就業規則がないと解雇はできないか?
就業規則の作成義務や届け出義務がある会社であるにもかかわらず、
就業規則の作成や届け出を行っていない会社で、
従業員を解雇する事件が起きました。
従業員は
「就業規則がそもそもないのに、何を根拠に解雇するのか?
解雇なんてできるはずがない!」
と主張しています。
就業規則がない会社は従業員を解雇することはできないのでしょうか?
結論から申し上げますと、解雇することは可能です。
もちろん、就業規則の作成・届け出義務を怠っているという、
労働基準法違反の問題はありますし、
解雇権の濫用ですとか、解雇に当たり正当な理由があるか等の
ハードルを越える必要はあります。
ただ、そうは言っても、雇用契約の性質上、
会社は本来的に従業員を解雇する権限を持っています。
上記で述べた、解雇権の濫用や、解雇に当たり正当な理由があるか等というのは、
会社が本来持っている解雇権の行使の仕方の問題であり、
解雇権そのものが失われるということではありません。
また、就業規則の作成や届け出義務に違反していたからといって、
それを理由に、当然にその従業員を解雇できなくなるいわれはないと
裁判官も判示しています。
(秀栄社事件:昭和46年11月1日、東京地裁判決)
なお、解雇権の行使の仕方という点については、
労働契約法第16条で次のような制限がかけられています。
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解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする。
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何をもって「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」かは、
最終的には裁判で争うことになりますが、
いずれにしても、トラブルに発展すると、
会社にとっても、そしておそらくはご本人にとっても、
とんでもない重荷を背負うことになります。
さらに、整理解雇ともなると、整理解雇の4要件(4要素ともいう)と言って、
さらに高いハードルが待ち構えています。
そこで、実務の上では極力解雇という選択肢を選ぶ前に
「退職勧奨→本人受諾」という流れを作るよう、
お客様にご提案をすることが多いです。
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