前ブログで、具体的な「安全対策」を福島県議員や福島県知事に求める選挙をしてこなかった福島県民にも一端の責任があると言いました。
―― 原子力発電技術は、今後の日本の発展のために必要な技術です。
この事実を認め、その上で「絶対安全の根拠を議論させよ」と要求し、これを選挙の争点にすることが必要です。
即ち、「具体的安全対策を県民に開示してその妥当性を原子力推進関係者『以外』の専門家を参加させて議論させよ」と要求し、これを選挙の争点にすることが必要です。
―― 今ここで「原子力専門家以外」と言ったことには意味があります。「原子力は難しい技術である」という言葉を「隠れ蓑」にして、該専門家以外の専門家から口を挟まれる余地を封じてきたのが、これまでの国の原子力政策でした。
―― しかしながら、原子力発電はさほど難しい技術ではありません。発電の部分は、コンベンショナルな(従来からある)技術です。熱を水に与えて蒸発させ、その蒸気を用いてタービンを回し、その力によってダイナモを回すだけです。日本では明治中期にすでに導入され、技術改善が進み、それから120年以上が経過しています。
これは機械工学の分野であり、我が国においてこの技術を牽引したのが工部大学校(Imperial College of Engineering)機械工学科の流れを汲む帝国大学工科大学機械工学科(現東京大学大学院工学研究科機械工学専攻)と東芝/日立などのメーカーでした。現在ではすでに出来上がった技術であり世界最高レベルを誇ります。因みに私の父親田邉多聞は東京帝国大学工科大学機械工学科に入学して内燃機(ガソリンエンジン)を学び、1921(大正10)年に東京帝国大学工学部機械工学科を卒業しました。
―― 話もどって難しいのは、①燃料棒の発熱量「制御方法」と、②暴走した際の「制圧方法」だけであり、これら二件に関する我が国の専門家のレベルは、核兵器保有国の専門家に比べると核爆弾の爆発実験の経験がない分だけ低いと言わざるを得ません。前述した機械工学が世界最高レベルであることとは対照的です。
専門家の顔をした大学教授が、テレビの前で何をしゃべったかを国民の多くが知ってしまいました。我が国を代表する大学であり、原子力の看板を掲げる東大、京大、東京工大の教授達も無知をさらけ出しました。この分野における専門家と非専門家(しろうと)の差はたいした事がないのです。レベルの高い核保有国から見ると「50歩100歩」に見えるでしょう。
「原子力は分かる」
と自信をもって安全性を議論の俎上にあげましょう。そして原子力発電所をもつ各地の県の県民がこのような議論をする選挙を行い、国政へもこのような議論をする選挙を行なって我々の日本をさらに発展させましょう。そうすれば日本の明るい未来があります。
―― 現在私が普及に努めているISO31000に関連して福島原発危機を書いていますが、ISO31000はリスクマネジメントの国際規格です。そして広義リスクマネジメントの中にはクライシスマネジメントが含まれています。但しISO31000には含まれていません。
以上で初動に関するブログを完了します。
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