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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)

ブログ記事一覧

懲戒解雇。解雇予告手当を支払いたくない場合、どうする?

懲戒解雇の際、通常は即時解雇となりますが、
通常、会社としては懲戒解雇となる人にまで、
解雇予告手当は支払いたくないと考えます。

このような場合は、所轄の労働基準監督署に
「解雇予告除外認定申請書」を出してください。
書式はこちらです。
解雇予告除外認定申請書.doc

本来、会社は、労働者を解雇しようとする場合には
少なくとも30日前にその予告をするか、
30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を
支払わなければなりません。

ただし、労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する等の場合には
この手続は除外されます。
ただし、その事由については、
所轄労働基準監督署長の認定を受けることになっています。

なお、この書類を提出する際、
原則的な提出書類は下記の通りです。

すべて2部作成して、監督署に提出してください。
解雇予告手当除外認定申請書も原本が2部必要です。
1部原本、もう1部はコピーでは不可とされますので、ご注意ください。

なお、こうしたルールや添付書類については、
労働基準監督署により異なるケースがあります。
実際に申請する際は、事前に所轄の労働基準監督署にご確認ください。

【提出書類の一覧】

1 解雇予告手当除外認定申請書
2 事実の経緯が分かるもの(書式自由)
3 本人の労働者名簿
4 本人の現在の連絡先が分かるもの
  (労基署が本人にも確認作業を行うために必要となります。)
5 懲戒部分の就業規則のコピー
6 懲罰委員会を開いた場合は、その議事録
7 本人の始末書があれば、そのコピー

当日は、事情を口頭で確認しつつ、
書類の不備の有無を確認し、
受理印を押してもらうだけです。
受理印は書類を預かったという印であり、
申請が認められたかどうか、という判断とは関係ございません。

労基署は、本人からも事情を聴取します。
その上で、直接御社に労基署から電話で連絡があります。
(今までの経験上、3~4日かかるケースが大半です。)

申請が認められない場合は、
下記の2択となります。

1 認定しないという処理を確定させる。
2 申請自体を取り下げる。

今後、裁判等で争われる可能性を考えると、
取下げの方がよろしいかと存じます。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 7

解雇に関するルール、第7回(最終回)です。

これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。

1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力

3 解雇の手続
4 解雇事由

5 整理解雇
6 退職勧奨

7 勤務成績を理由とする解雇

第5回
8 有期労働契約の雇止め

9 採用内定取消
10 入社時期の繰り下げ

今回は退職時の証明ついて、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。

11 退職時の証明


労働者から請求があった場合には、
解雇の理由等について、証明書を交付する必要があります。

【法令】

労働者が退職する場合に、
以下の事項について証明書を請求したときには、
遅滞なく証明書を交付しなければなりません。

また、労働者に解雇の予告をした場合に、
労働者が解雇の理由について証明書を請求したときには、
遅滞なく証明書を交付しなければなりません。

この証明書には、労働者の請求しない事項を
記入してはなりません。
(労働基準法第22条)

1 使用期間
2 業務の種類
3 その事業における地位
4 賃金
5 退職の事由
  (解雇の場合は、その理由を含みます。)

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 6

解雇に関するルール、第6回です。

これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。

1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力

3 解雇の手続
4 解雇事由

5 整理解雇
6 退職勧奨

7 勤務成績を理由とする解雇

第5回
8 有期労働契約の雇止め

今回は内定取消や、入社させてもいきなり
休職させる入社時期の繰り下げについて、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。

9 採用内定取消し

採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、
採用内定取消しは解雇に当たり、
労働契約法第16条の解雇権の濫用についての
規定が適用されます。

したがって、採用内定取消しについても、
客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、
権利を濫用したものとして無効となります。

なお、採用内定通知等に採用内定取消事由が記載され、
解約権が留保されている場合があります。
(解約権が留保:一定の条件を満たした場合は、
 労働契約を解約するということ。)

裁判例によれば、採用内定の取消事由は、
解約権留保の趣旨、目的に照らして
客観的に合理的と認められ
社会通念上相当として是認することが
できるものに限られるとされています。

採用内定取消事由が
客観的に合理的と認められ
社会通念上相当として是認できないものであれば、
その事由をもって、採用内定の取消を
することはできないということです。

