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リスクマネジメントの記事一覧

福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(14)


 今フジテレビで「電力を失った」ことが重大であるとの報道がありました(2011年3月16日18時)。今頃何を言っているのでしょうか。「手足をもがれ、かつ、強い放射能の中で東電エンジニアはよくやってくれました」と既に書きました(2011年3月16日午後1時)。

 ―― フジテレビは、それを津波「前」と「後」の衛星写真を比較して言っているのです。しかし、すでに一昨日米国の衛生写真が公開されバックアップ電源が全て失われたことが紹介されています。その時点でこの状況が「何を意味しているか」を報道してもらいたかったものです。

 ―― 津波によってバックアップ用ディーゼル発電機が使えなくなった。
このことは、最初の日に報道されています。これが「何を意味するか」をその時点で報道してくれなければ困ります。多くのテレビに大学の先生が入れ替わり立ち代わり出てきて曖昧な、かつ、勝手なことばかりおっしゃる姿を拝見して立腹しておりました。
 その中で京都大学の中島先生が「それは有り得ません。誤報です」と断定じておられたお姿には好印象を受けました。

 ―― エンジニアが、手足を切断され、両目を潰され、自宅に閉じ込められて苦しんでいる極度の窮状を知れば、「お前の目の前の火災を早く消火せよ」とは言えません。全国民一丸となって最悪の事態を回避するために協力しなければなりません。そのための報道をして貰いたいです。

 ―― ヘリコプターを飛ばし、危険と指定されている30km以内に入り、詳細「動画」と「写真」撮影をしてそのデータを東電に提供し、「判断を助ける」ことをしてほしいものです。もちろん、「風上」から撮影することはいうまでもありません。
 NHKの報道で「30km離れた位置から撮影した」と強調していました。この非常時に「安全規定」を守ることに、何の意味があるのでしょうか。この報道に対して違和感をもった人は、私だけだったでしょうか。

 ―― 不肖私がこのブログを書いている目的も東電エンジニアに対する協力の一貫です。同じ職業のエンジニアとして東電エンジニアと同じ目線で考えています。東電エンジニアを非難したことになるような取材と報道はやめてください。

 リスクマネジメント国際規格ISO31000に関連して、東電「福島原発」第一原発爆発を書いています。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(13)

 今回の福島原発爆発はスリーマイル事故より大きく、チェルノブイリに迫る。これは、フランスの原子力機関が格付けした結果です。昨夕(2011年3月15日)報道されました。

 ―― 冗談ではありません。
 チェルノブイリ事故は臨界状態(連鎖反応)が止まらなかったものでした。我々の原発は、「原理上」再び臨界状態(再臨界)にはなり得ません。もしもそのようなことが「理論上」予想されるのであれば、ブログ(7)で書いたように「決死の覚悟でプールへ給水をする」ことが必要です。

 ―― これを計画の実行を「決断」する主体者は東電でなくてその上のレベルです。もちろん立案する当事者は東電ですが、そして東電エンジニアですが。

 ―― 1号機~3号機は、すでに峠を越えているので、問題は皆無です。しかし4号機の使用済み核燃料棒は、もしかしたら理論上「再臨界」が有り得るかもしれません。専門外の私には計算できません。
 枝野官房長官は3月11日の4号機の水素爆発を踏まえて「再臨界」を示唆されました。これを受けて私もブログ(7)を書きました。「今後の最悪シナリオ」と書きました。

 ―― 「上のレベル」とは政府です。
 まず理論上有りえるのか、有り得ないかを日本国政府自らが指揮を取って至急結論を出す必要があります。その結果を国民に知らせる必要があります。
 そして万が一でも理論上「再臨界」が有り得るなら、政府は非常事態宣言を出して政府の責任の下で「注水決死隊」を編成すべきです。74歳の私でもお役に立つなら、決死隊に参加します。子供達の未来のために。

 ―― 理論上有り得ません。
 これを政府は早く結論付けてください。今、枝野官房長官の「悪夢」のような示唆が「残って」います。

 リスクマネジメント国際規格ISO31000に関連して、東電「福島原発」第一原発爆発を書いています。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(12)


