平均寿命と相続税
平成22年度の税制改正の概要が明らかになってきました。所得税の扶養控除の見直しや住宅取得等資金を贈与した場合の非課税限度額の引き上げなど、新聞その他で話題となっているものも多々あるのですが、今回は地味~なものをひとつ取り上げようと思います。
相続税法においてもいくつか改正がありそうなのですが、その中のひとつに『障害者控除』の改正がありそうです。この障害者控除というのは、相続税額の計算過程で、一定の要件を満たす障害者は次の算式により計算した金額だけ税額の控除を受けることができます、という制度です。
【算式】 6万円(特別障害者は12万円)×その控除を受ける者が70歳に達するまでの年数
たとえば、その障害者が40歳だとしたら70歳まであと30年あるので、6万円×30年=180万円の控除を受けることができるのです。
今回の改正においては上記【算式】の年数を70歳から85歳に引き上げるというのです。
相続税法ができたのは昭和25年です。この頃は、『70歳くらいまで生きると仮定すればいいんじゃないの?』ということで、算式の年数も70歳とされたようです。ちなみにこの頃の実際の平均寿命は男性が59.57歳、女性が62.97歳でした(厚生労働省のHPより)。
さて、それから60年が経過した平成の世、平均寿命は男性が79.29歳、女性が86.65歳まで伸びました。当初仮定していた70歳はゆうに超えるようになってしまいました。
今回の改正は、そうした長寿化に対応した改正なんですね。
(参考条文:相続税法第19条の4)