定期健康診断における胸部エックス線検査等の対象者の見直しについて
労働安全衛生法に基づく定期健康診断における胸部エックス線検査等に関する規定が改正されました。胸部エックス線検査については、従来、原則すべての労働者に実施が義務付けられていましたが、平成22年4月1日から、下記の通り見直しが行われました。
胸部エックス線検査の対象者の見直し
○ 40歳以上の労働者
→ 全員に実施
○ 40歳未満の労働者
→ 以下のア~ウ以外の労働者で、医師が必要でないと認めるときは、省略することができます。
ア 5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳)の労働者
イ 感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働く者
ウ じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている労働者
改正の内容
1.定期健康診断の項目に関する省略基準の改正(労働安全衛生規則第44条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準)
(1)胸部エックス線検査の省略基準を新設
40歳未満の労働者で、次の1)~3)のいずれにも該当しない労働者については、医師が必要でないと認める(注)ときは、胸部エックス線検査を省略することができます。
1)20歳、25歳、30歳及び35歳の労働者
2)感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等の労働者※1
※1 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成10年政令第420号)第12条第1項第1号に掲げる者(具体的には、学校(専修学校及び各種学校を含み、幼稚園を除く。)、病院、診療所、助産所、介護老人保健施設又は特定の社会福祉施設において業務に従事する者)
3)じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている労働者※2
※2 じん肺法(昭和35年法律第30号)第8条第1項第1号又は第3号に掲げる者(具体的には、常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理1のもの又は常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理2である労働者)
(注)「医師が必要でないと認める」とは、胸部エックス線検査にあっては、呼吸器疾患等に係る自覚症状及び他覚症状、既往歴等を勘案し、医師が総合的に判断することをいいます。
したがって、胸部エックス線検査の省略については、年齢等により機械的に決定されるものではないことに留意してください。
(2)喀痰かくたん検査の省略基準を改正
従来の省略基準※3に加え、上記(1)の胸部エックス線検査の省略基準を追加しました。
また、喀痰かくたん検査の趣旨・目的※4を踏まえ、胸部エックス線検査を省略された方は、喀痰かくたん検査も省略されることとなります。
※3 胸部エックス線検査によって病変の発見されない者又は胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者
※4 肺結核の確定診断のために、結核菌が検出されるか否かを確認
2.定期健康診断の特例の廃止(旧労働安全衛生規則第44条第2項)
満17歳又は満18歳の労働者で、前年度等の雇入時の健康診断等で結核に関して要観察者とされなかった場合、胸部エックス線検査及び喀痰かくたん検査を行わないこととされていた規定が廃止されました。(40歳未満の労働者については、個々に、上記1により胸部エックス線検査等の実施を判断することとなります。)
リーフレットは以下から
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1001-1a.pdf
厚生労働省:安全衛生関係リーフレット等一覧