不運では済まされない無保険車という存在
ここのところ当社のお客様が被害者となる自動車事故が立て続けに発生しました。
しかもそのほとんどが相手(加害者)が自動車保険(任意保険)に入っていなかったというケースです。
そのときにあるお客様から、次のようなことを言われました。
「保険に入っていなくて、車を運転していいのか」と・・・
確かに法律上は「強制保険」と通称される「自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)」には加入する義務がありますが、「任意保険」については加入していなくても罰則はありません。
しかし自賠責保険は対人事故のみが対象であるということに加え補償される金額も低く、あくまでも「最低限」加入しなければならないというレベルのものです。
自動車を運転する以上、対人のみならず対物事故も補償され、なおかつ補償金額を「無制限」に設定できる「任意保険」への加入は必須と言えるでしょう。
飲酒運転に対して、ようやく厳しい罰則が科されるようになった今、「飲んだら乗るな」から、「(任意保険に)入らないなら乗るな」を常識にしたいものです。
さて冒頭の被害にあわれたお客様ですが、幸いなことに共通してケガがなく、ご自身が乗られていた車の損害だけで済みました。
しかも「被害者になったときの補償」を十分につけていたために、ご自身の保険で自動車を修理することができたのでした。
むろんみなさんもご存じのように、自動車保険というのは「保険を使う」ことで翌年の保険料(掛け金)が(多少の差はあるものの)上がるようになっています(正確に言うと「上がる方向で算出される仕組みになっている」と言うべきでしょうか)ので、喜んでばかりもいられません。
自分は全く悪くないのに自分の保険を使って、翌年掛け金が上がってしまう。
何とも納得のいかない話ですが、残念ながら相手が無保険であった場合、多分にこの理不尽さを受け入れなければなりません。
ケガをさせられたり、モノ(車)を壊されたりした場合に、治療費や修理費を弁償してもらうというのは、「民事」賠償を加害者に対して請求することになります。
「警察は民事不介入」という言葉を聞いたことはないでしょうか。
「民事事件」は原則として当事者同士で解決しなければなりません。
しかも法律上は「被害者」の方がいろいろな証拠を集める必要がある(立証責任があるなどと言います)など、大変な立場に立つことになるのです。
例えば加害者側に賠償するだけのお金がない場合(賠償資力がないなどと言います)、被害者は泣き寝入りせざるをえません。
道徳的には明らかにおかしい話ですが、現実は悲しく冷たいものなのです。
こうなると自衛手段として、「被害者になったときにも補償される」保険を選択せざるをえません。
詳細は割愛しますが、車両保険、人身傷害保険、弁護士費用特約、こういった補償がみなさんの自動車保険の証券に記載されているか、是非一度ご確認ください。
(法人コンサルティング部 小鳥秀明)