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脳・心臓疾患、精神障害など7疾病を業務上疾病として労基則別表に追加

厚生労働省は、医学専門家による労働基準法施行規則第35条専門検討会(以下「検討会」という。)において検討を行った結果、業務上疾病の範囲を定めている労働基準法施行規則第35条(以下「労基則」という。)に基づく別表見直すことになりました。

 

検討会では、職業病として発生することが極めて少ないもの等を除き、業務と疾病との間に因果関係が確立していると認められる場合には原則として例示列挙することにしています。

そこで検討会は、以下の各疾病を業務上の疾病として労基則別表1の2追加するよう求めています。

(1)電離放射線による多発性骨髄腫
(2)電離放射線による悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫に限る。)
(3)塩化ビニルによる肝細胞がん
(4)石綿によるびまん性胸膜肥厚
(5)石綿による良性石綿胸水
(6)過重負荷による脳・心臓疾患
(7)心理的負荷による精神障害

また、労基則別表第1の2の規定のうち、3号4(上肢障害関係)について、対象業務と対象疾病の修正、6号1(伝染性疾患関係)について、対象業務(介護)の追加を行うことを求めています。

労基則別表第1の2上肢障害を引き起こす具体的業として例示されている「印書、電話交換、速記、金銭登録機を使用する業務」は現在ほとんど見られておらず、例示されていない「製造業における機器等の組み立て・仕上げ作業、給食等の調理作業、運搬、積込み・積卸し作業」において上肢傷害が多く見られるようになっていることから上肢傷害の例示見直しを求めています。

介護業務従事者については、一般に疥癬等伝染性疾患に感染するリスクが高いものと考えられ、労基則別表第1の2第6号1に規定する業務の中に「介護の業務」を追加するこを求めています。

詳細は以下ご参照ください。
厚生労働省:労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書(平成21年度)

参考条文
労働基準法施行規則

第三十五条  法第七十五条第二項 の規定による業務上の疾病は、別表第一の二に掲げる疾病とする。

現行の別表は以下の通りです。


別表第一の二 (第三十五条関係)
一 業務上の負傷に起因する疾病
二 物理的因子による次に掲げる疾病
   1 紫外線にさらされる業務による前眼部疾患又は皮膚疾患
2 赤外線にさらされる業務による網膜火傷、白内障等の眼疾患又は皮膚疾患
3 レーザー光線にさらされる業務による網膜火傷等の眼疾患又は皮膚疾患
4 マイクロ波にさらされる業務による白内障等の眼疾患
5 電離放射線にさらされる業務による急性放射線症、皮膚潰瘍等の放射線皮膚障害、白内障等の放射線眼疾患、放射線肺炎、再生不良性貧血等の造血器障害、骨壊死その他の放射線障害
6 高圧室内作業又は潜水作業に係る業務による潜函病又は潜水病
7 気圧の低い場所における業務による高山病又は航空減圧症
8 暑熱な場所における業務による熱中症
9 高熱物体を取り扱う業務による熱傷
10 寒冷な場所における業務又は低温物体を取り扱う業務による凍傷
11 著しい騒音を発する場所における業務による難聴等の耳の疾患
12 超音波にさらされる業務による手指等の組織壊死
13 1から12までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他物理的因子にさらされる業務に起因することの明らかな疾病
  三 身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する次に掲げる疾病
   1 重激な業務による筋肉、腱、骨若しくは関節の疾患又は内臓脱
2 重量物を取り扱う業務、腰部に過度の負担を与える不自然な作業姿勢により行う業務その他腰部に過度の負担のかかる業務による腰痛
3 さく岩機、鋲打ち機、チェーンソー等の機械器具の使用により身体に振動を与える業務による手指、前腕等の末梢循環障害、末梢神経障害又は運動器障害
4 せん孔、印書、電話交換又は速記の業務、金銭登録機を使用する業務、引金付き工具を使用する業務その他上肢に過度の負担のかかる業務による手指の痙攣、手指、前腕等の腱、腱鞘若しくは腱周囲の炎症又は頸肩腕症候群
5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他身体に過度の負担のかかる作業態様の業務に起因することの明らかな疾病
  四 化学物質等による次に掲げる疾病
   1 厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)にさらされる業務による疾病であつて、厚生労働大臣が定めるもの
2 弗素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂の熱分解生成物にさらされる業務による眼粘膜の炎症又は気道粘膜の炎症等の呼吸器疾患
3 すす、鉱物油、うるし、タール、セメント、アミン系の樹脂硬化剤等にさらされる業務による皮膚疾患
4 蛋白分解酵素にさらされる業務による皮膚炎、結膜炎又は鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患
5 木材の粉じん、獣毛のじんあい等を飛散する場所における業務又は抗生物質等にさらされる業務によるアレルギー性の鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患
6 落綿等の粉じんを飛散する場所における業務による呼吸器疾患
7 空気中の酸素濃度の低い場所における業務による酸素欠乏症
8 1から7までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他化学物質等にさらされる業務に起因することの明らかな疾病
  五 粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法(昭和三十五年法律第三十号)に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則(昭和三十五年労働省令第六号)第一条各号に掲げる疾病
六 細菌、ウイルス等の病原体による次に掲げる疾病
   1 患者の診療若しくは看護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患
2 動物若しくはその死体、獣毛、革その他動物性の物又はぼろ等の古物を取り扱う業務によるブルセラ症、炭疽病等の伝染性疾患
3 湿潤地における業務によるワイル病等のレプトスピラ症
4 屋外における業務による恙虫病
5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に起因することの明らかな疾病
  七 がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病
   1 ベンジジンにさらされる業務による尿路系腫瘍
2 ベーターナフチルアミンにさらされる業務による尿路系腫瘍
3 四―アミノジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍
4 四―ニトロジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍
5 ビス(クロロメチル)エーテルにさらされる業務による肺がん
6 ベンゾトリクロライドにさらされる業務による肺がん
7 石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮腫
8 ベンゼンにさらされる業務による白血病
9 塩化ビニルにさらされる業務による肝血管肉腫
10 電離放射線にさらされる業務による白血病、肺がん、皮膚がん、骨肉腫又は甲状腺がん
11 オーラミンを製造する工程における業務による尿路系腫瘍
12 マゼンタを製造する工程における業務による尿路系腫瘍
13 コークス又は発生炉ガスを製造する工程における業務による肺がん
14 クロム酸塩又は重クロム酸塩を製造する工程における業務による肺がん又は上気道のがん
15 ニッケルの製錬又は精錬を行う工程における業務による肺がん又は上気道のがん
16 砒素を含有する鉱石を原料として金属の製錬若しくは精錬を行う工程又は無機砒素化合物を製造する工程における業務による肺がん又は皮膚がん
17 すす、鉱物油、タール、ピッチ、アスファルト又はパラフィンにさらされる業務による皮膚がん
18 1から17までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他がん原性物質若しくはがん原性因子にさらされる業務又はがん原性工程における業務に起因することの明らかな疾病
  八 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病
九 その他業務に起因することの明らかな疾病

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