生前贈与・特別受益:相続センター埼玉・八潮・草加・越谷
■特別受益者とは?
子どもが複数いるようなとき、それぞれの子どもは平等に相続するべきであるというのが民法の原則的な考え方です。
ところで、たとえば、
・兄弟の1人が家を買ったときに、親がその頭金をだしたというケース
・兄弟の中で1人だけ特別に大学に行く費用を出してもらった、親に資金を贈与してもらった
などといった場合はどうでしょうか。
兄弟が皆、同じ額だけ援助を受けていれば感情的なしこりは残らないかもしれませんが、そのうちの1人だけ特別扱いを受けたとなると、残りの兄弟には釈然としないものが残ります。
こうした、生前に特定の相続人が受けていた特別の利益などを相続の世界では特別受益と呼び、また、その利益を受けた者を特別受益者と呼びます。
具体的には民法では、遺贈を受けた場合や生前に「婚姻、養子縁組のため、若しくは生計の資本として」贈与を受けたケースでは、その分を計算に入れて相続分を決定するべきであるとし、こうした手続きを特別受益者の持戻しと呼んでいます。
■特別受益の持戻しはどう計算するか
たとえば
父親の遺産5,400万円を長男、次男、三男の3人兄弟で相続するというケースで、故人の生前に長男は事業開始資金として、1,000万円の贈与を受けていたとします。
本来ならば、兄弟それぞれが1,800万円ずつを相続することになりますが、長男がすでに1,000万円の特別受益を受けています。
このような場合、相続する財産5,400万円に1,000万円を加算し、これを均等に分割すると1人2,133万円となり、長男についてはこの金額から生前にもらった1,000万円を引いた金額の1,133万円、次男と三男については、それぞれ2,133万円を相続することになれば、平等感がでますよね。
なお、特別受益に相当するものには、このほかにも、結婚の際の支度金、土地の贈与、債務の肩代わりなどが含まれます。
またこれらが、相続の相当以前に行われたものであったとしても、その経済的利益を現在の時価に換算して評価し、相続財産に加算することになっています。
■特別受益者となるおもなケース
学費:兄弟の中で1人だけ特別に大学へ進学する学費などを出してもらった
結婚費用:結婚の持参金を特別に出してもらった
住宅取得費用:住宅を取得するために費用を出してもらった
開業費用:事業を開くための開業資金を援助してもらった
借金返済:借金の返済を肩代わりしてもらった
■特別受益分がある場合の分割方法
長男Aが生前、被相続人から店の開業資金500万円を支援してもらい、次男Bが300万円の住宅資金の贈与を受けた。
この場合、妻、長男、次男、長女の相続分は?
○法定相続による場合
遺産の総額 1億6,000万円
(長男の受益分 500万円)
(次男の受益分 300万円)
↓
特別受益加算後の相続財産1億6,800万円
-妻の相続分:8,400万円
1億6,800万円÷2
-長男の相続分:2,300万円
1億6,800万年÷2÷3-500万円
-次男の相続分:2,500万円
1億6,800万円÷2÷3-300万円
-長女の相続分:2,800万円
1億6,800万円÷2÷3
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