違法な就業規則の条文は有効か?
就業規則の作成のご依頼を受けた際、
「それでは今の就業規則を拝見させていただけますか?」と尋ね、
現状の就業規則の内容を確認します。
その際、例えば、本来入社6ヶ月後に付与される有給休暇の日数は10日のところ、
「5日」等と記載されているケースがあります。
事情を確認すると、「10日も与えることはできない。」という社内事情があるとのこと。
まず、法的には「5日」というのは労働基準法に照らし合わせると、違法です。
労働基準法に定める労働条件は最低のものだとされています。
その最低条件を下回ることはできません。
この場合、就業規則全体が無効になるのではなく、
違法になっている部分のみが無効となります。
上記の「5日」は「10日」に引き上げられます。
ということで、就業規則に「5日」と書いてあったとしても、
従業員には「10日」が付与されることになります。
常時10人以上の労働者を使用している事業所については、
就業規則は労働基準監督署に届け出ることになっています。
労働基準監督署に実際に届け出ると、
条文をしっかりチェックしてから受理印を捺印する人もいれば、
内容をチェックせずに、機械的に受理印を捺印する人もいます。
受理印は「受理したこと」の証ではありますが、
内容が合法であることまでは証明していませんので、
受理印があるからと言って、「5日でOK」となったわけではありません。
ここから先は私の意見ですが、
★人にされて嫌なことは、人にしない。
★人からされて嬉しかったことを、人にする。
こうしたことは経営の基本であり、人とのかかわり合いの基本だと思います。
10日も付与したら会社が成り立たなくなる、というのは自分の都合。
スタッフが気持ちよく働いて、初めて自分の経営が成り立ちます。
スタッフが気持ちよく働くためにはどのような職場環境にすればよいか。
こうした気持ちをスタッフに伝え、
スタッフと一緒に「日々の運営に支障をきたさないようにしながら、
法定の有給休暇を付与し、なおかつ消化したいだけ消化するにはどうすればよいか?」と
ディスカッションをすることが大切だと私は思っています。
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