 3号機の格納器の下部スプレッションプールの安全弁が自動的に開いて圧力が「安全」な方向へ抜かれたものと楽観していると、前ブログで書きました。

 ―― 今(2011年3月16日午後12時10分)、枝野官房長官の記者会見がありました。曰く「白煙は、3号機から出ている」と。これは東電さんからの報告に基づいていると。東電エンジニアはよく3号機であると特定して報告されたものと、大きな敬意を払います。

 ―― 記者の質問に答えて推測だと前置きして曰く、「2号機でもあったように、3号機格納容器の一部から水蒸気がでたもの」と。これも報告にもとづいていると。

 ―― 前ブログにおいて「1号機」「3号機」はすでに危機を脱し、「2号機」も峠を越えたと書きました。その通りです。もう大丈夫です。手足をもがれ、かつ、強い放射能の中で東電エンジニアはよくやってくれました。2011年3月16日午後1時。

 残る不安は4号機です。リスクマネジメント国際規格ISO31000に関連して、東電「福島原発」第一原発爆発を書いています。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(11)


 今(2011年3月16日午前10時30分)、3号機~4号機近辺から「白煙」が上がっています。NHKヘリコプターが30km遠方(海側)から撮影している映像です。風に流れて行く後を目で追っていくと、少しだけ本物の「煙」が混じっています。しかし殆どが「水蒸気」です。規定通り、安全な30kmはなれた位置から撮影しているそうです。

 ―― 東電福島支店に記者が詰めかけ、支店長を問い詰めています。曰く「何号機か?」「そのどこか?」「原因は何か?」と。
マスコミはその暇があれば、自社のヘリコプターを飛ばして30kmといわず、「風上」から近くまで近づいて撮影し、その映像を東電に提供したらどうですか。

 ―― バックアップ電源を津波で失った現在、手足をもがれた状態で、しかも、強い放射線が故に総合制御室(コントロールルーム)から出られない今、マスコミも「決死」の覚悟で東電に協力したらどうですか。東電エンジニアが懸命に奮闘している今、東電社員に食い下がることは控えたらどうですか。

 ―― 私は水蒸気の量から見て、止まっている4号機のプールではなくて、3号機の格納器の下部スプレッションプールの安全弁が自動的に開いて圧力が安全な方向へ抜かれたと楽観しています。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(10)


 リスクマネジメント国際規格ISO31000に関連して、東電「福島原発」第一原発を書いています。そして前ブログにおいて「1号機」「3号機」はすでに危機を脱したと書きました。

「2号機」に関しては――、
「建物が破壊したから安心」と書きましたが、写真を見ると実際は破壊されていません。水素爆発が発生した位置は、沸騰部の下部、かつ、格納器の下部でサプレッッションプールと呼ばれる緊急用の冷却水の(ドーナツ状)貯槽の周辺であり、爆発直後に沸騰部の圧が下がったそうです。下がった理由は、

 ―― 沸騰部の水蒸気を抜いた
 と、推察しています。だから水素が分離して爆発したものでしょう。
 沸騰部対する注水状況に関してはまだ発表がありませんが、おそらくもくろみ通りに圧力が下がったので前述した仮設ポンプでも注水ができていると推察しています。よって「2号機」も峠を越えたと思います。

 ―― 注水用モーター
 本日小松TBSテレビで、小松空港を立つ「モーター」を見ました。モーターにしては荷姿が長いのでこれはポンプとモーターがセットになった注水機ではないかと推測します。大きさから見てモーターは、50~100馬力だと思います。しかも3月12日に小松空港を航空自衛隊機で出発しました。

 このような準備が国民の目に入らない舞台裏で着々と進んでいるのです。安心してよいのです。「東電がんばれ!」は、「がんばっているね、東電!」と言い直します。「東電のエンジニア、頑張っているね」です。エンジニアとして嬉しく思います。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(9)