【法令】

上記のほか、採用内定により
労働契約が成立したと認められる場合には、
採用内定取消しには、労働基準法第20条(解雇の予告)、
第22条(退職時等の証明)等の
規定が適用されます。

このため、やむを得ない事情により
採用内定取消しを行おうとする場合には、
次の点を遵守するようにしてください。

1 使用者は解雇予告等解雇手続を
  適正に行うこと
2 採用内定者が採用内定取消しの理由について
  証明書を請求した場合には、
  遅滞なくこれを交付すること

【裁判例】
(読みやすくするため、多少、文章を改変)

採用内定の実態は多様であるため、
その法的性質を一義的に論断することはできませんが、
採用内定通知のほかには労働契約締結のための
特段の意思表示が予定されていない場合、
企業からの採用内定通知は労働者からの
労働契約の申込みに対する承諾であり、
誓約書の提出と相まって、
就労の始期を定めた解約権を
留保した労働契約が成立したと解釈します。

採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、
また知ることが期待できないような事実であって、
これを理由として採用内定を取消すことは、
解約権留保の趣旨、目的に照らして
客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として
是認することができるものに限られます。
(最高裁第二小法廷 昭和54年7月20日判決)

10 入社時期の繰下げ

採用内定の際に定められていた
入社日は変更しないものの、
事業主の都合により休業させ、
実際の就業をさせない措置(自宅待機)を行う場合には、
その期間について、労働基準法第 26条に定める
休業手当を支払う必要があります。

事業主の都合により、採用内定の際に定められていた
入社日を延期する措置(入社日の延期)を行う場合には、
原則として採用内定者の合意を得る必要があります。

参考 新規学校卒業者の採用内定取消しの防止

新規学校卒業者に対する事業主の一方的な都合による
採用内定取消し及び入職時期繰下げは、
その円滑な就職を妨げるものであり、
特に、採用内定取消しについては、
対象となった学生及び生徒本人
並びに家族に計り知れないほどの
打撃と失望を与えるとともに、
社会全体に対しても大きな不安を与えるものであり、
決してあってはならない重大な問題です。

このため、採用内定取消し、入社時期繰下げの防止等について
考慮すべき事項について
「新規学校卒業者の採用に関する指針」を定めています。

また、やむを得ない事情により採用内定取消し
又は入職時期繰下げを行おうとするときは、
あらかじめハローワーク等に通知を行うことが必要です。

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年金の支給開始年齢67〜68歳へ!?

公的年金について、政府の社会保障制度改革国民会議では6月3日、
年金の支給開始年齢を67〜68歳に引き上げる方向で意見をまとめました。

まとめた意見は8月末に行われる提言に盛り込まれる予定です。

私は現在43歳。まだまだ保険料を支払う立場の者です。

今支払っている保険料、実は
いつになったら、いくらもらえるのか
分からないまま支払っています。

こんな保険、入りたくないと思う人が大半じゃないでしょうか。
それが法律で要件さえ満たしてしまえば、
強制的に加入せざるを得なくなっています。

正体は、保険料という名を借りた税金なんです。

しかも!これに伴って出てくる議論は、
「年金の支給開始年齢は引き上げるから、
 その分、企業で雇ってね!」という話。

そして、67歳〜68歳に引き上がってお終いかどうかは
誰にも分かりません。

さらに数年後には70歳に引き上がっていく可能性もありますし、
平均寿命が伸びれば75歳まで引き上がっていく可能性もあります。

一方で、もらえる年金の額は
改革の都度、どんどん減っていき、
支払う保険料は値上がりしていくという
事態になるのではないでしょうか。

これからどんどんお年寄りが増え、子どもの数は減っていきます。
年金財政は今でも厳しい状況ですし、
これからもますます厳しくなっていくことが予想されています。

そんな中、今の仕組みの中でやりくりしようとすると、
どうしてもひずみが起きます。

年金制度を創設した時には予想もしなかった
事態になっているわけですから、
ツギハギで制度の延命を図るのではなく、
抜本的な見直しをしていただき、
今の時代にふさわしい制度を作ってほしいです。

