万引被害を通報せよ! ~刑法第235条~
5月21日、警察庁が全国の警察本部に、犯罪が起こりにくい社会を作るため『万引があった場合、店側の被害を全て警察に通報してもらい、警察側も厳しく取り締まるように求める通達を出した』という新聞記事がありました。
この背景には『たかが万引き』と安易に受け止められてしまう社会の風潮があり、これを放置すれば、治安の悪化を招き、重大犯罪の増加にもつながりかねない。とも記事にはありました。
では、なぜ安易に受け止められてしまうのでしょうか?万引きという犯罪が、「たいした罪には問われないだろう」「そんなに高価なものを盗む訳ではないし...」「見つかったら、お金を払えばいいんでしょ」「出来心だって言えば許される...」等と思われがちだからかもしれません。
しかしながら『万引き』という犯罪行為は、刑法第235条『窃盗罪』に当たるといわれるといかがでしょうか?皆さんが普段耳にしている万引きというのは、この窃盗罪の手口の1つに過ぎません。
万引き以外の手口について一例を挙げれば、「空き巣」「忍び込み」「車上狙い」「ひったくり」「すり」などなど...。まだまだ、たくさんあります。
では、次に刑法第235条には何が書かれているのかを見てみると...「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪と為し、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」とあります。
お気づきですか? 刑法には、「万引きの場合は厳重注意で終わり」という例外はありません。もっと分かりやすく言うと「空き巣」や「ひったくり」と同じ法律で定められた犯罪なのです。それを「たいした罪ではない」とか「お金を払えばいいんでしょ」と考えることはできないのです。
今回の警察庁からの通達にもとづいて、犯罪の抑制と、一人ひとりが作り上げる社会倫理の向上のために、多くの方の協力が得られることを願います。