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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

ブログ記事一覧

最低賃金の全国平均14円UP。749円から763円へ。

8月6日、中央最低賃金審議会の小委員会が協議していた
今年度の地域別最低賃金の目安が、
全国平均14円の上げ幅で決着しました。

現在の749円が763円になります。
10円を超える目安額を示すのは3年ぶり。
昨年の目安より7円高くなりました。

最低賃金で働いた場合の収入が
生活保護の支給水準を下回る「逆転現象」は
北海道を除き、解消される見通しです。
その北海道も2年以内の解消を目指しています。

経営者視点に立てば、
コストアップ要因となります。
ギリギリの採算で運営している会社にとっては
死活問題です。

従業員視点に立つと、
最低賃金近辺の時給の方は時給UPにつながりますが、
ネットの論調を見ると「焼け石に水」。
1ヶ月一生懸命働いても10万円ちょいくらいにしかならず、
生活できないとの嘆きの声が...。

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労働者派遣法、規制緩和へ。

厚生労働省の研究会である
『今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会』では、
労働者派遣制度の見直しについて検討しています。

こちらの研究会では、8月6日に報告書案が示されますが、
下記の内容がポイントとなります。

1 派遣期間に制限がない26の専門業務の枠組みを廃止
2 有期雇用についてはすべての業務で派遣期間を
  最長3年にすることが適当
3 派遣期間の制限は現在、派遣先の業務単位で行われており
  同一業務での派遣の受け入れは最長3年。
  これを労働者個人ごとの期間制限に変更

厚生労働省はこの案を受けて来月以降、
労使が参加する審議会で具体的な議論を進め
2014年の通常国会に労働者派遣法の改正案を提出する方針です。

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厚生年金保険法等の一部改正の概要

厚生労働省のHPで、厚生年金保険法等の一部改正の概要が公表されました。
こちらのPDF資料をご覧ください。
改正厚生年金保険法等の概要.pdf

なお、ポイントは下記の通りです。

1.厚生年金基金制度の見直し(厚生年金保険法等の一部改正)

  施行期日:公布日(平成25年6月26日)から
         1年を超えない範囲で政令で定める日

(1)施行日以後は厚生年金基金の新設は認めない。
(2)施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し、
   分割納付における事業所間の連帯債務を外すなど、
   基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の
   納付期限・納付方法の特例を設ける。
(3)施行日から5年後以降は、
   代行資産保全の観点から設定した基準を
   満たさない基金については、
   厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて、
   解散命令を発動できる。
(4)上乗せ給付の受給権保全を支援するため、
   厚生年金基金から他の企業年金等への
   積立金の移行について特例を設ける。

2.第3号被保険者の記録不整合問題への対応
  (国民年金法の一部改正)

保険料納付実績に応じて給付するという
社会保険の原則に沿って対応するため、以下の措置を講ずる。

(1)年金受給者の生活の安定にも一定の配慮を行った上で、
   不整合記録に基づく年金額を正しい年金額に訂正
   施行期日:平成30年4月1日

(2)不整合期間を「カラ期間」(年金額には反映しないが
   受給資格期間としてカウント)扱いとして、無年金となることを防止
   施行期日:平成25年7月1日

(3)過去10年間の不整合期間の特例追納を可能とし、
   年金額を回復する機会を提供(3年間の時限措置)
   施行期日:平成27年4月1日

【参考:第3号被保険者の記録不整合問題とは?】

サラリーマン(第2号被保険者)の被扶養配偶者である
第3号被保険者(専業主婦等)が、
第2号被保険者の離職などにより、
実態としては第1号被保険者となったにもかかわらず、
必要な届出を行わなかったために、
年金記録上は第3号被保険者のままとなっていて
不整合が生じている問題。

3.その他(国民年金法等の一部を改正する法律等の一部改正)

障害・遺族年金の支給要件の特例措置及び
国民年金保険料の若年者納付猶予制度の期限を10年間延長する。
施行期日:公布日(平成25年6月26日)

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平成25年9月分(10月納付分)の厚生年金保険料額表はコチラ!

