憲法とは何か
憲法については、左右どちらかの立場から感情的に論じられることが多く、左の立場からは、憲法改正は絶対に認めない、まして9条改正などもっての他、右の立場からは、アメリカが短期間で書き殴った憲法など改正するのが当然、軍隊の存在を認めない9条など真っ先に改正すべき、という論議になりがちです。
この本は、左右どちらの立場にも偏らず、きわめて冷静に、論理的に憲法改正の無意味さ、大統領制よりも、議院内閣制がいかに優れている制度か、を論じています。
9条に関しては、「たしかに自衛のための実力の保持を認めていないかに見えるが、同様に、「一切の表現の自由」を保障する21条も表現活動に対する制約は全く認められていないかに見える。それでも、わいせつ表現や名誉毀損を禁止することが許されないとする非常識な議論は存在しない。 21条は特定の問題に対する答えを一義的に決める「準則(rule)ではなく、答えを一定の方向に導こうとする「原理(principle)」にすぎないからである。9条が「原理」ではなく「準則」であるとする解釈は、立憲主義とは相容れない解釈である。」との一文に目を開かれる思いがしました。
単なる感情で改憲を主張する人達(実を言うとこの本を読むまでは、私もその一員でした)に是非一読してもらいたい本です。