賃金の端数処理 その1<遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理>
賃金の計算において生じる端数処理で
遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理が問題になることがあります。
例えば、10分の遅刻に対して、
「15分遅刻したものとみなす」というようなことをしていませんか?
この例の場合、10分の遅刻に対して、
10分に相当する賃金カットをするには原則として構いませんが、
「15分-10分」である「5分」については、
労働の提供がされているにもかかわらず、
その分の賃金を支払わないということになります。
こうした労働の提供がされていない時間を超える時間のカットは
賃金の全額払いの原則に反するため、違法とされます。
なお、このような取り扱いを、
就業規則に定める減給の制裁として、
労働基準法第91条の制限内で行う場合には、
全額払いの原則には反しません。
労働基準法第91条の制限とは下記の通りです。
<一回の事案に対する減給額の制限>
減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはいけない
⇒例えば、制裁処分として
「今月から給与10%カット」というのは違法です。
<減給の総額に対する制限>
総額が一賃金支払期における賃金の総額の10%を超えてはならない
⇒減給の制裁処分に当たることを従業員が毎日したとしても、
総額の制限があるため、一賃金支払期における賃金の総額の10%が
その月に控除できる最高額となります。
仮に、10分の遅刻に対して、
15分の労働に相当する賃金を控除する場合で、
減給処分も合わせて行うと考える場合は、
10分の労働に相当する賃金控除は
ノーワーク・ノーペイの原則による賃金控除であり、
5分の労働に相当する賃金の控除部分が
減給の制裁処分としての賃金控除と考えます。
なお、こうした減給を含む制裁については、
就業規則に制裁に関する事項を定めてください。
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