日本年金機構が、平成25年9月分(10月納付分)からの保険料額表を公表しました。

厚生年金基金に加入していない一般被保険者の方は
下記の添付ファイルをダウンロードください。

<PDFファイル>

<EXCELファイル>

なお、現行の保険料率は16.766%ですが、
平成25年9月分(10月納付分)からは17.120%となります。

なお、坑内員・船員の被保険者、
厚生年金基金に加入する一般被保険者、
厚生年金基金に加入する坑内員・船員の被保険者の方は
コチラ】のサイトで保険料額表を入手できます。

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パートから正社員に雇用区分変更。有給休暇はどう考える?

1年間パートとして働いていた人が、正社員に雇用区分を変更しました。
この場合、有給休暇についてはどのように考えればよいのでしょうか?

1 パート時代に付与された有給休暇はそのまま引き継がれます。

例えば、パート時代は週1日の契約で働いていた場合、
要件を満たしていれば、入社6ヶ月経過時点で、
1日の有給休暇が付与されます(比例付与)。

この有給休暇を使っていなければ、
1年後に正社員になった時点で、
この有給休暇は引き継がれます。

2 パートを始めた日を入社日として計算します。

正社員に雇用区分が変更された日を入社日とするのではなく、
パートとして働き始めた日を入社日として、計算します。

事例の場合ですと、パートとして1年間在籍してから
正社員になったということですので、

パートとして働き始めた日から起算して、
1年6ヶ月(正社員になってからですと6ヶ月)経過後に
正社員としての有給休暇「11日」を付与することになります。

ちなみに、正社員からパートに雇用区分が変更した場合も同様です。
入社日はパートに雇用区分が変更した日はなく、
正社員としての入社日を有給休暇の計算上の入社日とします。

また、雇用区分を変更する際に、
一度形式的に退社した場合であっても、
有給休暇算定上の勤続年数は通算します。

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経団連がまとめた『女性の活躍支援・推進に関する企業の取り組み事例集』

昨日、経団連は女性の活躍支援・推進に関する
企業の自主的・積極的な取り組みを促進するため、
取り組み状況を確認し、事例集としてとりまとめました。

女性の活躍支援・推進に関する企業の取り組み事例集』の
ダウンロードは【コチラ】からどうぞ!

 事例は、下記の観点で、数十社に及ぶ
各企業の事例を紹介しています。
 
1-1.女性活躍支援・推進のための計画内容
1-2.計画を実行するための具体的な取り組み内容
2. 取り組みに至る背景・きっかけ
3. 取り組みの成果・評価
4. 今後の課題・展望

ポイントのみの記載なので、詳細は記載されておりませんが、
どういう方向性で取り組んでいるのかは
お分かりいただけるのではないかと存じます。

ヒントが欲しいはぜひダウンロードしてご覧ください。

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年金を担保として違法な高金利で貸付を行う「偽装質屋」に注意!

高齢者等に対して「質草は何でもいい」などと言って
担保価値のない物品を質に取り、
実際には年金などを担保として違法な高金利で貸付をする
いわゆる「偽装質屋」に関する相談が、
全国の消費生活センターに寄せられています。

相談事例をみると、年金の支給対象となる
 60 歳以上の高齢者が多く、
「借り入れを続けて返済が困難になった」といった事例もあります。

全国の消費生活センターに寄せられた
相談事例をご紹介します。

【事例1】

ポスティング広告を見て質屋に電話し、
「何でもいいから質草を持ってきて」と言われたので、
ゴミ同然の時計を持って行き、
9 万円を借りた。2 回に分けて、
年金支給日に口座から自動引落しで返済することとなった。

利息が高いので一括で返そうと思ったが、
11 万円以上も返済しなくてはならず、到底支払えない。
借りたものは返さないといけないと思うが、
生活できない。どうしたらいいか。
(相談受付:2013 年 1 月、契約者:60 歳代、男性、福岡県)

【事例2】

チラシで見た質屋に行き、壊れた時計、
使い古した財布、母の古いネックレスを
質に入れて高額な融資を受けた。
質屋から、「お金に困っているなら、年金を担保に融資できる」と言われ、
勧められるがままに借り入れをした。

返済は年金支給日に質屋に通帳を渡して、
質屋が引き出しをする。
生活にも困窮している。どうしたらよいか。
(相談受付:2013 年 3 月、契約者:70 歳代、男性、群馬県)

【事例3】

チラシを見て高齢者でも貸してくれると書いてあったので
事務所に出かけた。
何かを預けるとお金を貸してくれるとのことだったので、
指輪を預けて 5 万円借りた。
1 カ月4,000 円の利息を払えば何度でも借り換えができ、
店頭で借りては返しを繰り返していた。

