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マクドナルド店長の労災過労死認定、ただし「名ばかり店長」とは別の問題

2007年10月16日、日本マクドナルドの横浜市内の店舗の女性店長(当時41)が川崎市での講習中にくも膜下出血で倒れ、搬送先の病院で3日後に亡くなりました。 

 

会社が記録していた、2007年1月以降の1ヵ月当たりの残業時間は5時間半~45時間でした。

遺族は、連合及び連合神奈川とともに約1年間にわたって女性店長の勤務実態を調査した結果、会社が記録していた労働時間と実際の労働時間が大幅に違うことが判明しました。

遺族は証拠として、通勤に使用した自家用車の入出庫記録、携帯電話メールの記録などを添付して、2008年9月に横浜南労働基準監督署に労災申請を行いました。

しかし、同労基署は2009年2月、女性店長が倒れた日をくも膜下出血の発症日ととらえ、その前に女性店長が休暇を取得していたこと、6ヵ月間の月平均残業時間が77時間18分であることから過労死認定基準の80時間を超えていないとして、本件を労災として認めず遺族補償年金などの不支給を決定しました。

これに対して、遺族と連合は、月平均残業時間が80時間に限りなく近いこと、女性店長が知人に送った携帯メールで9月中旬から頭痛を訴えていること、複数の医師が「くも膜下出血には前駆症状がある」と認めていることなどの意見書を添付、神奈川労働局に対し2009年4月、審査請求を行いました。

同労働局は、倒れる前の2007年9月28日にはくも膜下出血全長の頭痛を発症したと認定、残業時間は過労死認定基準の月平均80時間を超え81時間となることから労災を認定しました。

77時間18分では労災を認定せず、81時間で認める杓子定規なところは、まさにお役所仕事の面目躍如といったところでしょうか。

過労死に至るほどの長時間労働は企業の安全配慮義務違反を問うべきであり、「名ばかり店長」や「名ばかり管理職」問題とは全く別の問題です。

それを、朝日新聞は「女性は、残業代も支払われず、労働基準法の労働時間規制から外れる管理監督者とされていたが、実際は、十分な権限が与えられない「名ばかり店長」の状態だった。」などと、わざわざ記事に書いています。

連合の談話ですら、「名ばかり店長」などとは一言も書いていません。

「ホワイトカラー・エグゼンプション」を「残業代ゼロ法案」、今回の不況を「100年に一度の危機」と言ったり、マスコミは扇情的な言葉で危機感をあおり立てるのが大好きです。

労働基準法は事業所を単位として適用されます。つまり、アルバイトの採用権限もあるマクドナルドなどの店長は事業所のトップに違いなく、管理監督者に間違いありません。

行政が、労働基準法の管理監督者(そもそも「管理監督者」などとは労基法のどこにも書かれていません)を勝手に狭く解釈し、裁判所が更に狭くしてしまい、今や、役員以外では管理監督者として行政や裁判所にお墨付きをもらい難くなってしまいました。

以下、参考までに。
 連合|日本マクドナルド女性店長過労死認定に関する談話(事務局長談話)

 asahi.com(朝日新聞社):マック「名ばかり店長」の過労死認定 神奈川労働局 - 社会

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