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特許審査請求料の値下げ

特許出願の審査請求料金が値下げになります。

日本の特許出願制度では、出願しただけでは審査は始まらず、
出願審査請求手続を行うことにより審査の順番待ちの列に並ぶことになります。

審査請求手続には料金がかかり、約20万円以上と、やや高価です。

かつては10万円ほどでしたが、平成16年4月の出願から約2倍に引き上げられたのです。
それが、平成23年8月1日の審査請求手続分から、約15万円~になります。

特許のお問い合わせは栗原特許事務所

アメリカのファイナルアクション(final office action: final-OA)

アメリカの特許実務で、ファイナルアクションには注意が必要です。

Final Office Action (final O.A.)は、日本には無い制度です。2回目以降の拒絶の通知がファイナルアクションになり得ます。このことから、日本でいう「最後の拒絶理由通知」や「拒絶査定」に対応させることも場合によっては可能です。しかし、日本の実務には無い米国特許実務特有の特徴があります。

Final OA をきちんと理解するヒントは、「Final」と「O.A.」の意味を分けることです。「O.A.」(オフィスアクション)は、当局の指令、つまり米国特許商標庁が発する特許不許可の旨の通知です。これは、日本でいう、拒絶理由通知と似たようなものであると考えてよいでしょう。

では、「Final」とは何か? アメリカ特許商標庁指令がファイナルであること、これを finality といいます。ファイナリティの意味を理解することが、ファイナルアクションに対して有効な手続を取るための第一歩になります。

栗原特許事務所
栗原弘幸

PCT出願における国際段階の調査・審査

PCT出願では、特許取得を図る各国への手続の前に、国際段階における先行技術調査・見解についての報告を得ることができます。

PCT の国際段階で得られるこれらの報告をどのように考えるかということは、どのような手続を行うかという具体的な判断のために重要です。

国際調査報告や予備審査報告については、拘束力の無い予備的なものであり、各国の審査では、この報告に全く縛られることはありません。この原則を重視して、国際段階の報告を軽視する立場もあり、一定の説得力はあります。この場合、19条補正や34条補正を考慮する必要性はきわめて小さいといえます。これまでの書き込みでもそのような立場を強く意識しています。

いっぽう、拘束力が無いとは言え、特許調査力の低い国では、国際段階の報告はそれなりに重視されるのも事実です。大まかな印象を敢えて申せば、日本・米国・欧州・韓国・中国以外の国では、国際段階の報告書は、事実上、相当な影響力があると考えます。そういった国々での特許取得をスムーズにされたい場合には、19条補正や34条補正を活用して、肯定的な報告書を得ることに注力してもよいと思います。

栗原特許事務所
栗原弘幸

PCT出願における34条補正のメリット

PCT出願における補正の必要性が小さいと、以前、書きました。

PCT 34条補正について、必要性は無いけれども、強いて言えば、どのようなメリットがあるかを考えてみます。

PCT34条補正は、国際調査報告を受領してから、国際予備審査を請求するばあいに、「請求の範囲」の他に明細書なども補正できる制度のことです。

国際予備審査では、補正や意見書の提出によって、新規性・進歩性の予備的判断について審査官とやり取りをすることができます。PCT34条補正は、国際予備審査において好ましい予備審査報告を得ることを主たる目的として行われるのが普通です。

PCTの34条補正を行うことのメリット、つまり、34条補正を行わないことより何が良いのか、という問いかけは、「好ましい国際予備審査報告を得ることがどれだけの価値をもつか」という問いに直結します。

国際予備審査については別の機会に書きます。

次に、PCT34条補正を行うか否かの比較ではなく、PCT19条補正に対するメリットを指摘します。

19条補正では、請求の範囲のみ補正できますが、34条補正では明細書等も補正できます。
PCT19条補正は、国際公報に反映されますが、34条補正は国際公報には反映されません。ただし、いずれは、WIPOのサイトで閲覧することができます。
PCT19条補正は1回限りですが、PCT34条補正は回数の制限はありません。ただし、補正期間の制約はあります。

弁理士 栗原弘幸
栗原特許事務所(東京・神田)

PCT出願における19条補正のメリット

PCT出願における補正の必要性が小さいと、前回、書きました。

PCT 19条補正について、必要性は無いけれども、強いて言えば、どのようなメリットがあるかを考えてみます。

PCT19条補正は、国際調査報告を受領してから、1回だけ「請求の範囲」を補正できる制度のことです。PCT19条補正は、国際公開に反映されます。つまり、国際出願(PCT出願)当初の「請求の範囲」がいかなるものであるか、どのような先行技術文献に接したのか、その結果、どのように「請求の範囲」を補正したのかが、国際公開で他人の知るところとなります。

このように、思考過程・手続過程が公開されることは通常は不利なので、勧められることではありません。ただし、何らかの事情で、「このような権利範囲を追求している」と表明しておきたいときには役立ちます。例えば、公開によって仮保護的な効果が期待できる場合には、その範囲を最新のものにする意味で、19条補正を行って、最新の「請求の範囲」を公開させることも考えられます。

もっとも、上記のような効果が実効あるのは、極めてまれなケースです。
いちばんの効果は、「補正し忘れない」というのが現実的なところでしょう。

しかし、PCT国際段階で補正しなくとも、同内容の補正は極めて多くの場合、各国移行後にできますから、やはり、前回申したとおり、19条補正の必要性は小さいと言わざるを得ません。