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イギリスと日本の貸倉庫事情

 少し前、ある新聞に"不況が長引くイギリスでは、貸倉庫を家具の収納場所や仮オフィスなどとして使用する人が増えている"という記事が掲載されていました。

 記事によると、イギリスでは、2006年以降に建築された住宅のうち、家具を収納する十分なスペースがない住宅が約4割を占めていたり、イスや机を設置することも難しい住宅が5割近くあるといいます。そこで、家の中に置けなくなった家具を貸倉庫で保管しているそうです。それ以外にも、バンドの練習や、仕事における打合せスペースとして利用する人も増えており、貸倉庫としての利用以外のところでその存在が注目されつつあるようです。イギリスの貸倉庫業界でも、このような利用は前向きに受け止めており、不況が続く中で、様々な利用方法が見出されていると記事にはありました。
 
 では、日本ではどうでしょうか?
 
 日本では、「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」を倉庫業といい、倉庫業法において様々な規定が設けられています。そして、倉庫業を営むためには、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。この登録には、他の許認可同様、さまざまな要件があり、その中でも、倉庫の施設設備に関する基準および倉庫管理主任者の設置ということが厳しく規定されています。特に施設に関する基準は、耐火性能や防火性能を有しているか、消火器具を有しているかなど、他の法律では一定範囲の施設にしか義務付けられていなかった基準が全面的に適用されており、他に比べて非常に厳しいものとなっております。
 
 また、どこにでも倉庫を設置してよいというものではなく、準住居地域を除く住居地域および開発行為許可を有しない市街化調整区域では、原則として倉庫業を営むことはできません。この点についても地方自治体と事前協議などにおいて打合せをしてから登録申請をする必要があります。
 
 これは、倉庫としての本来の目的以外に利用された場合に、例えば火災など、何か重大な事故や事件が発生したときにその安全性等が確保できなくなることを防ぐためです。したがって、日本ではイギリスのように、オフィスの一部としての利用やバンド練習などとして使用することはできません。適切な運営を確保することによって、事業としての安全性や日本経済の安定が図られるように、その基準が厳しいものとなっているのです。

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