即日解雇で書類送検、東京労働局
東京労働局は、管下18労働基準監督署・支署における平成21年度の検察庁への書類送検事例を、とりまとめました。
違反内容は、労働基準法、最低賃金法関係をみると、賃金・退職金不払(労基法第23、24条、最賃法4条関係)が最も多く15件、次いで賃金不払残業(労基法第37条)の4件、労働時間・休日(同第32、35条)の2件、その他8件となっています。
労働安全衛生法関係をみると、機械等・墜落等の危険防止措置(安衛法第20、21条等)の18件、次いで労災隠し(同100条)、就業制限(同61条)、その他1件となっています。
業種別にみると、建設業20件、運輸交通業6件、製造業5件の順番となっていますが、中でも建設業の機械等・墜落等の危険防止措置(安衛法第20、21条等)の14件が際立っています。
送検事例で気になったのが、解雇予告手当・賃金不払い(労基法第20、24条)による強制捜査です。
これは、飲食店を営む事業主が、解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払わずに労働者1名を即日解雇。また、労働者1名に対する4日分の賃金4万円を所定支払日に支払わなかったことによるものです。
どのような事由で即日解雇したのか、また、賃金を所定期日に支払わなかったのか、不明ですが、強制捜査となると相当悪質な事案なのでしょう。
おそらく、懲戒処分としての即日解雇ではなく、また、賃金の不払いも、業績不振によるものではないと思われます。
労働基準監督署長の認定を受けずに、懲戒処分として解雇予告手当無しで即時解雇を行っても民事上の責任を問われることはありませんが、刑事責任を問われる恐れがありますので、十分注意しなければなりません。
(参考までに) 労使トラブルから会社を守る就業規則:解雇と就業規則
東京労働局:平成21年の労働基準監督署の送検件数まとまる(pdf)