◆ 最近読んだ本~時価会計不況
最近読んだ本をご紹介します。
『時価会計不況』(田中弘著、新潮社、2003)という本です。
会計に興味のない方は、あまりそそられない内容かもしれません(^^;)
また、業界の方からは、(この本は2003年に発刊されているので)『何を今さら・・・』と言われてしまいそうなのですが。
昨今の不況下、何となく手に取ってしまいました。
ところが読み始めてみると、とても興味深く、スイスイと読めました。
5年以上前の内容にもかかわらず、十分現在でも通用する内容です。
従来からの会計の考え方に『取得原価主義会計(おおざっぱに言うと、購入したときの原価で帳簿に記帳し、決算書をつくる会計)』というものがあります。
これに対し、90年代後半の日本版金融ビッグバン政策の推進とともに、会計の考え方も『時価会計(おおざっぱに言うと、金融商品等の資産を期末時の時価で評価し直して決算書をつくる会計)』というものが台頭してきました。
著者は、この時価会計の考え方について様々な例を挙げながら疑問を投げかけ、不況下で時価会計を強行して行くことの危うさを説いていっています。
証券化商品ばかりが悪者になっていますが、会計も不況の一端を担ってしまっているのだなぁと実感させられた一冊でした。