 リスクマネジメント国際規格ISO31000に関連して、東北関東大地震(2011年3月11日午後1時46分)とそれによる津波を書いています。「地震」「津波」「原発」による3つの大きな被災がありました。ここでは「福島原発」第一原発を書いています。

「1号機」「3号機」の危機に関しては、すでに峠を越したと私は楽観的に見ています。その理由は、(繰り返しますが)建屋が破壊されたために、安心して水蒸発部の圧力を抜くことができて外部から注水がやり易くなったからです。
 一方、出力100~200kw程度のモーター付き仮設ポンプを導入したでしょう。電源は、建設現場でよく使用するディーゼル発電機を複数並べるとOKです。このような手配は、大勢の東電スタッフが手分けして津波のあった11日中には終えているでしょう。マスコミでは報道されていませんが、これが常識です。

 ―― 昨日保安員は、蒸発部の圧力が7MPaであると発表していました。運転中ならいざ知らず、止めた後でも7MPaというのはちょっと信じられませんが、一応信用しましょう。するとこの圧力に対して専用のポンプならば問題なく注水できますが、それが止まっている現在、外部から急遽調達した仮設ポンプを使用しているでしょう。
 その仮設ポンプは、7MPaの内部に押し込める吐出圧を有してはいないでしょう。プランジャーポンプか、或いは特殊なターボポンプで無いと無理ですし、それが直ちに手配できるとは思えません。圧力が下がったので吐出圧の低い「並の」仮設ポンプでも注入できるでしょう。

 ―― 因みに言うと、私は一般的に大型復水式(真空式)タービンを駆動するに必要な圧力は、およそ6~7MPaと理解しています。原子力といえども同じと思います。ですから7MPaという値は頷けます。しかし蒸発をストップしている蒸発部が7MPaとは信じていません。この圧力だと温度は250℃程度にもなってしまいますから。この当たりの詮索は置いといて、ともかく仮設ポンプでは注入できなかったでしょう。

 次ブログへつづきます。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(8)

 福島原発の爆発に関して、リスクマネジメントに関する国際規格ISO31000指針が求めるようなマネジメントが適切に実施されていたかどうかを検証しています。

 ―― 前ブログにおいて、菅直人総理が「東京電力は、危険を顧みずこれ以上の拡大を防いでほしい」といったことを紹介しました。しかし実際は「危険を顧みずやってもらっている」という表現でした。首相は「やってほしい」となぜ言わないのでしょうか。

「やってもらっている」
 では、他人事に聞こえます。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(7)


 前ブログにおいて「1号、2号、3号」炉は、すべて屋根が吹き飛んだので「もう大丈夫」と逆説的に言いました。「炉心融解」は発生しないという意味です。このことは正しいのですが、そこへ新たなニュースが飛び込んできました。「4号炉において火災発生」と。本日(2011年3月15日)午前11時頃のことでした。

 ―― 火災発生の原因
4号機は地震発生時点では、定期修理のために発電停止して核燃料棒を炉心から取り出し、4階の水プールに漬けてあったそうです。しかしプール水を循環するポンプの電力が供給されないので干上がってしまったそうです。
 核燃料棒の中に含まれているウラン235が(連鎖反応はストップしているのですが)自然崩壊してアルファ線やベータ線などの高エネルギー放射線を出し、それが棒内部において熱に変り、この熱でプール水が蒸発して核燃料棒が裸(はだか)になり、さらに温度が上がって金属性燃料棒と水面との境界部分で水を分解して水素が発生したものと推定されます。これが爆発火災の原因です。

 ―― 今後の最悪シナリオ
 今回はもっと恐ろしいことが起こりつつあります。干上がった核燃料棒を放置しておくと、さらに温度が上がります。鞘は、金属ジルコニウム製であり、その融点は1855℃です。ですから容易に融解します。
 これはいわゆるメルトダウン(炉心融解)に相当します。しかも格納器のない場所におけるメルトダウンです。まるでチェルノブイリとそっくりです。現に付近で400ミリシーベルト/時の放射能が検出されたと報じられました。この値は、これまでに報道されていた値と3桁以上大きな値です。放射能は単独では発生しませんから、これを載せる化学物質があります。その化学物質が飛散してきたということです。

