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2009年11月16日

アメリカのファイナルアクション(final office action: final-OA)

アメリカの特許実務で、ファイナルアクションには注意が必要です。

Final Office Action (final O.A.)は、日本には無い制度です。2回目以降の拒絶の通知がファイナルアクションになり得ます。このことから、日本でいう「最後の拒絶理由通知」や「拒絶査定」に対応させることも場合によっては可能です。しかし、日本の実務には無い米国特許実務特有の特徴があります。

Final OA をきちんと理解するヒントは、「Final」と「O.A.」の意味を分けることです。「O.A.」(オフィスアクション)は、当局の指令、つまり米国特許商標庁が発する特許不許可の旨の通知です。これは、日本でいう、拒絶理由通知と似たようなものであると考えてよいでしょう。

では、「Final」とは何か? アメリカ特許商標庁指令がファイナルであること、これを finality といいます。ファイナリティの意味を理解することが、ファイナルアクションに対して有効な手続を取るための第一歩になります。

栗原特許事務所
栗原弘幸

2009年8月25日

PCT出願における国際段階の調査・審査

PCT出願では、特許取得を図る各国への手続の前に、国際段階における先行技術調査・見解についての報告を得ることができます。

PCT の国際段階で得られるこれらの報告をどのように考えるかということは、どのような手続を行うかという具体的な判断のために重要です。

国際調査報告や予備審査報告については、拘束力の無い予備的なものであり、各国の審査では、この報告に全く縛られることはありません。この原則を重視して、国際段階の報告を軽視する立場もあり、一定の説得力はあります。この場合、19条補正や34条補正を考慮する必要性はきわめて小さいといえます。これまでの書き込みでもそのような立場を強く意識しています。

いっぽう、拘束力が無いとは言え、特許調査力の低い国では、国際段階の報告はそれなりに重視されるのも事実です。大まかな印象を敢えて申せば、日本・米国・欧州・韓国・中国以外の国では、国際段階の報告書は、事実上、相当な影響力があると考えます。そういった国々での特許取得をスムーズにされたい場合には、19条補正や34条補正を活用して、肯定的な報告書を得ることに注力してもよいと思います。

栗原特許事務所
栗原弘幸

2009年7月24日

PCT出願における34条補正のメリット

PCT出願における補正の必要性が小さいと、以前、書きました。

PCT 34条補正について、必要性は無いけれども、強いて言えば、どのようなメリットがあるかを考えてみます。

PCT34条補正は、国際調査報告を受領してから、国際予備審査を請求するばあいに、「請求の範囲」の他に明細書なども補正できる制度のことです。

国際予備審査では、補正や意見書の提出によって、新規性・進歩性の予備的判断について審査官とやり取りをすることができます。PCT34条補正は、国際予備審査において好ましい予備審査報告を得ることを主たる目的として行われるのが普通です。

PCTの34条補正を行うことのメリット、つまり、34条補正を行わないことより何が良いのか、という問いかけは、「好ましい国際予備審査報告を得ることがどれだけの価値をもつか」という問いに直結します。

国際予備審査については別の機会に書きます。

次に、PCT34条補正を行うか否かの比較ではなく、PCT19条補正に対するメリットを指摘します。

19条補正では、請求の範囲のみ補正できますが、34条補正では明細書等も補正できます。
PCT19条補正は、国際公報に反映されますが、34条補正は国際公報には反映されません。ただし、いずれは、WIPOのサイトで閲覧することができます。
PCT19条補正は1回限りですが、PCT34条補正は回数の制限はありません。ただし、補正期間の制約はあります。

弁理士 栗原弘幸
栗原特許事務所(東京・神田)

2009年7月19日

PCT出願における19条補正のメリット

PCT出願における補正の必要性が小さいと、前回、書きました。

PCT 19条補正について、必要性は無いけれども、強いて言えば、どのようなメリットがあるかを考えてみます。

PCT19条補正は、国際調査報告を受領してから、1回だけ「請求の範囲」を補正できる制度のことです。PCT19条補正は、国際公開に反映されます。つまり、国際出願(PCT出願)当初の「請求の範囲」がいかなるものであるか、どのような先行技術文献に接したのか、その結果、どのように「請求の範囲」を補正したのかが、国際公開で他人の知るところとなります。

このように、思考過程・手続過程が公開されることは通常は不利なので、勧められることではありません。ただし、何らかの事情で、「このような権利範囲を追求している」と表明しておきたいときには役立ちます。例えば、公開によって仮保護的な効果が期待できる場合には、その範囲を最新のものにする意味で、19条補正を行って、最新の「請求の範囲」を公開させることも考えられます。

もっとも、上記のような効果が実効あるのは、極めてまれなケースです。
いちばんの効果は、「補正し忘れない」というのが現実的なところでしょう。

しかし、PCT国際段階で補正しなくとも、同内容の補正は極めて多くの場合、各国移行後にできますから、やはり、前回申したとおり、19条補正の必要性は小さいと言わざるを得ません。

2009年7月17日

PCT出願における補正の必要性

PCT出願における補正としては、Article 19 under PCT (特許協力条約19条)に基づく補正と、Article 34 under PCT (特許協力条約34条)に基づく補正があります。

PCT出願では、このように、国際段階で二つの形式の補正があります。ここで、PCT出願の流れのなかにおいて補正することがどのような意味を持つのか考える必要があります。

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2009年7月16日

PCT出願の「請求の範囲」の補正方法

PCT出願では、19条補正および34条補正という2種類の形式の補正ができます。

このたび、PCT出願で「請求の範囲」の補正方法が若干変更になりました。

従来は必要なかったのですが、PCT出願において「請求の範囲」を補正する場合には、補正後の請求の範囲全文を記載したものを提出することになりました。

例えば、「請求の範囲」が膨大で、数ページに及ぶ場合、「請求の範囲」のごく一部を補正する場合であっても、補正しないページを含めて、補正後の請求の範囲全文の記載を提出しなければなりません。

栗原特許事務所
栗原弘幸