その後口座引落しにするように言われてそうしたが、
引落し額が多いように思っていた。
友人がこの会社は問題がある会社だと教えてくれたので、
次回の年金日の引落しを止めたい。
(相談受付:2012 年 11 月、契約者:80 歳代、女性、熊本県)

2010(平成 22)年に改正貸金業法等が完全施行され、
貸金業における上限金利は引き下げられましたが(29.2%→20%)、
質屋を装って貸付を行う「偽装質屋」は、
それよりはるかに高い金利を設定し、
事実上、高齢者の公的年金受給口座から
自動引落しサービスを利用して
元利金の引落しを行うなどしています。
「偽装質屋」をめぐっては、2012 年以降、
警察によって貸金業法違反(無登録営業)等での摘発が相次ぎ、
警察庁も注意喚起をしています。

そもそも、法律で認められた場合を除いて、
年金を受ける権利を譲渡したり、
差し押さえたり、担保に供することは違法です。

法律で唯一認められた厚生年金保険、
国民年金または労災年金の年金を担保とした融資制度は
独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資のみが取り扱っています

また、貸金業者が下記の事項を行うことは、貸金業法により禁止されています。

1 広告・勧誘に当たって年金受給者の借入意欲をそそるような
  表示または説明を行うこと
2 融資の契約について、年金が振り込まれる口座から
  融資の返済を受けることを目的として、
  借入者に対して、年金受給者の年金証書、
  預金通帳やキャッシュカード、あるいは年金証書などの
  引き渡しもしくは提供を求め、またはこれらを保管する行為
3 借入者に対して、年金が振り込まれる口座からの自動振替を
  金融機関に依頼するよう求める行為

年金は、老後の生活に必要不可欠なものです。
年金証書や預金通帳等を預けるよう要求する
違法な貸金業者を利用しないよう十分ご注意ください。

「偽装質屋」からは絶対に借り入れしないようにしましょう!

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フレックスタイム制の場合、労働時間の把握はしなければならないか?

フレックスタイム制の場合、始業・終業の時刻を
従業員の決定に委ねていることから、
使用者側として労働時間を把握しなくてもよいのでしょうか?

これについて、通達によると、
フレックスタイム制の場合であっても、
使用者に労働時間の把握義務があると、
ハッキリ明記されています。

フレックスタイム制を採用する事業場においても、
各従業員の各日の労働時間の把握を
きちんと行うことになっています。

仮に労働時間を把握しないとすると、
残業手当や深夜割増手当が
つけられなくなってしまいます。
(昭和63年3月14日 基発150号を元に作成)

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フレックスタイム制での休憩の与え方などは?

フレックスタイム制を採用した場合に、
労働基準法上の休憩の与え方や、
就業規則の定め方については
どのように考えたらよいのでしょうか?

まず、フレックスタイム制であっても、
労働基準法の休日の規程通りに与えることが大原則です。

【一斉休憩が必要な場合】

コアタイム中に休憩時間を定めるようにしてください。
(法律で決まっていることではありませんが、
 このように行政指導がなされています。)

【一斉休憩が不要な場合】

休憩時間を取る時間帯を従業員に委ねる場合は、
各日の休憩時間の長さを定め、
それを取る時間帯は従業員に委ねる旨を
就業規則に記載するようにしてください。

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フレックスタイム制の場合、労働時間の把握はしなければならないか?

フレックスタイム制の場合、始業・終業の時刻を
従業員の決定に委ねていることから、
使用者側として労働時間を把握しなくてもよいのでしょうか?

