障害者雇用促進法改正案の成立と附帯決議
1月19日付労働新聞第2713号の記事によりますと、障害者雇用促進法改正案(障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案)が原案どおり成立、11項目に渡る付帯決議がなされました。施行は平成21年4月1日。
障害者雇用率(「常用雇用労働者数」が56人以上の一般事業主は、その「常用雇用労働者数」の1.8%以上の身体障害者又は知的障害者を雇用しなければならなりません)未達成の企業は、不足分1人について月額5万円の障害者雇用納付金を納めなければなりません。
制度創設以来30年にわたり、中小企業からの徴収を猶予していましたが、障害者雇用が進んでいないこと、積極的に障害者の雇用に取り組んでいる企業との間で経済的不均衡が生じていることなどの事情を勘案して、101人以上規模の企業まで徴収対象を拡大しました。
ただし、平成22年7月1日から、常用雇用労働者数201人以上の企業まで拡大、101人以上企業への拡大は平成27年4月1日から、となります。
徴収額については、施行後5年間は不足分1人当たり4万円とされる案が出されていましたが、経済情勢の変動により再検討されることとなりそうです。
週所定労働時間20時間以上30時間未満のパートタイマー等短時間労働者は平成22年7月1日から1人につき0.5人としてカウントされることになりました。
その他、事業協同組合などを活用した障害者雇用率の適用、特例子会社がない場合は企業グループ全体で障害者雇用率を算定する制度の創立、などを盛り込んでいます。
改正案成立時に11項目にわたる附帯決議がなされました。附帯決議の主な内容は以下の通りです。
- 精神障害者を雇用義務の対象に加えることを早期に検討すること。
- 精神障害者に対するプライバシーに配慮すること。
- 精神障害者の雇用環境の整備を図るため、障害者本人及び企業に対する支援策の充実を図ること。
- 短時間労働者を雇用義務の対象に追加するに当たって、フルタイム労働者を短時間労働者に移行し、健康保険・厚生年金に未加入とならないようにすること。
- 現に雇用されている障害者について雇用状況、社会保険の加入有無、定着率等を把握し、雇用管理の改善等に向けて所用の措置を講ずること。
- 障害者雇用納付金制度の適用拡大については、中小企業の経営環境に配慮しつつ、障害者雇用調整金、助成金の支給等が適切に行われるよう体制整備に努めること。
- 個々の傷害特性に応じたきめ細かな支援を行うため、専門的な知識を有する者を公共職業安定所に相談員として配置する等支援体制の充実強化を図ること。
- 特定求職者雇用開発助成金の対象として、難病等のある者を対象とすることを検討すること。
- 「働く」という観点を踏まえ、障害認定の在り方について検討を行うこと。
- 生活困難な障害者が最低限の生活を営むことが可能となるよう、所得の確保の在り方について検討を行うこと。
- 障害者権利条約批准に向けて国内法の整備を検討し、必要な措置を講じること。
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なお、以下もご参照ください。
「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」について:厚生労働省発表(平成20年3月7日(金))