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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

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委任契約と雇用契約の違いって何ですか?

会社に対して個人が貢献する契約のあり方として、
委任契約というものがあります。

委任契約とは、当事者の一方が、相手に対して法律行為を委託して、
相手が、委託されたことを承諾することで成立する契約です。
ちなみに、法律行為以外のことを委託して、
相手が、それを承諾することで成立する契約もあります。
これを準委任契約と言います。
委任契約も準委任契約も、権利義務関係で実質的な違いはありません。

代表的な契約のイメージとしては、
会社と取締役との間の契約、大半のコンサルティング契約、
弁護士、税理士、社労士等との(大半の)顧問契約、
医者による医療契約等が挙げられます。

請負契約は「仕事の完成」とそれに対する「報酬」があることが要件でした。
「仕事の完成」というくらいですから、結果重視です。

一方、委任契約は「プロセス重視」です。
善良な管理者としての注意義務(通称、善管注意義務)を法律上負っています。

善管注意義務とは、委任された分野のプロとしての
注意を払いながら委任事務を行う義務です。

望ましい結果が得られない場合であっても、プロとしての注意を払っていた場合は
責任を取らなくてもいいですが、
仕事をするプロセスで、プロだったら当然気づくべき点を気づけなかったばかりに
望ましい結果が得られなかった場合は、善管注意義務に違反したことになります。

従って、取締役は経営のプロとしての注意を払いながら経営をする訳ですが、
プロとしての注意を払っていれば、会社が赤字になっても
株主から責任を取らされることはありません。

さて、この委任契約もやりようによっては雇用契約から切り替えることが可能です。

切り替えることができれば、会社としては社会保険料の負担がなくなりますし、
残業代の支払い、有給休暇の付与等の労働基準法上の義務からも解放されます。

当然のことですが、この切換えを合法的にするには、
雇用契約の色彩をなくすことが求められます。

雇用契約の場合は、会社と従業員の関係は使用/従属関係ですが、
委任契約の場合は、対等です。
委任事務をきちっとやってもらえればそれでよいのですから、
雇用契約のように何時から何時まで、どこそこで働け、というこまごまとした規制や、
指揮命令していると疑われる程度にまで仕事の進め方に口を出しすぎるのも御法度です。

当然ですが、雇用契約が前提の就業規則も適用できません。

また、従業員に対しても、労災保険は適用外となること等、
雇用契約と委任契約の違いについて
しっかり説明しないとトラブルの元となります。

実際に切換えを行う場合は、上記の他にも個々の企業ごとに検討すべきことが生じます。
信頼できる社労士か弁護士と相談しながら切換えを進めることをお勧めします。

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