品川区大田区中小企業様のお役に立つISOコンサルタント田邉康雄(4)
前ブログで「大企業はISOに期待していなかった」と述べました。そこで――。
―― 再び歴史を振り返ってみましょう。
1987年版にISO9000sが発行されました。本質は、サッチャー(英国首相)の「悪知恵」と呼ばれる政治的色彩の濃い規格でした。それまでのISOは「物そのもの(商品)」の規格でした。
――「生産管理」という言葉を御存知でしょう。俗に、商品(物そのもの)、工程(物の流れ)、作業(物の流れに対する働きかけ)の三要素からなると言われています。
サッチャーは「物そのもの(商品)」の規格だったISOに、「物の流れ(工程)」を通り越して「物の流れ対する働きかけ(作業)」を規格として導入したのです。
―― 最初「商品品質」には自信をもっていたわが国の大企業はそっぽを向きました。「欧州の品質規格など、なんぞあらん」と。ISO9000Sを「商品の規格」であると誤認したのです。
―― しかしISO9000sを取得しなければ、欧州への輸出は許可されないことがはっきりして大企業の態度が変わりました。「輸出のために"必要"、即ち"必要悪"としてISO9000sを取得しよう」と、いう考えに変りました。その先鋒に立った企業は、欧州に輸出をしていたエレクトロニクスの大手企業でした。
その結果、企業の経営システムとは無関係にISO9000sシステム構築が始まりました。その結果、現在にも繋がる大企業の「ISOと経営の二重構造」が生じました。
自業自得の大企業はそれでよいでしょうが、大企業と同じ「二重構造」の指導を受けた下請中小企業がお気の毒です。
次ブログに続きます。