これについて、通達によると、
フレックスタイム制の場合であっても、
使用者に労働時間の把握義務があると、
ハッキリ明記されています。

フレックスタイム制を採用する事業場においても、
各従業員の各日の労働時間の把握を
きちんと行うことになっています。

仮に労働時間を把握しないとすると、
残業手当や深夜割増手当が
つけられなくなってしまいます。
(昭和63年3月14日 基発150号を元に作成)

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フレックスタイム制で有給休暇を取得した場合の賃金計算方法

フレックスタイム制における有給休暇については、
その月の労働時間や割増賃金にどのように反映すればよいのでしょうか。

仮に次のような設定を考えてみましょう。

【基本設定】

清算期間における総労働時間:160時間
標準となる1日の労働時間:8時間

まずは年次有給休暇を取らない場合です。

【A 実労働のみのパターン】

一清算期間中の実労働時間:166時間
年次有給休暇取得日数:0日

この場合、166時間ー160時間=6時間が
法定外労働時間とされます。
この6時間についての割増率は1.25倍で計算します。

【B 有給休暇の取得によって総労働時間を超えるパターン】

一清算期間中の実労働時間:150時間
年次有給休暇取得日数:2日

この場合、166時間(150+8×2)ー160時間=6時間が
所定外労働時間とされます。

一方、年次有給休暇を取得した場合、
「所定労働時間を働いたものとみなす」ことになります。

実労働部分で160時間を超えていないので、
法定外労働時間とはなりません。

就業規則等で特段の取り決めがない場合は、
この6時間についての割増率は1.00倍で計算します。
(時間単価を支払うことで足ります。)

【C AとBの合わせ技パターン】

一清算期間中の実労働時間:170時間
年次有給休暇取得日数:2日

前述の通り、年次有給休暇を取得した場合、
「所定労働時間を働いたものとみなす」ことになります。

したがって、8時間×2日=16時間については
就業規則等で特段の取り決めがなければ、
割増率は1.00倍で計算します。
(時間単価を支払うことで足ります。)

一方、実労働時間についてみると、
170時間ー160時間=10時間オーバーしています。
この10時間については、法定外労働時間となり、
割増率という点では1.25倍で計算します。

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一ヶ月単位の変形労働時間制における休日の振替

1ヶ月単位の変形労働時間制における、休日の振替に関する約束事は
どのようになっているのでしょうか?

【結論】

休日振替の結果、就業規則で1日8時間
または1週40時間を超える所定労働時間が
設定されていない日または週に
1日8時間または1週40時間を超えて
労働させることになる場合には、
その超える時間は時間外労働となります。

【例:1日の労働時間】

1ヶ月単位の変形労働時間制を導入することで、
下記のような所定労働時間を設定している会社があるとします。

月曜日:10時間
火曜日~土曜日:6時間
日曜日:休日
(1週合計40時間)

日曜日に休日出勤をさせ、
その代わり月曜日を振替休日とする場合、
日曜日の所定労働時間は10時間となります。

日曜日は元々、1日8時間を超える
所定労働時間は設定されていません。

このような日に8時間を超えて勤務させるわけですから、
8時間を超えた2時間については
時間外労働として計算することになります。

【例:週の労働時間】

完全週休二日制を採用している場合、
ある週の休日を他の週に振り替えた場合を想定してみます。
(1日の所定労働時間は8時間)

この場合、休日出勤をさせた週の労働時間が
1日8時間×6日=48時間となります。

もともと、休日出勤をさせなければ、
この週の労働時間は40時間でした。

40時間を超える所定労働時間が設定されていない週に
40時間を超える労働をさせることになりますので、
40時間を超えた8時間については時間外労働となります。
(昭和63年3月14日 基発150号、平成6年3月31日 基発181号より)

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一ヶ月単位の変形労働時間制。シフト表は変形期間の開始日の前日までに決定でOK?

シフト制による一ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合、
個人別に、各日、各週の労働時間を就業規則に定めなければいけないのでしょうか。

それとも、就業規則では、「始業、終業時刻は、起算日前に示すシフト表による」
とのみ記載し、起算日前に勤務シフトを示すことだけで足りるのでしょうか?

結論から申し上げると、変形期間の開始日の前日までに
シフト表を明らかにすれば問題ありません。

本来論からすれば、就業規則において、
できる限り具体的に特定すべきものではありますが、
業務の実体から月ごとにシフト表を作成する必要がある場合には、
就業規則において各シフト勤務の始業・終業時刻、
各シフトの組み合わせの考え方、
シフト表の作成手続き及びその周知方法を定めておき、
それに従って各日ごとのシフト表は、
変形期間の開始前までに
具体的に特定することで足りるとされています。
(昭和63年3月14日 基発150号)

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年次有給休暇の「全労働日」の解釈に変更が加えられました。

平成25年7月10日付で厚生労働省労働基準局長が
都道府県労働局長宛てに出した通達文書
(基発0710第3号)により、
年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱いに
変更がなされました。

