福島原発危機 ― ISO31000リスクマネジメント 初動(5)
前ブログにおいて「初動が遅れたのは司令部だった」と述べました。遅れたどころか、「無駄な初動を行なって、その分だけ必要な初動が遅れた」と述べました。
―― 原子炉の、こんな大きなトラブルシューティング(事故制圧)は東電さんには無理です。東電さんの本業は、配電網(グリッド)をもっていて需要者に電気を配ることです。ここには多大なノウハウをもっています。しかし発電プラントに関しては、単なるオペレーターに過ぎません。プラントは、プラントメーカーが製作したものです。しかも破壊した原子炉の制圧作業は。今回が始めての経験であり、経験不足です。
―― 原子炉の中で何が起こっているか、想像すらもできない。だから適切な処置指令ができない。現場は鬼神の如く頑張っているが、司令部がダメ。戦闘を経験していない旧帝国陸軍司令部に同じです。
―― トラブルシューティングは、東電にとって荷が重いのです。これは鉄道に同じです。重大な車両故障が発生した際に、運転手に対して「修理せよ」と言っているに等しいのです。東電の中には、(当たり前ですが)こんな重大な原子炉「修理」経験をした人材がいません。オペレーターに過ぎないのです。
―― 現在私が普及に努めているISO31000に関連して福島原発危機を書いていますが、ISO31000はリスクマネジメントの国際規格です。そして広義リスクマネジメントの中にはクライシスマネジメントが含まれています。但しISO31000には含まれていません。
次ブログにつづきます。