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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

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割増賃金未払いの企業、労基署にココを突つかれた!

平成23 年4 月から平成24 年3 月までの1 年間(平成23 年度) に、
東京労働局の管轄下の企業を調査したところ、
時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金が
適正に支払われていない企業数は2,454社でした。

このうち、割増賃金について遡って支払うことになった金額が
100 万円以上になった社数は136社。

136社のうち6社は支払額が5000 万円を超えました。

【6社から学ぶ割増賃金未払い防止のポイント

1 管理職の方について、
  労働基準法上の管理監督者として認められるかどうか
  確認をすること
2 自己申告制で労働時間を把握している企業は
  入退館記録、パソコンのログ、鍵の収受簿等との整合性を
  調べられることを前提に、適切な管理を行うこと。

【6社の事案の概要】

A社
 業種:金融業
 遡及是正額:9億8207 万円
 労働者数:約390人

マネージャー等を管理監督者として
割増賃金の支給対象外としていたが、
職務権限等を検討したところ、
管理監督者には該当しないと判断されたことから、
過去の割増賃金を清算したもの。

B社
 業種:商業
 遡及是正額:1億7,435万円
 労働者数:約3,000人

事務部門及び管理部門は自己申告制により、
営業部門は1 日1 時間を「みなし残業J として
労働時間を把握し、
同時間により時間外労働時間の割増賃金を支払っていたが、
入退館記録及びパソコンのログ記録と
自己申告時間が軍離していたため、
実労働時間を調査した結果、
時間外労働の割増賃金に不足が生じていたもの。

C社
 業種:その他の事業
 遡及是正額:1億714万円
 労働者数:約180人

自己申告制により労働時間を把握し、
同時間により時間外労働の割増賃金を支払っていたが、
事務所の鍵の管理簿等と自己申告時間が乖離していたため、
実労働時間を調査した結果、
時間外労働の割増賃金に不足が生じていたもの。

なお、遡及払いした労働者の中には、
会社の36協定で延長できる時間として
定めている1 日4時間を上限として、
終業時刻を一律に記載している者も認められた。

D社
 業種:金融業
 遡及是正額:9,198万円
 労働者数:約560人

自己申告制により労働時間を把握し
同時間により時間外労働の割増賃金を支払っていたが、
パソコンのログ記録及び鍵収受管理簿と
自己申告時聞が乖離していたため、
実労働時間を調査した結果、
時間外労働の割増賃金に不足が生じていたもの。

E社
 業種:商業
 遡及是正額:7,496万円
 労働者数:約810人

営業担当者について、
労働時間を管理すべきとの認識が会社側になく、
労働時間を把握していなかったため、
営業担当者を中心にパソコンのログ記録に基づく
ヒアリングを実施したところ、
時間外労働の割増賃金に未払いが認められたもの。

なお、営業担当者の中には、
月100時間を超えて時間外労働を
行っている者も認められた。

F社
 業種:旅行業
 遡及是正額:6,597 万円
 労働者数:約910人

自己申告制により時間外労働時間を把握していたが、
パソコンのログ記録と自己申告時聞が乖離していたため、
実労働時間を調査した結果、
時間外労働の割増賃金に不足が生じていたもの。

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