来年度から労災保険率が引き下げられそうですが・・・
来年度から労災保険率が現行より、平均で0.6/1,000引きさげられることになりそうです。平成4年度とくらべると、半分以下まで下がっています。これは結構なことですが。メリット制の適用対象の拡大には賛成しかねます。
「メリット制」は、同一の業種でも事業主の災害防止努力などによって災害発生率に差があるためで、保険料負担の公平性の確保や事業主による災害防止努力を一層促進する観点から設けている制度ではあります。
民間の自動車保険を使わなければ、保険料がどんどん安くなる制度と似ていますよね。
メリット制の適用対象拡大によって、見かけ上労働災害の発生率が下がると思います。なぜなら、労災保険を使ったばかりに、保険料が上がったのではかなわないので、建設業の元請け事業者は、下請けに対して、元請けの労災保険を使わないように促したり、下請けが元請けに遠慮して使わなかったりすることがあるからです。
また、労災保険を使わずに、健康保険で治療したり、会社が休業補償をすることも考えられます。
もちろん、全ての建設業元請け事業者が労災隠しをするわけではありません。ごくごく一部であることを願っています。
当然、明るみに出れば労災隠しとして罰せられますが、よほどの大事故でないかぎり労働基準監督署も調査しないので、労災隠しが明るみに出るのは氷山の一角でしょう。
「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」を労働政策審議会に諮問|報道発表資料|厚生労働省