個人請負で働く人って労働者?
厚生労働省は、「個人請負型就業者に関する研究会」報告書をとりまとめ公表しました。
近年、個人自営業者であっても、1つの企業と専属の委託業務契約や請負契約を交わし、人を雇わずに就業するといった雇用と非雇用の区別がつきにくい層が出現し、既存の制度や法律の適用から漏れているのではといった指摘がなされていました。
このため、業務委託や請負といった契約に基づき、人を雇わずに就業している「個人請負型就業者」について、その実態を調査し、今後の政策的方向性について検討をするための研究会が設けられました。
研究会においては、個人請負型就業者が多様な業種・職種で活用されていることが分かるとともに、
(1) 就業条件が不明確な求人がある、
(2) 労働者であるか、そうでないかの判断基準(労働者性の判断基準)が分かりにくいという指摘があった、
(3) 業務委託・請負という働き方と雇用との違いを知らない者もいる、
(4) トラブルの相談先に困る者もいる、
(5) 中途解約や代金不払い等の契約履行上のトラブル、求人に関するトラブル、労働者性に関するトラブルがある、
といった課題が分かりました。
そうした課題に対する今後の政策的対応の方向性として、以下のような提言がなされています。
厚生労働省は今後、以下更に検討するとしています。
(1) 求人情報の利用者が不利益を被らないよう、求人情報の掲載基準について、行政と求人情報業界とが連携してガイドライン作成を検討。
(2) 企業が個人請負型就業者を活用する場合に守るべき事項、注意すべき点等を盛り込んだガイドライン作成を検討。
(3) 働く側、発注側のそれぞれに対し、業務委託・請負で働くことと、雇用されて労働することの違いについて行政が周知・啓発。
(4) 就業者や活用企業にとって、労働者性の判断がしやすくなる方法を検討。
(5) 就業者、求人情報提供企業、活用企業に対し各種制度や利用可能な相談窓口等について行政が分かりやすく情報提供。
今後、個人請負型の就労は益々増加すると思われます。労働者性の判断等ガイドラインは間違いなく作成されることでしょう。
研究会がまとめた報告書は膨大なものなので、じっくり読んでからブログでご紹介できれば、と思います。
以下、ご参照ください。
厚生労働省:個人請負型就業者に関する研究会報告書の公表