 ―― 対策
 とりあえず火災を消火したとの報道がありました(13時00分)。今後やることは、決死の覚悟で給水車(無ければ消防車)を使用して水を4階のプールに注入することです。すでに建屋が破壊されていて水素が屋内に「こもる」心配はありません。
これによって更なる「炉心融解」は防止できます。さもないと、燃料棒全部の溶融という極めて恐ろしいことになります。菅直人総理も「東京電力は、危険を顧みずこれ以上の拡大を防いでほしい」と。

 前ブログにつづいて言います。「頑張れ東電!」と。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(6)


 昨夜家族と次のような面白い会話をしました。福島原発第一発電所の二号機が、すでに「水素空気混合爆鳴気引火爆発(以下単に「水素爆発」)を起こして建屋の上部が吹き飛んだ「1号機」と「3号機」は、もう「炉心融解」の心配ない。なぜならば建屋に水素が充満する危険を心配することなく(水素を含む)水蒸気を抜いて圧力を抜くことが可能だからと。圧力が下がれば外部から冷却用の「水」を十分に注入することができると。

 ―― 会話は続きます。
 今、2号機が同様の水素爆発の危機に瀕していると報道された。これを回避するには水素濃度が4%に達する前に建屋上部に大きな穴を開けて水素空気爆鳴気を大気中へ逃がす他はないが、この工事は時間の制限があるので不可能だ。多分夜中に水素爆発が発生するだろう。
しかしこの爆発は返って好都合である。なぜならば、水素爆発の憂いなく水蒸気を抜いて「炉心(水沸騰部)」圧力を下げることができる。そうなれば2号機も大丈夫。即ち「炉心融解」という最悪の事態を回避できる。

 ―― 予告通り
 今朝(2011年3月15日)7時頃、水素爆発があったことが報じられました。CNNが爆発瞬間の動画を放映しました。これを見ると水素爆発であることが明らかです。
この水素爆発によって建屋の上部が吹き飛びました。これで2号機も今後は水素爆発の心配なく水蒸気を建屋内で放出して炉心の圧力を抜く(下げる)ことが可能です。よって注水が可能であり、もう炉心融解の危険は去りました。

 ―― リスクマネジメント
 この中の「危機管理」とは、今の状況においてもっとも回避したい事態を特定し、特定外は「切って」それに集中することです。それは「炉心融解」です。
今世界中のマスメディアが、日本の「Nuclear meltdown」(炉心融解)を心配しています。チェルノブイリの二の舞を心配しています。私はBBCとCNNをスイッチオンのまま視聴しつづけているのでこの「心配」を知っています。

 ―― 安全宣言は近い
 「『炉心融解』を押さえこんだ」との宣言を早く世界に発信したいものです。「頑張れ東電!」と声援を送りましょう。今後の日本のために。
 未曾有の地震津波による被害を受けたにも拘わらず、福島第一原子力発電所の1号、2号、3号機の「炉心融解」を押さえ込んだ。この宣言は、間もなく出るでしょう。そしてこの宣言を世界に向かって高らかに発信しましょう。

 もう一度、「頑張れ東電!」。残る課題は「冷却水の循環」。これに関しては次ブログに譲ります。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(5)

 前ブログにおいて、福島原発の1号機と3号機の建屋爆発は、建屋の「設計ミス」と断じました。しかし実際はそのように設計せざるを得なかったものでしょう。
なぜならば、「緊急の際は建屋外部に放出する」と言っては、近隣住民の合意が得られないでしょう。だからいわゆる「閉じ込め」が求められたのでしょう。これを受けたプラント設計会社が、施工主の言うことだからといって「閉じ込め」設計をしたのでしょう。

 ―― 閉じ込め設計をした結果、「緊急事態」において建屋の中で、水素が空気と混合した状態で存在することになったものでしょう。
その結果、1号機と3号機が水素空気混合物の爆鳴気の静電気着火爆発を起こしたものでしょう。

