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田辺太一蓮舟のつぶやき 翁の著書:幕末外交談から(4-7)

前ブログからつづく。

田邉太一は阿弥陀如来様の御許から昭和を更に々々嘆いてつぶやく。
<大東亜戦争への突入>
台湾、朝鮮半島、満州の権益、樺太半分、千島列島までがわが国の領土だった。これに第一次大戦で得た太平洋の信託統治権を加えると、地球面積の約10分の1が日本のものだった。モンゴル帝国にも勝る大きさだった。これを薩長軍は、幕府時代の姿にもどしてしまった。日清日露戦争の成果は無に帰した。「滅びる」といった"三四郎"に出る広田先生の予言通りだ。

田邉太一はつぶやく。
<下級武士はハングリーだった>
幕末期において下層武士の教育レベルが上層レベルの教育レベルを上回っていた。これは、幕府に限らない。諸藩においても同様だった。現に武力革命を成し遂げた薩長においても同様なことが言える。家格の低い家に生まれた武士たち、特に長男以外は苦しい生活の中でハングリーになっていた為であろう。幕臣旗本次男の私も御他聞に洩れず、ハングリーだった。

田邉太一はつぶやく。
<世の常>
上級階層の中の下部に位置する人がいつも世の中を覆す。教育程度が高くてハングリーだからだ。上部に位置する人は、満ち足りて努力する必要ない。典型的には戦国時代の下克上であり、藤原貴族(公家)に対する、平氏/源氏(武家。室町時代の応仁の乱も。明治武力革命も同様である。幕府も各藩も上層部がだめだったが、下層部ががんばった。世の常である。

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階層社会の上下シャッフルの常

田邉太一は更につぶやく。
<人材がいなかった>
幕府上層部にも、小笠原、阿部(正外)、松前などの有為の人材がいたのだ。繰り返して惜しむ。阿部正弘が開国と決めてペリーを迎えていたらよかったのだ。阿部正弘が朝廷に対して「どういたしましょうか」と伺いを立てたことが幕府凋落のスタートだった。従來のルールを破ることの意味を認識していなかった。家康以來外様大名に意見を聞くことはなかったのだ。

次のブログにつづく。

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