@給付付き税額控除@
政権交代とともに税に関する改正にも注目が集まっています。
『配偶者控除』や『扶養控除』などの見直し(廃止?)については、マスコミの報道により衝撃的に伝えられていることも多いようです。例えば『配偶者控除』については、一定の要件を満たす配偶者を扶養している場合には38万円の控除を受けられるのに、廃止されたらその恩恵を受けられなくなってしまう、大変だ、といった具合です。
こうした報道をせっかちに聞いてしまうと、『配偶者控除』の廃止により38万円もの税負担が増えてしまうかのような気になってしまいます。
そもそも、話題の『配偶者控除』や『扶養控除』などは、税金の用語でいうところの『所得控除』というカテゴリーに属します。
この『所得控除』とは、文字どおり所得から控除できる金額のことです(あんまり説明になっていませんね)。所得とは、平たく言うと『もうけ』とか『利益』みたいなものですから、『所得控除』とは、もうけからひける金額といった意味合いになります。
ここで税金の計算は、
所得金額 × 税率 = 税額
という算式で計算されます。とすると、一口に『配偶者控除』を受けられると言っても、その人の税率によって税額への影響額が変わってきます。税率が40%の人は38万円×40%=152,000円もの恩恵を受けられるのに対して税率が5%の人は38万円×5%=19,000円だけ恩恵を受けることになります。『おいおい、配偶者1人養ってたったの2万円弱しか税金が安くならないのか』。そんなお声もたまに承ります。また、(税率の高い)高所得者に有利だとの批判を受けることの所以でもあります。
そこで出てくるのが税金の用語で言うところの『税額控除』です。
この『税額控除』とは、いったん計算し終わった税額からさらに控除できる金額といった意味合いです。この『税額控除』にすれば、例えば配偶者1人につき10万円を控除する、といった具合に、その人の税率に関係なく恩恵を受けることができます。ある意味平等なシステムと言えるかもしれません。
でも、、、
所得税が0円のような人はどうでしょう?もともと税金を払っていないので、控除しようにも控除することができないので、恩恵を受けられないのです(もともと税金を払っていないのだからやむを得ないだろう、という議論もありますが、ここは『友愛』の精神ということで・・・)。
そこで『給付付き税額控除』(ようやくタイトルの内容が出てきました!)の出番です。一定額以上の税金を納めている人については『税額控除』を適用して税金を安くする。他方、税金を納めていない人(あるいは一定額以下の税金しか納めていない人)には相当額の給付金を付けましょう、という方法なのです。これで所得税が0円の人も恩恵を受けられるようになります。
実行にあたっては正確な所得の把握がどれだけできるかなどの技術的な問題点もあるようです。納税者番号制度とセットに導入を検討しているとのウワサも・・・。税金屋さんからすると注目の制度だと思います。