 ―― 放射線発生物質を閉じ込めた結果、返って放射線発生物質の「漏洩」をきたしたという、皮肉な結果をもたらしました。国民が「100%」閉じ込めをもとめた結果が「漏洩」という結果を招いたのです。国民も、もっと賢くならなければいけません。

 ―― 国民は、リスクマネジメントを学ばなければなりません。リスクマネジメントとは、「どこまで我慢できるか」を予め定めることです。これが出発点になります。これがISO31000の求めるところです。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(4)


 リスクマネジメント国際規格ISO31000に関連して福島原発の爆発をリアルタイムで論じています。前ブログにおいて、「排気設備が建屋内に設置されていなかったとするならば、これは現場指揮者の問題ではなくて「設計ミス」」と断じました。

 ―― 今、NHK総合テレビで「2号機も水素が溜まってきた。建物上部に穴を空けて逃がそうか」という論議がなされていることが報道されました。2011年3月14日午後4時40分頃の放映です。

 ―― これで「設計ミス」が判明しました。化学プラント設計エンジニアの私には信じられないことですが、「設計ミス」と断定せざるを得ません。

 ―― 水素の空気中における爆発下限界値は4容量%ですから、その値に達する前に穴を開けなければなりません。4%に達した後で穴を開けると3号機の建屋も大爆発を起こします。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(3)


 本日(2011年3月14日、午前11時1分)三号機において、昨日の1号機と同様な爆発が起こったと報道されました。不幸にして枝野官房長官が昨日予告しておられた事態が現実のものになりました。
 
 ―― 事前に予告された枝野官房長官は、高く評価できます。しかし私は、予告したにも拘わらずこれを防止できなかった現場の指揮者は何をしていたのだろうかと訝しく思っています。もちろんその予告は、現場の指揮者から上がってきた予告であると思いますが。

「なぜ排気できなかったか?」
 と、いう疑問です。

 ―― 大きな建屋内に「爆鳴気」が大量に蓄積されている状態を放置しておけば、静電気によって引火大爆発が発生することは常識です。しかも本日の湿度は、東京で30%であり、静電気を帯び易い「低湿度ゾーン」に入っています。現地の湿度がどのていどだったかは知りませんが。

 ―― 建屋内で水素を含有する発生水蒸気を凝縮させ、かつ、排気設備が建屋内に設置されていなかったとするならば、これは現場指揮者の問題ではなくて「設計ミス」と言わざるを得ません。なぜなら前々ブログで書いた通り、高温の金属に高温の水蒸気が接触すると水素が発生することは常識だからです。そして緊急事態の場合、高温の金属が高温の水蒸気と接触すること、そのこと自体は想定内であるからです。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(2)

 昨日、福島第一原発の一号機において建屋内に空気と混合して滞留している水素(H2)に引火してガス爆発を起こしたことを紹介しました。そしてこれは原子炉の中心部とは何ら関係はないと説明しました。

 ―― 英国BBC放送は、「ガス爆発」瞬間の動画を繰り返し、繰り返し放映しています。この記録動画により、爆発の瞬間に衝撃波が走ったことが分かります。衝撃波は、「量の多い爆鳴気」の引火爆発に特有な現象です。

 ―― 一般市民の方々は、原子炉中心部が破壊されて放射線発生物質が大量に漏洩したと思っておられたかも知れませんが、そんなことはないので心配は要りません。理由は以下の通りです。
 いわゆる「炉心」部は、密閉用の頑丈な鋼鉄製容器に格納されています。この鋼鉄製容器は格納器と呼ばれます。格納器の外側で発生した「ガス爆発」程度で破壊されることは絶対にありません。

 ―― 因みに紹介します。
 この格納器を製造できるメーカーは、世界中探しても一社しかありません。その一社とは、日本の室蘭にある「日本製鋼所」です。戦艦大和の直径46センチの巨大砲弾を打ち出す大砲を鍛造技術で製造した会社です。その鍛造技術を駆使して「釣鐘」のような形をした格納器を製造するのです。

