最低賃金法の一部を改正する法律の施行について
厚生労働省は7月1日、都道府県労働局長宛に「最低賃金法の一部を改正する法律の施行について(平成20年7月1日基発第0701001号)」と題する通達を出しました。
主な内容は以下の通りです。
旧最低賃金法第1条では、業種別、職種別、地域別といった、最低賃金の多元的な決定方式を前提としていたが、今般、すべての労働者の賃金の最低額を保障する安全網としての第一義的な機能は地域別最低賃金が担うこと。
特定最低賃金については、地域別最低賃金の補完的役割を果たすものと位置づけたことに伴い、事業若しくは職業の種類又は地域に応じることとする部分を削除。
最低賃金額の表示単位について、旧法は時間、日、週又は月のほか、出来高又は業績の一定の単位によることとしていたが、新法では、賃金支払形態、所定労働時間等の異なる労働者間の公平の観点や就業形態の多様化への対応の観点、さらにはわかりやすさの観点から、最低賃金額の表示単位を時間に一本化。
旧法においては、使用者が都道府県労働局長の許可を受けたときは、試の使用期間中の者等一定の者について、最低賃金の適用を除外することができたが、従来、適用除外の許可に関しては附款を付して支払下限額を定め、その支払いを求める運用をしてきた。
新法では、使用者が都道府県労働局長の許可を受けたときは、当該最低賃金において定める最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額により、最低賃金額を決定できることとした。(例)試みの使用期間中の者……100分の20
法律上、生活保護に係わる施策との整合性が明確化された点は、最低賃金は生活保護を下回らない水準となるよう配所するという趣旨であると解されるものであること。
特定最低賃金は地域別最低賃金を下回らないこと。厚生労働大臣又は都道府県労働局長は特定最低賃金が著しく不適当となった場合、職権で廃止できること。ただし、職権による廃止はしないこと。
派遣労働者に関しては、旧法においては派遣元の事業場に適用される最低賃金が適用されていたが、指揮命令を受けて業務に従事しているのは派遣先であることから、新法においては、派遣先の事業場に適用される最低賃金を適用することにしたこと。
労働協約に基づく地域別最低賃金を廃止したこと。
特定最低賃金については、最低賃金法の罰則の適用はないこと。