改正育児・介護休業法と就業規則、その1
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律(平成21年法律第65号)」(以下「改正育児・介護休業法等」とします)が、平成21年6月24日に成立、平成21年7月1日に公布され、その主たる改正事項が平成22年6月30日から施行されます。
仕事と家庭の両立支援対策の充実が改正内容の重要なポイントです。
これから数回に分けて、育児・介護休業法の改正に合わせて、改正すべき就業規則の規定例等をご紹介していきたいと思います。
第1回目は、(1)3 歳に満たない子を養育する労働者に対する短時間勤務制度の義務化、(2)所定外労働免除の義務化と就業規則の規定例についてです。
ただし、上記義務化は、常時100人以下の労働者を労働者を雇用する企業については、公布日(平成21年7月1日)から3年以内の政令で定める日からの施行となりますので、慌てて就業規則に規定する必要もないでしょう。
就業規則規定例
(育児のための所定外労働の免除)
第○○ 条
1 3 歳に満たない子を養育する従業員(日雇従業員を除く)が当該子を養育するために申し出た場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。
2 申出をしようとする者は、1 回につき、1 か月以上1 年以内の期間(以下この条において「免除期間」という。)について、免除を開始しようとする日(以下この条において「免除開始予定日」という。)及び免除を終了しようとする日を明らかにして、原則として、免除開始予定日の1 か月前までに、育児のための所定外労働免除申出書(社内様式7)を人事部労務課に提出するものとする。この場合において、免除期間は、次条第3 項に規定する免除期間と重複しないようにしなければならない。
3 会社は、所定外労働免除申出書を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
4 申出の日後に申出に係る子が出生したときは、所定外労働免除申出書を提出した者(以下この条において「申出者」という。)は、出生後2 週間以内に人事部労務課に所定外労働免除対象児出生届(社内様式3)を提出しなければならない。
5 免除開始予定日の前日までに、申出に係る子の死亡等により申出者が子を養育しないこととなった場合には、申出されなかったものとみなす。この場合において、申出者は、原則として当該事由が発生した日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
6 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、免除期間は終了するものとし、当該免除期間の終了日は当該各号に掲げる日とする。
(1)子の死亡等免除に係る子を養育しないこととなった場合 当該事由が発生した日
(2)免除に係る子が3 歳に達した場合 当該3 歳に達した日
(3)申出者について、産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まった場合 産前産後休業、育児休業又は介護休業の開始日の前日
7 6(1)の事由が生じた場合には、申出者は原則として当該事由が生じた日に、人事部労務課にその旨を通知しなければならない。
《労使協定の締結により除外可能な者をすべて除外する例》
2 1にかかわらず、労使協定によって除外された次の従業員からの所定外労働の免除の申出は拒むことができる。
(1) 入社1 年未満の従業員
(2) 1 週間の所定労働日数が2 日以下の従業員
参考条文
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
第6章 所定外労働の制限
第16 条の8 事業主は、3 歳に満たない子を養育する労働者であって、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうちこの項本文の規定による請求をできないものとして定められた労働者に該当しない労働者が当該子を養育するために請求した場合においては、所定労働時間を超えて労働させてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が1 年に満たない労働者
二 前号に掲げるもののほか、当該請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
第9章 事業主が講ずべき措置
(所定労働時間の短縮措置等)
第23 条 事業主は、その雇用する労働者のうち、その3 歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(1 日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置(以下「所定労働時間の短縮措置」という。)を講じなければならない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち所定労働時間の短縮措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りでない。
厚生労働省:育児・介護休業法の改正について
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/tp0701-1.html
就業規則の規定例
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/dl/tp0701-1p.pdf