事業場外労働のみなし労働時間制における1日における労働時間の算定
事業場外で業務に従事し、会社や上司の具体的な指揮監督が及ばず、
労働時間の算定が困難な場合は、
事業場外労働のみなし労働時間制を活用して、
その事業場外労働の時間を「みなす」ことになりますが、
この場合の1日における労働時間の算定の方法は、以下の通りになります。
所定労働時間とは就業規則等で定められた
始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間のことで、
労働義務のある時間です。
例えば、次の図のとおり、所定労働時間が7時間30分、
休憩時間が1時間(午前12時から午後1時までの間)で
始業時刻が午前9時、終業時刻が午後5時30分の場合に、
事業場外労働のみなし労働時間制による労働時間の算定方法と
1日の労働時間の算定は次の通りになります。
(青い線:事業場内労働)
<1 労働時間の全部について事業場外で労働した場合>
ア 労働時間の全部について事業場外での業務を行う
いわゆる直行・直帰型の事業場外労働の場合
ケース1(赤い線:事業場外労働)
この場合、労働時間の算定が困難な事業が外の業務の遂行に
通常必要とされる時間(通常必要時間)が所定労働時間以内であれば、
所定労働時間労働したものとみなして、
1日の労働時間は7時間30分と算定して労働基準法を適用することになります。
ただし、上のケース1のように、
事業場外労働が常態として
所定労働時間(7時間30分)を超えて8時間行われる等、
所定労働時間を超えることが通常必要となる時は、
通常必要時間を労働したもの(この場合は8時間)とみなすことになります。
なお、通常必要時間とは、「通常の状態でその業務を遂行するために
客観的に必要とされる時間」のことで、
対象従業員の事業場外労働の実態等により必要時間は異なることから、
事業場外労働の実際に必要とされる時間を平均した時間となります。
<2 労働時間の一部について事業場外で労働した場合>
ア 事業場内労働(内勤)を行った後、
事業場外労働(外勤)を行ってそのまま直帰する場合
ケース2(青い線:事業場内労働 赤い線:事業場外労働)
外勤の通常必要時間(例えば3時間の場合)が
内勤の時間(上のケース2の場合は9時から14時までの4時間)を合計すると7時間となり、
所定労働時間数(7時間30分)以内であるので、
外勤については内勤の時間を含めて所定労働時間働いたとみなし、
1日の労働時間は7時間30分となります。
ただし、内勤の時間が5時間である場合には、
外勤の通常必要時間の3時間を加えると所定労働時間数を超えるので、
この外勤は3時間働いたものとみなして、1日の労働時間は8時間となります。
イ 直行型の外勤を行い、その後内勤を行う場合
ケース3(青い線:事業場内労働 赤い線:事業場外労働)
この場合は、外勤の通常必要時間(例えば3時間の場合)が
内勤の時間(上のケース3の場合は14時30分から18時30分までの4時間)を
合計して所定労働時間以内であるので、
外勤については内勤の時間を含めて所定労働時間労働したものとみなし、
1日の労働時間は7時間30分となります。
ただし、内勤の時間が6時間である場合には、
外勤の通常必要時間の3時間を加えると所定労働時間数を超えるので、
この外勤は3時間働いたものとみなして、1日の労働時間数は9時間となります。
ウ 外勤と内勤が混在する場合
ケース4(青い線:事業場内労働 赤い線:事業場外労働)
この場合も、AとBの外勤の通常必要時間(例えば4時間の場合)が
内勤の時間(上野ケース4の場合は3時間30分)を合計して所定労働時間以内であるので、
外勤については内勤の時間を含めて所定労働時間働いたものとみなし、
1日の労働時間は7時間30分となります。
ただし、内勤の時間が5時間30分である場合には、
外勤の必要時間の4時間を加えると所定労働時間を超えるので、
この外勤は4時間働いたものとみなして、1日の労働時間は9時間30分となります。
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