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某労基署の対応に、はらわたの煮えくりかえる思い

食品を売っているお客さんのところで労災事故がありました。とてもおいしい手作りおにぎりを売っています。そのおにぎりを握っていたのが、社長の義理のお姉さんです。

役員でもなく、社長とは当然別居しています。ただ、長時間労働にも係わらず、残業代は支払われていませんでした。

去年の7月に、一緒におにぎりを握っていたパートタイマーが退職してしまい、いきおい仕事の大半が義理のお姉さんに振りかぶってきました。

さあ、大変。不景気で(景気がいいのは大企業だけです)お店全体の売り上げは減ったとは言え、義理のお姉さんの仕事量はとても増えてしまいました。

その結果でしょうか、今年の春頃だったでしょうか、腱鞘炎に罹ってしまいました。

お医者さんは当然、労災請求を勧めます。そこで私は、療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)を作成しました。

そして、お医者さん経由で某労働基準監督署に上記の請求書が届き、うちの事務所に労災担当の事務官から電話があり「○○会社の○△さんの労災請求が届きましたが、○△さんは労働者とは認められません。従って労災とは認められません」

「え、どうしてですか?」

「○△さんは社長の親戚で、長時間労働にも係わらず、残業代が支払われていません。役員でなかろうが、別居していようが当監督署は労働者とは認めません」

「たしかに残業代は支払われていないようです。しかし、管理監督者なら当然のことです。それにもし、管理監督者として認めないと言うのなら、労基法上の残業代未払いの問題はあるかもしれまんが、労働者性を否定する理由にはならないんじゃないですか」

「とにかく、彼女は役員でなくても、同居していなくても、社長の親戚であり、残業代が支払わていないので経営者と一体の立場にあるので、労働者とは認められません。私の上司も同じ考えです。当労基署としては、労災申請は認めません」

ここで私はちょっとキレましたねえ。普段優しい私が語気を荒くして「あなたの言う、労働者性を否定する根拠は一体どこにあるんですか?どの法律の第何条にあるんですか?」と訪ねたところ、

「労働基準法第9条です」

「えっ、第9条は「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」でしょう。この条文のどこに彼女の労働者性を否定する根拠があるんですか。行政通達や省令が出ているんなら、労働者性を否定する根拠となる通達や省令を教えてくださいよ」

そしたら、その事務官、バカの一つ覚えみたいに「労基法第9条です」を繰り返すばかり。具体的な根拠を示すことは一切できませんでした。

労基署は、労働者を守るのが仕事であるせいか、本当の管理監督者が「俺は管理監督者じゃない。残業代が未払いだ。」などと駆け込めば、会社側の言い分などほとんど聴かずに、労働者の言い分を丸呑みにして、会社に是正勧告書を突きつけます。

そのくせ労災となると、なかなか認めようとしない傾向にあります。労基署が労災と認めずに裁判でやっと過労死や自殺が労災認定されるのは、よくニュースで目にするところです。

労働基準監督行政は監督官、労災は事務官という職域の違いはあるにせよ、一体おまえらは、本当に労働者の味方なのか、と言いたくなります。

労働保険審査官、同審査会、裁判、とそこまで行けば勝てそうな気がしますが、会社はたかが腱鞘炎でそこまでしたくないとのこと。

ああ、はらわたが煮えくりかえる。

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