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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

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規制改革会議のホワイトカラー・エグゼプション案

平成25年12月5日、第22回規制改革会議で配布された
雇用ワーキング・グループが提出した
「労働時間規制の見直しに関する意見」、
ホワイトカラー・エグゼプションのリニューアル案が
記載されています。

今後の雇用のあり方を巡り、
非常に重要な資料ですので、
以下、全文をご紹介します。

【改革の目的】

多様な形態で働く者それぞれの健康を確保し、
創造性と高い生産性を発揮できる
柔軟な労働環境をつくる。
それを通して労働者の活力と
企業の競争力を高め、
力強い経済成長を実現し、
新たな雇用機会を創出する。
 
1. 労働時間法制の包括的な改革を
 
★ 健康確保の徹底のための取組み・・・

  わが国ではフルタイム労働者の
  総実労働時間は過去20 年ほど変わっておらず、
  長時間労働はいまだに大きな社会問題である。
  健康確保を徹底するために、
  労働時間の量的上限規制の導入が必要である。
 
★ ワークライフバランスの促進・・・
  年次有給休暇消化率、長期連続休暇の取得率が
  国際的にみても低い。
  休日・休暇取得促進に向けた強制的取り組みや、
  労働時間貯蓄制度(時間外労働に対して
  割増賃金ではなく休暇を付与する制度)の
  本格的導入などが必要である。
 
★ 一律の労働時間管理がなじまない
  労働者に合った労働時間制度の創設・・・
  労働者の中には、その成果を
  労働時間の長さで測ることができず、
  実労働時間で管理することが
  なじまない層が多様に存在する。
  こうした労働者の生産性を上げ、
  長時間労働を解消するために、
  労働時間の長さと賃金のリンクを切り離し、
  その働き方にあった労働時間制度が必要である。

2. 労働時間規制の三位一体改革を
 
★ 上記の、①労働時間の量的上限規制、
  ②休日・休暇取得に向けた強制的取り組み、
  ③一律の労働時間管理がなじまない労働者に
  適合した労働時間制度の創設、は
  相互に連関した課題である。
  それぞれが個別に議論されると、
  使用者側・労働者側いずれかからの反対を受け、
  議論が進まない。
 
★ 規制改革会議では、上記 3 つをセットにした改革として、
  労使双方が納得できるような
  「労働時間の新たな適用除外制度の創設」を提案したい。
 
3.一律の労働時間管理がなじまない働き方に合い、
  健康確保と両立する適用除外制度の創設

 
(1) 現在ある労働時間の例外的措置のうち、
    ①管理監督者の適用除外、
    ②裁量労働制、の2 つについては、
    前者は"名ばかり管理職"を生んでいるという
    問題が指摘されており、
    後者は手続が煩雑で利用度が低い。
    このため、分かりやすく実態に合致した新制度を創設する。
 
(2) 適用除外の範囲は、国が対象者の範囲の目安を示した上で、
    基本的には、企業レベルの集団的な労使自治に委ねる
    (労使代表で労使協定を締結)。
    また、割増賃金制度は深夜を含めて
    適用しないこととする(労基法37 条)。
 
(3) 使用者の恣意的運用を排除するため、
    取り決め内容(労使協定)を行政官庁(労働基準監督署長)に
    届け出ることを義務化する。
 
(4) 適用除外対象者の健康確保を徹底し、
    ワークライフバランスを促進するため、
    ①労働時間の量的上限規制と、
    ②休日・休暇取得促進に向けた強制的取組みを
    セットで導入する。
    ①②それぞれについて、
    下記の具体例のような取組みの中から、
    産業、職務等の特性に応じて、
    労使の合意によりいずれか一つ
    または複数の組み合わせを選択する。
    そのための枠組みを国が設定する。
 
(5) 国が枠組みを設定するにあたっては、
    企業活動の実態に合わず、
    企業の活力低下につながることがないよう、
    適切な選択の幅が用意されるべきである。
    また、非常時においては、労使の取り決めにより、
    一時的にこうした規制を緩和できるよう、
    十分配慮されるべきである。
 
(6) 一定の試行期間を設け、
    当初は過半数組合のある企業に限定する。
 
【例:セットで導入すべき取組み。
  いずれか一つ又は複数の組合せとする】

(1)  労働時間の量的上限規制

    ・一定期間における最長労働時間の設定
    ・翌日の労働開始まで健康安全確保のための
     最低限のインターバルの導入、など

   :経営層に近い上級管理職等については、
      労働時間の量的上限規制に代えて
      健康管理のための適切な措置の
      義務付けを行うことも考えられる。
 
(2)  休日・休暇取得に向けた強制的取組み

    ・年間 104 日(週休 2 日相当)の休日を、
     労使協定で定めた方法で各月ごとに指定して取得
    ・年休は労使の協議に基づいて柔軟かつ計画的に付与
     (年休時季指定権を使用者へ付与した上で
     労働者の希望・事情を十分考慮)
    ・長期連続休暇の義務化、など

4.今後の議論の進め方


★ 現在、労働政策審議会では、
  中小企業に猶予されている時間外割増賃金率、
  企画業務型裁量労働制の在り方など
  個別テーマを中心に議論がなされているが、
  長年の長時間労働問題を解決するには、
  労働時間法制を包括的に議論することが不可欠である。
 
★ 労働時間法制の適用除外制度の
  基本的な枠組みについて、
  規制改革会議の本意見を受けて、
  労働政策審議会において
  議論が開始されることを強く期待する。
 
★ 規制改革会議は、厚生労働省、
  労働政策審議会の取り組みを注視し、
  検討状況の聴取などを行いながら、
  必要に応じて会議の意見を示すなど
  引き続き積極的な働きかけを行っていく。
 
★ 新たな適用除外制度が機能するためには、
  労働時間の多寡によらない
  成果評価の基準を明確化していくとともに、
  長時間労働を是正するための
  働き方の工夫が必要である。
  (職務範囲や責務の明確化、
    職務限定型の働き方の促進など)

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