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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

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労働基準法による解雇制限

労働基準法第19条では次のようなケースの場合は、
解雇の制限をかけています。

1 業務上での従業員のケガや病気の療養のために休業する期間と、その後30日間
2 産前産後の女性が休業する期間と、その後30日間

ただし、使用者が、打切補償を支払う場合、または天災事変その他やむを得ない事由のために
事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでないとしています。
なお、、この場合は、その事由について労働基準監督署の認定を受けなければいけません。

さて、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」とは
具体的にはどういうことを指しているのでしょうか。

以下、昭和63年3月14日基発150号を元にご説明します。

【やむを得ない事由】

やむを得ない事由とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づき、
かつ、突発的な事由の意味を指しています。
事業の経営者として、社会通念上取るべき必要な措置をもってしても
通常いかんともなしがたいような状況にある場合を言います。

通達では下記の事例が挙げられています。

★事業場が火災により焼失した場合。
 ただし、事業主の故意または重大な過失に基づく場合を除きます。
★震災に伴う工場、事業場の倒壊、類焼等により
 事業の継続が不可能となった場合

一方、次のような事例の場合は、やむを得ない事由には該当しません。

★事業主が経済法令違反のため強制収容され、
 または購入した諸機械、資材等を没収された場合
★税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合
★事業経営上の見通しの齟齬に代表される、
 事業主の危険負担に属すべき事由に起因して
 資材入手難、金融難に陥った場合
 個人企業で別途に個人財産を有するか否かは
 労基署の認定には直接関係はありません。
★従来の取引事業場が休業状態となり、発注品なく、
 そのために事業が金融難に陥った場合

【事業の継続が不可能】

事業の全部または大部分の継続が不可能になった場合を言います。

次のようなケースの場合は「事業の継続が不可能である」とは言えません。

★その事業場の中心となる重要な建物、設備、機械等が焼失を免れ、
 多少の従業員を解雇すれば従来通り操業できる場合
★従来の事業は廃止するが、多少の従業員を解雇すれば
 そのまま別個の事業に転換できる場合のように
 事業がなおその主たる部分を保持して継続できる場合
★一時的に操業中止のやむなきに至ったが、
 事業の現況、資材、資金の見通し等から
 全従業員を解雇する必要に迫られず、
 近く再開復旧の見込みが明らかであるような場合

なお、労働基準法による解雇制限以外にも他の法律により
解雇の制限がかけられています。
全体像を知りたい方はこちらも合わせてご覧ください。

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