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それでは、訴えさせていただきます

タイトルが非常に刺激的で、帯に、

最強の弁護士軍団が贈る、

戦う労働者の

教科書!

派遣切り、賃金カット、セクハラ・・・・・・
理不尽な待遇と断固戦う

とあるので、労働弁護団あたりの著作による完全に労働者側に偏った内容だと思い、カバーをめくると、著者履歴に



労働者を守る弁護士有志の会
主に労働に関する諸問題を取り扱う弁護士を中心に組織。通常は労使双方の視点から諸問題にあたっているが、今回は厳しい時代背景をふまえて労働者が直面する問題を現場目線でとらえて解説。法律的に主張できるポイントを、プロの目で抽出している。


と紹介されているので、どうやらガチガチの労働者側ではないらしいことがわかります。残念なのは誰が書いたのかわからないことです。

内容も、労働問題を扱った本にしては、やや中立的な立場で、とてもわかりやすく書かれているため、入門書としては最適かもしれません。

全国一般東京東部労組の名前が何度かでてきたり、同労組への加入を勧めるような文章も見られるところから、著者は同労働組合と関係のある弁護団かもしれません。

おおむね、当たり前のことが当たり前に書かれていますが、ちょっとおかしいな、と思ったのが「内定取り消しがイケナイ理由」と題する章で、日本綜合地所(株)が昨年11月、53人の学生に対して採用内定を取り消し、内定を取り消された学生のうち11人が全国一般東京東部労組に加盟、同社と争い、労組が勝利、迷惑料として53人全員に100万円の補償金が支払われた事例を紹介しています。

著者は、「採用内定は労働契約が成立しているため、会社が一方的に解消するのは解雇にあたり、簡単には認められられず」、内定取り消しの合理的な理由のひとつとして「企業の経営悪化」をあげています。

日本綜合地所(株)はまさに、危機的な経営状態にあり、今年2月5日に会社更生法の適用を申請、倒産しています。

採用内定取り消しには合理的な理由があったのではないでしょうか?


一方、その通り!と納得したのは「「有休」を使う理由は、答える必要なし!」の章です。
会社の有給休暇届に「有休をとる理由」欄が設けられていて、いちいち有休をとる理由を記載させる会社があります。

これは本当に、大きなお世話!です。どんな理由で労働者が有休を取ろうが会社が知る必要はありません。いちいち人のプライバシーに会社が首を突っ込むなということです。

以前、私のサラリーマン時代、労働組合の役員をやっていたときがあります。その会社もふざけたことに「有休をとる理由」を記載する欄があり、「組合活動をするため」と書いて提出したところ、総務課長に「組合活動が理由の有休なんか認めないぞ!」と怒鳴られたことがあります。

組合対応をする立場にある総務課長の無知ぶりに開いた口がふさがらなかったことを覚えています。

さて、この本のなかでは「有給休暇届け出書に利用目的欄を設けること自体は違法ではありませんが、記入するかどうかは労働者の任意です」と書いてありますが、記載欄がある以上は書く義務がある、と思ってしまうのでは・・・

記載欄があるにもかかわらず、空欄にして有給休暇届を出す勇気のある労働者がどれだけいることか?

怖い上司に「おい、理由が抜けているぞ!」と怒鳴られて、「書く義務はありません!」とはっきり言える部下がどれだけいるか。

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