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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

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三六協定の特別条項、運用上のポイントは?

三六協定の特別条項について、
三六協定の余白等に記載する文章自体は
色々なマニュアル本やネットでも拾えると思いますが、
実際の運用にあたって、どうすればよいか迷いがちな点を
簡単にまとめてみました。

1 特別条項の発動の単位

部門単位などで発動しても結構ですが、
個人単位で発動しても構いません。

2 労使協議の対象者

例えば、Aという事業所のBさんを対象者として
特別条項を発動したい場合、
A事業所の過半数代表者と協議を行うことで足ります。
(Bさん個人と協議を行う必要はありません。)

3 書式の必要性等

書式に残す義務はありません。
法的には口頭の協議でも構いません。

ただし、口頭にすると、記録に残らないので、
労基署としては、記録に残すよう指導をすることが多いです。

労使それぞれが協議を経て
確認したということが分かる状態であればよいので、
協議書を作成し、お互いに捺印をしてもよいですし、
メールでのやり取りでも、構いません。
(労基署は紙を勧めると思いますが...)

4 特別条項発動のタイミング

例えば、1ヶ月の上限を45時間としている
ケースをイメージします。

日々、従業員の時間外労働・所定休日労働の合計を
エクセル等で個別管理しておきます。

ある日、40時間を超えた従業員がいるとします。
目視するのも大変ですので、
エクセルのIF関数などを活用して、
40時間を超えた時点で「○」等が
表示されるように工夫するとよいでしょう。
(「40時間」は単なる一例です。他の時間でも結構です。)

月末近い日であれば、残り5時間以内に
残業を収めるように指導することになりますが、
月半ばであり、今後も残業が見込まれる場合に、
特別条項を発動するようにすればよいでしょう。

なお、特別条項は回数制限もあります。
こちらも合わせてエクセル等で
累計管理してください。

なお、労使の協議書には、
次のような項目が記載されているとよいでしょう。

1 対象者氏名
2 現在の時間外労働時間
3 延長時間
4 これまでの延長回数
5 延長の理由(納期逼迫など、簡単なもので結構です。)

5 一工夫(協議ではなく、通知にする)

多くの特別条項のひな形は、「労使の協議を経て」ととなっていますが、
工夫している会社は、「従業員代表に事前に通知することにより」
としています。

労使の協議ですと、労働者側から突っぱねられて
特別条項を発動できないリスクがあることや、
そもそも協議をしなければならないことが
時間的にも労力的にも面倒であることが背景となっております。

また、通知方法は前述の通り、紙である必要もありません。
メールを過半数代表者に送付して
済ませているケースもあるようです。

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