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東京都の中小企業、必見!ワークライフバランス推進助成金

東京都では、都内に本社を置く従業員300人以下の中小企業等に対して、
仕事と生活の両立を図るため、
在宅勤務、モバイル勤務といった多様な勤務形態の実現等、
ワークライフバランスの推進にかかる経費の助成制度を実施することとなりました。
以下、要点をお知らせします。
詳細は、【コチラ】をご確認ください。

【助成対象企業】

常時雇用する従業員数300人以下の企業、社団法人、財団法人等のうち、
次の要件をすべて満たしている中小企業が、助成対象となります。

1 常時雇用する労働者を2名以上、かつ6か月以上継続雇用していること
2 都内に本社を置いていること
3 過去5年間に重大な法令違反がないこと
4 都税の未納付がないこと
5 ワークライフバランス推進助成金を利用
  または申請した企業等の代表者と、
  新たに助成事業者になろうとする
  企業等の代表者が同一でないこと。
6 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
  (昭和23年法律第122号)第2条第1項に規定する
  風俗営業、同条第5項に規定する性風俗関連特殊営業、
  同条第11項に規定する接客業務受託営業
  及びこれに類する事業を行っていないこと
7 暴力団員等(東京都暴力団排除条例
  (平成23年東京都条例第54号。)第2条第3号に規定する
  暴力団員及び同条第4号に規定する暴力団関係者をいう。)、
  暴力団(同条第2号に規定する暴力団をいう。)
  及び法人その他の団体の代表者、役員又は使用人
  その他の従業員若しくは構成員が
  暴力団員等に該当する者でないこと

※仕事と育児の両立を図るための取組を実施する場合は、
 「とうきょう次世代育成サポート企業」に登録していることが必要です。

【助成金】

助成率:1/2
限度額:100万円
※助成限度額は毎年度あたり100万円、
 助成期間は最長で連続する2年度以内

社内事情に合わせて複数の事業の取組が可能です!

【助成対象事業とその内容・助成対象経費】

1 ワークライフバランス推進調査事業


内容

従業員ニーズ・満足度把握、介護実態把握及び業務分析等、
ワークライフバランスに関する調査事業

助成対象経費

1 従業員ニーズや満足度調査経費
2 介護実態把握調査経費
3 その他ワークライフバランス推進に資すると判断される調査経費
  (業務分析等、社内の状況を把握する調査。市場調査等は含まない。)

2 ワークライフバランス推進コンサルティング事業

内容


ワークライフバランスを推進し、
社内の職場環境を改善するためのコンサルティング事業

助成対象経費

1 ワークライフバランス推進に係るコンサルティング経費

3 人材育成事業
  (従業員が能力を発揮して働き続けられるよう、
   育児・介護休業中も含め、継続的に人材育成に取り組む事業)

内容

1 育児・介護休業中の従業員の能力開発事業
2 育児・介護休業復帰時の従業員の能力開発事業
3 勤務形態・雇用形態の変更等に伴う能力開発事業

助成対象経費

1 研修実施経費
  (育児・介護休業中や復帰時の
   従業員のために実施する研修、
   従業員の勤務形態・雇用形態の変更等に伴う
   能力開発のために実施する研修)
2 外部の研修会等に参加する場合の参加費

4 育児・介護両立支援事業
  (育児や介護等、仕事と家庭の両立支援について、
  法律以上の制度の導入や充実に取り組む事業)

内容

1 育児・介護休業法を上回る育児・介護休業制度の導入等、
  各種両立支援制度整備事業
2 ファミリーデー等従業員の家族等との懇親事業
3 育児・介護支援相談員の配置
4 上記制度整備に付随する就業規則の策定

助成対象経費

1 育児・介護休業法を上回る
  育児・介護休業制度の導入等、
  各種両立支援制度整備に係る経費(就業規則策定、社内周知等)
2 ファミリーデー等従業員の家族等との懇親事業の実施経費
3 育児・介護支援相談員に係る経費
4 上記事業の実施に付随する就業規則等の策定経費

5 多様な働き方の実現事業
  (在宅勤務やモバイル勤務等、
  固定的な就業環境に捉われない
  働き方の実現に取り組む事業)

