田辺太一蓮舟のつぶやき 翁の著書:幕末外交談から(2-3)
幕末外国史に関する田邉太一のつぶやきを前ブログからつづきます。
(6)先年知友のすゝめにまかせ予の憶記するまゝを筆し一章一篇成に隨て讀賣新聞に報してこれを世に問ひしことありしか今又これを輯録し更に刪補する所あり以てこの書をなすにいたれり但事予の耳目の見聞する所に局して其全豹を描くに及はす
友人が田兄やってくれと強く勧めるので、老いの身に鞭打って思い出しながら少しずつ書いた。そして新聞に連載記事を書いた。今回は、この連載をまとめて一冊の本にした。その際、さらに書き足した。ただし書いたことはすべて自分が見聞きした範囲の事象に限定されているので、これが幕末外交の全部であるということにならない。私見をお許し願いたい。
(7)又往々臆見を以て時勢を揣摩しこれか説をなすものあり然れとも誇張に渉らす掩飾を事とせす直筆諿むところなきは自から信する所なり幸に幕末資料の一に供るを得は庶幾は宿志の萬一を償ふに足らんか
世間には自分の独断でもって過去の出来事の意味を断定し、それを正しいと主張するものがある。しかし私は事実の誇張はしていない。飾り立てることもしていない。このことは神仏に誓う。だからこの書を幕末外交事情だけでなく、幕末の幕府事情に係る資料として提供できたことは、これまで悶々としてきた胸の中が少しは晴れる思いである。幕末史として見てほしい。
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