通達文書をベースに、詳細を以下、ご紹介します。

年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱いについて

平成25年6月6日、労働基準法第39条の解釈について、
最高裁第一小法廷において別添のような判決がなされたことを受け、
昭和63年3月14日付け基発第150号・婦発第47号
「労働基準法関係解釈例規について」について、
下記のとおり改めることとします。

第1 法第39条関係<出勤率の基礎となる全労働日>を
   次のように改めます。

<出勤率の基礎となる全労働日>

年次有給休暇の請求権の発生について、
法第三十九条が全労働日の八割出勤を条件としているのは、
労働者の勤怠の状況を勘案して、
特に出勤率の低い者を除外する立法趣旨であることから、
全労働日の取扱いについては、次のとおりとする。

1 年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は
  就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいい、
  各労働者の職種が異なること等により異なることもあり得る。
  したがって、所定の休日に労働させた場合には、
  その日は、全労働日に含まれないものである。

  →「1」は特に変更ありません。
  →「2」以下が変更となりました。

2 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、
  3に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、
  出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。

  例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、
  労働委員会による救済命令を受けて
  会社が解雇の取消しを行った場合の
  解雇日から復職日までの不就労日のように、
  労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために
  就労することができなかった日が考えられる。

3 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、
  次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から
  出勤日数に算入するのが相当でないものは、
  全労働日に含まれないものとする。

  (一) 不可抗力による休業日
  (二) 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
  (三) 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により
     労務の提供が全くなされなかった日

第2 法第39条関係<全労働日がゼロとなる場合の
   年次有給休暇>を削ります。

削る前は、いったん解雇になった従業員が、
後日、解雇が取り消され、
復職した労働者が年次有給休暇を請求したという
事例があったことに対する
判断が書かれた通達がありました。

この時の判断は、次の通りでした。

――――――――――――――――――――――――
労働日がゼロとなる場合は、
前年に労働日のあることを前提とする法第39条の解釈上、
8割以上出勤するという法定要件を充たさないから、
年次有給休暇の請求権は発生しない
(昭和27年12月2日 基収5873号)
――――――――――――――――――――――――

この解釈をそのままにしておきますと、
「第1」の「2」の解釈と矛盾が生じてしまいます。

そこで、解釈の変更に当たり、これを削ることにしました。
ということで、今後はこうした事例の場合、
年次有給休暇の請求権は発生するということになります。

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解雇に伴うリスクと効果

お客様から「従業員を解雇したい」とご相談を受けることがあります。

社労士の仕事をしていると、解雇がいかにリスキーな選択か
肌身に沁みています。

労働契約法第16条には

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、
 社会通念上相当であると認められない場合は、
 その権利を濫用したものとして、無効とする。」

とあります。

解雇をしたいと社長が主張する解雇理由は
客観的に合理的な理由があるのか?
社会通念上相当か?

事例にもよりますが、正直、
裁判をやってみなければ分からないところもあり、
軽々しく、「解雇しても大丈夫ですよ」等とは言えません。

また、個人で入れる労働組合などに加入されると、
これもまた場合によってはとんでもない事態に
発展することも経験しています。

その他にもいろいろなリスクが頭に思い浮かぶので、
社長の「解雇したい」という主張に対して、
ブレーキをかけるような役割を演じがちです。

でも、事例にもよりますが、
解雇することをためらって、
ずっとその会社で雇用し続ける選択をした場合、
今度は周りの従業員への悪影響や、
経営が立ち行き行かなくなるなど、
法律の外の世界のリスクが生じます。

当社の仕事で重要なことは、
法律の世界のリスクと、法律外の世界のリスクを
見極める努力をしながら、
長い目で見て、その会社にとって最善になると思われる
相談相手にならなければならないことだと考えています。

「こーいうリスクがある。あーいうリスクがある。」という時もあれば、
「こーいうリスクはあるけれども、
 ここは腹をくくって思い切った手を打ってみてはいかがですか?」
と、お客様の状況に応じた緩急自在な相談相手でありたいです。

こうした相談相手となるためには、
法律のことばかり勉強していてはダメだと思います。

人間力というか、人としての器を大きくしていくというか、
こうした努力を続けていくことが大切だと思っています。
(どこまで自分ができているかは、何とも言えませんけどね。)

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