内容

1 在宅勤務制度の導入事業
2 モバイル利用及びシステム導入等による多様な働き方の実現事業
3 上記制度整備に付随する就業規則の策定

助成対象経費

1 在宅勤務制度導入のための環境構築
  リモートワーク環境構築
  モバイル勤務環境構築費用
2 シンクライアント端末、モバイル端末等整備費用
3 ネットワーク整備費用、
  システム構築費用、
  関連ソフト利用料
4 専門業者にリモートワーク環境や
  モバイル勤務環境構築を一括委託する場合の経費
5 上記事業の実施に付随する就業規則等の策定経費

6 ワークライフバランス普及啓発事業

内容


1 管理職及び労働者を対象とした
  ワークライフバランスに関する研修事業
2 社内普及啓発サイトの構築事業

助成対象経費

1 ワークライフバランスの普及啓発に係る経費
  (広報経費、イントラネット等の構築経費(管理運営費を含む))
2 ワークライフバランス推進に係る研修開催経費
  (従業員・管理職を対象とした意識啓発研修)

7 その他働き方の見直しの取組

内容


上記によらない事業であって、
ワークライフバランスの推進に資すると知事が認める事業

助成対象経費

上記によらない経費であって、
ワークライフバランスの推進に資すると知事が認める経費

※ 助成対象経費は、上記の経費の中で、
  助成事業者が助成対象事業者の実施に要した経費として
  自己負担したもののうち、
  使途、単価、規模等の確認が可能であって、
  他の事業に要した経費と明確に区分でき、
  知事が必要かつ適当と認めるものとします。

※ 助成対象経費は、助成対象事業者が、
  交付決定後に新たに取り組んだ事業に要した経費とし、
  交付決定以前に構築したイントラネット等の管理費は含みません。

【申請先】

東京都労働相談情報センター及び各事務所
(企業等の所在地に応じて都内6ヶ所で受付)

【申請期間】

平成25年6月20日(木)~12月20日(金) 

※お電話にて申請日をご予約ください。
  6月14日(金)9:30~ 申請日の電話受付を開始します。
  *電話受付時間 9:30~16:00 (12:00~13:00を除きます。)

※土曜日、日曜日、祝祭日を除きます。
※予算の範囲を超えた場合は、申請期間内でも受付を終了します。

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平成24年度の個別労働紛争解決制度に関する施行状況

平成24年度の個別労働紛争解決制度に関する施行状況が、
先日、厚生労働省より公表されました。

ポイントは以下の通りです。

【平成24年度の相談、助言・指導、あっせんの概況】

・総合労働相談件数 106万 7,210 件(前年度比3.8%減)
 →うち民事上の個別労働紛争相談件数  25万 4,719 件(同0.6%減)
・助言・指導申出件数 10,363 件(同8.1%増)
・あっせん申請件数 6,047 件(同7.1%減)

★ 相談内容は『いじめ・嫌がらせ』がトップ
  ・総合労働相談件数は、5年連続で100万件を超えており、
    民事上の個別労働紛争に係る相談件数は、高止まりである。
  ・『いじめ・嫌がらせ』に関する相談は、増加傾向にあり、51,670件。
    民事上の個別労働紛争相談の中で最も多かった。

★ 助言・指導申出件数が過去最多
  ・助言・指導申出件数は、制度施行以来増加傾向にあり、
    初めて1万件を超えた。
  ・あっせん申請件数はやや減少した。

★ 対応スピード
 ・助言・指導は1ヶ月以内に97.4%、
  あっせんは2ヶ月以内に93.8%を処理。

【個別労働紛争解決制度とは?】

個々の労働者と事業主間での労働条件や
職場環境などをめぐる
紛争の未然防止や早期解決を促進するための制度。
下記の3つの解決方法があります。

1 幅広い分野の労働問題を対象とする「総合労働相談」
2 個別労働紛争の解決につき援助を求められた場合に行う
  都道府県労働局長による「助言・指導」
3 あっせんの申請を受けた場合に
  労働局長が紛争調整委員会に委任して行う「あっせん」

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平成25年労働保険料、自動計算支援ツールはコチラ!

