これからのパートタイム労働対策の方向性
厚生労働省の労働政策審議会は、平成24年6月21日、
厚生労働大臣に対し、今後のパートタイム労働対策について
建議を行いました。
建議の内容は、今後のパートタイム労働法の改正に
大きな影響を与えるものです。
以下、建議の内容について、お知らせいたします。
なお、「→」以下の文章は当事務所の補足説明です。
<1 パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保>
1 有期労働契約法制の動向を念頭に、
パートタイム労働法第8条については、
①3要件から無期労働契約要件を削除するとともに、
②職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して
不合理な相違は認められないとする法制を採ることが適当である。
→今後、パートタイマーの取扱いについて「有期雇用」と
「無期雇用」の差が薄まっていく方向にあります。
2 職務の内容が通常の労働者と同一であって、
人材活用の仕組みが通常の労働者と
少なくとも一定期間同一であるパートタイム労働者について、
当該一定期間は、通常の労働者と同一の方法により
賃金を決定するように努めるものとされている
パートタイム労働法第9条第2項について、
有期労働契約法制の動向を念頭に、削除することが適当である。
→「1」と同様の流れを受けたものです。
パートタイム労働法第9条第2項に該当していたパートタイマーが
今後は新8条に該当する可能性が高くなることや、
今後、「有期」「無期」の差が薄まるに当たり、
「有期」を前提にした第9条第2項は
不要なのではという考えが背景にあります。
3 通勤手当は、パートタイム労働法第9条第1項の均衡確保の
努力義務の対象外として例示されているが、
多様な性格を有していることから、上記「1」の見直しに合わせ、
一律に均衡確保の努力義務の対象外とすることは
適当ではない旨を明らかにすることが適当である。
<2 パートタイム労働者の雇用管理の改善>
1 パートタイム労働者の「雇用管理の改善等に関する措置」
(賃金に関する均衡、教育訓練の実施、
福利厚生施設の利用、通常の労働者への転換等)に関し、
事業主が、パートタイム労働者の雇入れ時等に、
当該事業所で講じている措置の内容について、
パートタイム労働者に説明することが適当である。
2 事業主は、パートタイム労働者からの苦情への対応のために
担当者等を定めるとともに、
パートタイム労働者の雇入れ時等に周知を図ることが適当である。
3 事業主は、パートタイム労働者がパートタイム労働法第13条に定める
待遇の決定に当たって考慮した事項の説明を求めたことを理由として、
解雇その他不利益な取扱いをしてはならない旨、
「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する
措置等についての指針」(平成19年厚生労働省告示第326号。
以下「パートタイム労働指針」という。)に規定されているが、
これを法律に位置付けることが適当である。
4 厚生労働大臣は、パートタイム労働者の雇用管理の改善等に関し
必要な事項について調査、研究、資料の整備に努めるものとされている
パートタイム労働法第42条の規定に基づき、
教育訓練の実施やパートタイム労働者に関する評価制度
(職務評価・職業能力評価)について資料の整備を行い、
必要な事業主に対し提供することを促進していくことが適当である。
<3 その他>
1 パートタイム労働者が親族の葬儀等のために
勤務しなかったことを理由として解雇等が行われることは適当でない旨を
パートタイム労働指針に規定することが適当である。
2 報告徴収の実効性を確保するため、
報告を拒否又は虚偽の報告をした事業主に対する
過料の規定を整備するとともに、
勧告に従わなかった事業主の公表の規定を整備し、
さらに、勧告を行う場合であって必要と認められるときに
措置計画の作成を求めることができるようにすることが適当である。
3 行政刷新会議「事業仕分け」で、
短時間労働援助センターの在り方について
法改正を含めて対応するよう指摘されたことから、
同センターを廃止することが適当である。
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