えた訳ですが、
「外から車がぶつかって建物を破損させた」という「事故」は
Aさんの加入していた火災保険で補償される事由であり、
しかも臨時費用保険金の対象にもなる事由だったのです。

臨時費用保険金が払われるのに肝心なのは、
この「保険の対象となる事由」であるかどうかであり、
実際に修理代を補てんするものとして火災保険が使われたか
どうかは関係ありません。
このケースの場合、バルコニーの修理代は自動車保険から払われ
て完了しているので、火災保険に二重に請求することはできません。
ただ、臨時費用保険金については、これのみを請求することが可能なのです。

問題は一点、「事故」が起きてから2年を経過していたことです。
Aさんご加入の火災保険の約款を確認したところ、
損害が発生した時に契約者(この場合、Aさん)は
「・・・損害が生じたことを知ったときは、これを当会社(注・加入している
保険会社のこと)に遅滞なく通知し・・・」なければならない、
とされているのです。

しかしこの点も保険会社は次の理由で、臨時費用保険金の支払いに
応じてくれました。

まず、Aさんはこの「事故」で臨時費用保険金を請求できるということに
全く気付かず、そのことがAさん側の重大な落ち度とは認められないこと。
それから、これはかなり重要なことなのですが、「事故」が起きていた、
ということを写真や修理見積、車を運転していた入居者との示談書など
様々な書類で証明できたことです。
正直なところ、Aさんが関係書類一式をきちんと整理していなければ、
保険会社としても支払うのは難しかったと思われます。

結果としては、残されていた修理見積書から
バルコニーの修理にかかった費用は1,287,016円であり、
臨時費用保険金として、その30%の386,105円が
Aさん指定の銀行口座に振り込まれました。

Aさんには大変喜んでいただき、私としても保険を正しく伝えられたと
嬉しかったのですが、改めて、保険についての「説明」の重要性、
それから「保険というものは自ら請求をしないと払われないものである」
ことを思い知らされました。

※このケースは保険会社側も好意的に処理を進めてくれましたが、
「事故から時間が経っていても証拠書類さえ揃っていれば保険金は支払われる」
ということではありませんので、ご注意ください。

◎よ~く見てみよう 

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