平成12年4月1日に介護保険法が施行され、本年で10年となりました。
40歳から介護保険料も負担することだけではなく、実際に介護保険
制度を利用する場面で何をいくら保障してくれるか分りづらい点が
数多くありますね。
今回は、介護保険制度利用の概要についてお話ししたいと思います。
(1)介護保険制度の現状:認定者はガン患者の3倍です。
介護保険制度がスタートした平成12年4月に218万人だった要介護認
定者は、平成21年4月には469万人(115%増)、介護サービス受給
者は149万人から384万人(158%増)と10年で2倍以上となっている
ようです。
施設や介護の担い手不足や財源確保等の問題もあり、私たちの自己
負担もさらに増えそうな環境でもあります。
自宅介護と施設介護など自己負担の負担許容額によっては受ける介
護利用サービスの差も拡大してしまうのではないでしょうか。
(2)介護サービスを利用するための流れと自己負担額について
1.介護サービスを利用できる条件として、65歳以上の方の場合、
病気等の原因を問わずにサービスを受けることができます。
ただし40歳~64歳の方の場合は介護が必要になった事の原因が特定
疾病(末期がん、初老期における認知症、関節リウマチ、骨折を伴
う骨粗鬆症、脳血管疾患等)である場合に限り利用することができ
ます。
2.要介護認定として市区町村に申請し、「要介護認定」を受けます。
そして調査員の訪問調査や医師の意見により、介護の必要性から
7段階の認定結果が通知されます。
次に地域の支援センターや居宅介護支援事業者と相談の上で「ケア
プラン」が作成され、それに基づいて介護サービスを受けることと
なります。(要支援の場合は介護予防サービス)
サービスが決まると訪問介護や通所リハビリ等介護サービス利用料
の1割が自己負担額となります。
認定の段階により1ヶ月あたりの上限が異なります。
【区分ごとの1ヶ月の自己負担限度額】
要支援1 要支援2
4,970円 10,400円
要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
16,580円 19,480円 26,750円 30,600円 35,830円
これらは受けるサービスにより限度額に差が生じます。
3.高額介護サービス費として1ヶ月に支払った自己負担額の合計額
が37,200円(※1)を超えた時には、申請により超過分が「高額介
護サービス費」として後から支給されます。(※2)
なお、福祉用具購入費・住宅改修費の1割負担や、施設サービス等で
の食費、その他の日常生活費等は含まれません。
(3)介護休業、介護休業給付について
ご家族が介護を必要とされる状況になったとき、介護保険での経済的
負担軽減のみならず、実際には人手が必要になります。
法律(※3)では、2週間以上常時介護を必要とする状態にある家族
1人あたり、93日までの介護休業ができることとされています。
その間「給与のおよそ40%が介護休業給付」として支給されます。
(4)民間の介護保険について
生命保険・損害保険会社も介護を対象とした保険を販売し始めました。
いづれも「介護○○保険」とうたっていますが、保険金を請求できる基
準で各社違いがあります。
例えば公的介護保険との連動で要介護4以上から請求できる会社もあれ
ば、要介護2以上からでも請求できる会社もあります。
また一時金一回限りであったり、介護認定と連動で終身保障の年金が受
け取れる会社もありますのでご検討時には注意や比較検討が必要です。
公的介護保険では、特別養護老人ホームに入所した際の自己負担額や、
住宅改修の支給対象の範囲等、市区町村により違いがあります。
必ず事前にお住まいの市区町村窓口にご確認されることをお勧めします。
※1(同じ世帯内に複数の利用者がいる場合には、世帯合計額)
※2(世帯全員が住民税非課税の場合はさらに減額となります)
※3「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関
する法律」
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