特殊車両の無許可通行で書類送検!
先日、今年5月に発生した海上コンテナを積んだ大型トレーラーの横転死傷事故について、道路法違反(特殊車両の無許可通行)の疑いで、事故を起した当時の運転手が書類送検されたというニュースがありました。
しかも、この運転手以外に、運転手の勤務先だった運送会社、この会社の運行管理者に加えて、荷台を所有する会社と、その運行管理者も一緒に、同容疑で書類送検されていました。警察の調べによると、「特殊車両の通行許可は、許可が下りるまでに1ヶ月くらい時間がかかるので、それを待っていては仕事にならない」と供述しているようです。
そもそも「特殊車両の通行許可」とはどのようなものなのでしょうか?一般に、道路とは、公衆の通行に用いられる道のことをいい、道路法上の道路とは、公道と呼ばれ、「高速自動車国道」「一般国道」「都道府県道」「市町村道」の4つに区分されています。公道は、「一定の規格の車両」が安全に、かつ円滑に通行できるように造られていますので、この「一定の規格」を超える特殊な車両(幅、高さ、長さ、総重量のいずれかが基準制限の値を超えている車両)は、原則、通行することはできません。もちろん、これは原則論であり、「一定の規格」を超える車両は、「特殊車両」と呼ばれ、通行許可申請を行い、許可証を車両に掲載することで、通行が可能となります(注1)。
確かに、この申請は、許可が下りるまでに1ヶ月から、混み具合によっては2ヶ月近くかかる場合もあります。しかし、この特殊車両の通行許可期間が、これまでは最長で1年間だったところ、2年となったことをご存知でしょうか?
今までは、最初に通行しようとする新規申請のほか、1年以上継続して通行する場合は、1年ごとの更新手続も必要でした。ところが、本年5月21日以降の申請から許可期間が最長2年間と規制緩和されています(注2)。
この国土交通省の発表を受けて、東京都港湾道路管理課でも、この7月1日分の申請から、通行期間を最大で2年以内にする旨の適用が開始されています(注3)。
特殊車両の通行においては、平成20年10月から、その通行に関する指導取締りが強化推進されており、前述したとおり死亡事故等が発生した場合は、運転手のみならず、会社も会社の運行管理者も刑事罰を問われることとなるのです。これは、会社の管理責任を問う重大な事案といえます。許可(更新)申請における期限管理及び通行経路や条件書等の法令管理などの再確認をお勧めいたします。皆さんの会社は大丈夫ですか?
(注1) 特殊車両の通行許可申請は、通行する道路の管理者に対して行います。1経路の通行に際して、道路管理者が複数ある場合は、原則、上級行政庁へ申請を行い、下級行政庁へ協議がなされます。そしてこの場合、協議書などと合わせて許可証を上級行政庁から頂くこととなります。
(注2) 平成20年3月25日付「規制改革推進のための3ヵ年計画」が閣議決定されたことにより国土交通省 道路局 道路交通管理課が発表したものです。
(注3) 東京都港湾道路管理課における許可期限は、許可日から2年間ではなく、3月の年度末で終了となります。例示をすると、本日(平成21年8月10日)付の許可であれば、平成23年3月31日で許可期限が到来します。ご注意ください。
参考URL「特殊車両通行許可申請におけるオンライン申請の紹介」より
http://www.tokusya.ktr.mlit.go.jp/PR/
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