 多大な被害をもたらした「チェルノブイリ」原発では、炉心はこのような格納器に納められていなかったそうです。

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福島原発の爆発―ISO31000リスクマネジメント(1)

 今リスクマネジメント国際規格ISO31000に関する一連の連載ブログを書き終えたところです。そこへ大きな揺れを感じました。2011年3月11日午後2時46分のことでした。

 東京電力株式会社福島原子力第一発電所第一号機が「爆発」したと報道がありました。これを聞いて多くの人々は大量の「放射線もれ」があったであろうと思ったでしょう。

 ―― そんなことは有り得ない。
 と、私は髙をくくっています。

 ―― 私は圧力100kg/cm2、直径2m、高さ10mの極めて危険性の高い「高圧可燃性ガス腐食性液体反応器」の基本設計をした経験から、反応器に相当する「炉心」が破壊することはないことを知っているからです。この常識を持った上で、東京電力の対応を見守っています。

 ―― 見守った結果として私の印象を項目で上げると以下の通りです。
1)  たとえ津波が如何に想定外の大きさのものであっても、自分が動かしている装置を安全に停止することができない事態に陥ったことは恥ずかしいことと思ってほしい。
2)  高温の金属に水蒸気が接触すれば、そこから水素が発生することは化学反応の専門家にとっては常識。水蒸気と水素の混合ガスが冷却されると可燃性水素が分離することは常識。この常識に立てば、炉心を密閉するための「格納器」を設置してある建屋の中で水蒸気を凝縮させることは常識外。水蒸気と分離された水素が空気と混合すれば、いわゆる爆鳴気を形成することも常識。そして形成した爆鳴気が静電気によって着火爆発することも常識。現に爆発瞬間の動画を見ると、衝撃波が走っていることが観察される。この常識外のことをやって建屋内爆発を引き起こして建屋を破壊したことは、恥ずかしいと思ってほしい。
3)  建屋爆発の結果、建屋の構造が極めて弱いものであることを暴露してしまった。壁が吹き飛んだ建屋上部の鉄骨構造が剥きだしになり、格納器が外部から見える状態が写真に写っている。これでは「テロ」勢力に、「攻撃が容易である」ことを暴露してしまったようなもの。即ち下3分の2は頑強なRC構造であるが、上3分の1は脆弱なS構造であることが暴露してしまった。
4)  遡って、海岸に位置しているにも拘わらず、受電送電用変圧器やバックアップ用ディーゼル発電機が津波に対して無防備であったことは、恥ずかしいことと思ってほしい。たとえ津波が如何に想定外の大きさのものであっても。

 本日(2011年2月13日午後10時30分)現在、まだ結論はでていませんが、テレビ報道を見た正直な感想を述べました。本件、私の専門であるリスクマネジメントISO31000に関連するので次回以降のブログにおいて詳述します。

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田邉康雄のISO31000「自己宣言」審査は、JTTASの事業へ-16


 前ブログにつづいて、分科会長の私が考えている私案を開示しています。全12項目を開示しました。

 これら12項目が、「準備分科会の分科会長を拝命した田邉康雄の『JTTASによる証明事業』案の骨子であり、今後JRMRに諮り、必要な修正を加えてJTTAS理事会にかけ、決定してもらいたいと考えています。

 ―― この無料証明事業によってJTTASは、経済産業省認定の社団法人として我が国のリスクマネジメントのレベル向上に寄与し、もって我が国の工業技術の振興に寄与します。
 同時に定年退職後も社会貢献をしたいと願う現役技術者に将来目標を与えることにより、「定年退職後の不安」なく、現職の新技術開発や新製品開発に専心してもらうことができます。

 ―― これによって我が国の工業技術の振興を図ることができます。換言すると「JTTASによる無料証明事業」は、私田邉康雄が提唱する「生涯現役エンジニア」を実現する有力なツールとなります。

 なお当面は、田邉康雄の得意分野である製造業からスタートしますが、他分野の人材の確保を進めながら、分野を拡大する予定です。例えば医療や介護などです。

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