相隣関係の法律問題(2)
前回に続き、生活におけるちょっとした疑問点についてQ&A形式で皆様にお届けします。
前回からの続きです・・・
前回の民法の定めとは別に、建築基準法には、都市計画で定められた防火地域又は準防火地域では、耐火構造の外壁を備えた建物であれば境界線に接して建てることができるとの定めがあります。この建築基準法の規定と民法の規定との関係については、現在判例では建築基準法の規定は、民法の規定の特則とする説(要するに建築基準法の規定が優先するということ。)をとることを明らかにしています。
違反建築の場合
このように、防火地域又は準防火地域において耐火構造の外壁を備えた建物を建てる以外は、建物は境界線から50㎝離して建てなければなりません。これに反して建物が建てられる場合は、隣地の所有者はその建築の廃止もしくは変更を請求することができます。但し、この請求は、建物が完成する前でしかも建築が始まってから1年以内にしなければならないものとされています。建物が完成してしまったり、建築がはじまってから1年経過してからは、完成した建物の取壊しや進捗した工事の変更を求めるのは酷なため、このような制限が設けられたものです。従って、建築の廃止や変更の請求がなされたのに、これを無視して建築を続けた場合には、たとえ建物が完成したり、建築開始から1年が経過してしまっても、そのような者を保護する必要はありませんから、なお建築の廃止や変更を請求することができます。
また、この期間を過ぎてしまったために、建築の廃止や変更が認められない場合でも、隣地所有者が違反建築によって損害を被ったときは、その賠償を請求できるものとされています。
次回に続きます・・・
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