会社分割~労働契約承継法~ その4(労働契約の承継)
労働契約承継法では
「主として従事する労働者」という概念がキーワードになっています。
そこで、今回は「主として」従事する労働者とは
どのような人を指しているのかを取り上げます。
【原 則】
1 「主として」従事する労働者とは、
基本的には、分割契約等を締結または作成する日において、
承継される事業に専ら従事している労働者をいいます。
【迷った場合の判断基準】
2 労働者が他の事業にも従事している場合には、
それぞれの事業に従事する時間、
果たしている役割等を総合的に判断して、
「主として」従事する労働者か否かを決定します。
3 総務、人事、経理等の
いわゆる間接部門に従事する労働者であって、
承継される事業のために専ら従事している労働者は、
「主として」従事する労働者となります。
労働者が、承継されない事業のためにも
従事している場合には、上記2によって判断します。
<労働者が、いずれの事業のために従事するのか
区別なく間接部門に従事している場合で、
上記2によって判断できないときの考え方>
原則として、判断することができない
労働者を除いた分割会社の
雇用する労働者の過半数の労働者が
承継会社等に承継される場合に限って、
その労働者は、「主として」
従事する労働者となります。
4 分割契約等を締結または作成する日において
承継される事業に主として従事していても、
次の人は「主として」従事する労働者に当たりません。
1 研修・応援等のように
一時的に承継される事業に従事している場合で、
当該業務の終了後には承継される事業に
主として従事しないことが明らかである人
2 育児等のために配置転換することを
分割会社と合意しており、
分割契約等を締結または作成する日以後には
承継される事業に主として
従事しないことが明らかである人
逆に、次の人は「主として」従事する労働者です。
1 研修・応援等のように
一時的に承継されない事業に従事している場合で、
当該業務の終了後には
承継される事業に主として従事することが明らかな人
2 分割契約等を締結または
作成する日においては休業していたが、
復帰後は承継される事業に
主として従事することが明らかである人
3 採用内定者や育児等のための
配置転換希望者等であって
分割契約等を締結または作成する日以後に
承継される事業に主として
従事することが明らかである人
【ポイント】
会社が労働者を承継会社等または
分割会社から排除する目的で
会社分割の効力発生日前に
意図的に配置転換を行ったような場合、
どうなるのでしょうか。
この場合、その労働者が
「主として」従事する労働者に当たるか否かは、
その労働者の過去の勤務の実態をみて
判断することとなります。
なお、不当労働行為等の違法な目的で
会社分割の効力発生日前に
配置転換を行ったような場合には、
当該配置転換は無効となります。
■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■