福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(26)
現時点(3月19日21時)で福島第一原発に関して私が推定を加えて理解しているところを御披露します。
1) 1号機: 津波被災時は稼動中だった。幸いにも津波が来る前に制御棒の投入に成功した。だから炉心はストップしていて安心。しかし復水用熱交換機への供給海水がストップしているので水蒸気系統の圧力は定常状態よりも上昇した。釜の破裂を防止するために釜に設置してある安全弁が作動してサプレッションプールへ水蒸気が放出された。水蒸気は水となって凝縮するが、生憎と発生した水素が水蒸気に含まれていたので、これが建物上部に蓄積して水素爆発で建物上部が吹き飛んだ。水素発生の事実から燃料棒が水面上に露出していることが分かる。炉心の爆発ではないかと心配の声があるが、その心配はない。昨日電源が開通した。これにより炉心への注水が可能となり、水を蒸発させながらその潜熱で燃料棒を冷却できるので安心。
2) 2号機: 一号機と同様に津波被災時は稼動中だった。しかし制御棒を成功裏に投入したことは同じであり安心。1号機と同様原因によって安全弁が噴いて水素爆発が発生したが、爆発部位は炉心の下部であり、屋根は吹き飛ばなかった。炉心において燃料棒が水面上に露出している状態は1号機と同様。昨日すぐ近くまで電源が来て本日中に開通する。まもなく連続循環冷却が可能となるので安心。
3) 3号機: 津波被災時は稼動中だった。しかし制御棒を成功裏に投入した。これは1号機、2号機に同じ。1号機、2号機と同じ原因で安全弁が吹いて建屋内上部に溜まって引火爆発した。今、燃料棒は水面上に露出しているが、強固な格納器内に収納されているので安心。しかし5階の冷却水プールに漬けてあった使用済み燃料棒が設計通りに発熱している。幸いなことに「使用済み」であり、取り出し後の時間が経過しているので、次に述べる4号機のようにはならない。現在東京都庁の毎分3トン連続放水車が元気で稼動しているので安心。電源復旧して連続的冷却が開始されるまで東京都庁による緊急的冷却必要。
4) 4号機: 津波被災時は定期点検中でストップしていた。炉心は空だったが、定期点検のために(再使用する元気のよい)燃料棒を冷却プールに漬けてあった。津波で電源がストップしたので循環冷却水がストップし、水が蒸発してプールはドライアップ(乾上がる)した。ドライアップする途中の水面が燃料棒を横切る過程、並びにドライアップした後で水蒸気が高温の燃料棒と接触して水素が発生した。これが建屋上部に溜まって引火爆発した。融点1855℃の燃料棒(金属ジルコニウム製)が融解していないことを祈っているが、たとえ融解ダウンしてプール底に燃料棒が重なり合っても連鎖反応は起きないと専門家が言っているのでそれを信用している。現在、自衛隊バッチ放水車が活躍しており、緊急的冷却を実施しているので安心。電源復帰して連続的冷却が開始されるまで緊急的冷却必要。
5) 5号機: 津波被災時は定期点検中でストップしていた。使用済み燃料棒を冷やす水プール温度が徐々に上昇していたので心配していたが、6号機のバックアップ用ディーゼル発電が復旧したのでここから電気をもらっているのでもう安心。再稼動可能。
6) 6号機: 津波被災時は定期点検中でストップしていた。幸いなことに、バックアップ用ディーゼル発電機を早期に修理したので5号機へも供給した。さらにディーゼル一台追加したので5号機と6号機はもう安心。再稼動可能。
1号機~4号機は、現在の危険な状態を制圧した後でも、技術的理由から廃炉以外の選択肢はない。しかし5号機と6号機は再稼動可能。ただし再稼動の前に国民的合意が必要。私は日本としては、再稼動以外の選択肢はないと考えます。