海外派遣労働者に労働基準法は適用されるか?
海外において日本の建設業者により土木建築工事が施工される場合に、
派遣されて作業に従事する従業員に対して労働基準法は適用されるのでしょうか?
これについては次のように考えます。
1 日本国内の土木建築事業が国外で作業を行う場合で、
その作業場が一つの独立した事業と認められない場合には、
現地における作業も含めてその事業に労働基準法は適用されます。
2 労働基準法違反行為が国外で行われた場合には、
刑法総則の定めるところにより罰則は適用されません。
ただし、日本の国内にある使用者に責任がある場合にはこの使用者は処罰されます。
3 前記「2」に述べたように使用者が国外で労働基準法違反行為をしても
罰則の適用はありません。
ただし、その場合でも従業員は使用者の民事上の責任を追及することができます。
(以上、昭和25年8月24日 基発776号より)
この行政解釈を基礎とすると、海外支店や現地法人など外国にある事業場には、
労働基準法は適用されないことになります。
これに対して海外出張の場合には、その従業員の国内の事業に所属するものといえることから、
労働基準法が適用されることになります。
それでは、労働契約や民法などについてはいかがでしょうか。
これらの領域については、労働契約にどの国の法を適用すべきかという準拠法の問題が生じます。
これについては現在、法の適用に関する通則法が規定しています。
労働契約においても、どの国の法を適用すべきかについて
契約当事者の選択は認められます(通則法7条)。
ただし、当事者が適用する国の法の選択を行った場合であっても、
従業員がその労働契約に最も密接な関係がある地の法
(原則として、労務提供地の法がこれにあたると推定されます。通則法12条2項)
における特定の強行規定を適用すべき旨の意思を会社に対して伝えたときには、
強行規定の定める事項については、その強行規定も適用されます(通則法12条1項)。
当事者が法選択を行わない場合には、
その労働契約において労務を提供すべき地の法が、
その労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定され、適用されます。
(通則法8条、通則法12条3項)
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