昨日、厚生労働省が労働保険料の計算が楽になる
エクセルファイルを公表しました。

入手されたい方は【コチラ】をクリックしてください。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 5

解雇に関するルール、第5回です。

これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。

1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力

3 解雇の手続
4 解雇事由

5 整理解雇
6 退職勧奨

7 勤務成績を理由とする解雇

今回は厳密にいうと解雇ではありませんが、
雇用期間を定めて契約する、有期労働契約の
雇止め(期間満了に伴う雇用契約の終了のこと)について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。

8 有期労働契約の雇止め

有期労働契約(期間の定めのある労働契約)については、
契約の締結時や期間の満了時における
紛争を未然に防止するため、
労働基準法の規定により、
締結時に書面の交付により「更新の基準」を
示すこととされているほか、
使用者が講ずるべき措置について、
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」が
定められています。

【法令】

有期労働契約の締結時には、
契約期間とともに「期間の定めがある労働契約を
更新する場合の基準」についても、
書面の交付によって明示しなければならない事項となります。
(労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条)

具体的に明示すべき内容としては、
下記の通りです。

1 「更新の有無」の具体的内容の例

  ★自動的に更新する
  ★更新する場合があり得る
  ★契約の更新はしない 等

2 「判断の基準」としての具体的内容の例

  ★契約期間満了時の業務量により判断する
  ★労働者の勤務成績、態度により判断する
  ★労働者の業務を遂行する能力により判断する
  ★会社の経営状況により判断する
  ★従事している業務の進捗状況により判断する 等

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の
主な内容は、次のとおりです。

1 有期労働契約が3回以上更新されているか、
  1年を超えて継続勤務している有期契約労働者について、
  有期労働契約を更新しない場合には、
  少なくとも30日前までに予告をしなければなりません。
2 雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について
  証明書を請求したときには、
  遅滞なく証明書を交付しなければなりません。
3 有期労働契約が1回以上更新され、かつ、
  1年を超えて継続勤務している有期契約労働者について、
  有期労働契約を更新しようとする場合には、
  契約の実態及び労働者の希望に応じて、
  契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。

参考 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」は
労働基準法に基づく厚生労働大臣の告示であり、
雇止めの手続等について定めています。
罰則はありませんが、労働基準監督署において
遵守のための指導が行われます。

労働契約法による規制

有期労働契約であっても、
期間の定めのない契約と実質的に異ならない
状態に至っている契約である場合や、
反復更新の実態、契約締結時の経緯等から
雇用継続への合理的期待が認められる場合は、
労働契約法の規定により、
雇止めが認められないことがあります。

【法令】

まず、下記の2点のいずれかを
満たしているかをご確認ください。

1 有期労働契約が反復更新されたことにより、
  雇止めをすることが解雇と社会通念上
  同視できると認められる場合
  (契約の更新手続きをいい加減にしていると、
   この要件に当てはまりやすくなります。)
2 労働者が有期労働契約の契約期間の満了時に
  その有期労働契約が更新されるものと
  期待することについて
  合理的な理由が認められる場合
  (「普通にやっていれば更新するから」等と
   安易な発言をしないようご注意ください。)

上記の要件のいずれかに当てはまる場合で、
なおかつ、次の要件にも当てはまる場合、
雇止めは認められません。

1 使用者が雇止めをすることが、
  客観的に合理的な理由を欠き、
  社会通念上相当であると認められない。
  ⇒「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」
   という文言は、労働契約法の
   解雇の判定基準に出てくる文言と同一です。

2 労働者からの有期労働契約の
  更新の申込みがされている。
  (契約期間満了後でも遅滞なく申込みをすればOK)

雇止めが認められない場合、
使用者は、従前の有期労働契約と
同一の労働条件で労働者による有期労働契約の更新
または締結の申込みを承諾したものとみなされ、
有期労働契約が同一の労働条件
(契約期間を含む)で成立します。
(労働契約法第19条)

労働者からの更新の申込みは、
使用者による雇止めの意思表示に対して
「嫌だ、困る」と言うなど、
労働者による何らかの反対の意思表示が
使用者に伝わるものでもかまわないと解されます。

この規定は、雇止めについて、労働者保護の観点から、
一定の場合に解雇に関する法理を類推適用して
雇止めの可否を判断するとの確立した
判例上のルール(雇止め法理)が条文化されたものです。

最後に、雇用期間中に会社側の都合で
雇用契約を終了させると「解雇」になります。

有期雇用契約の解雇のハードルは、
一般に期間の定めのない契約をしている正社員の
解雇のハードルよりも高いとされています。

これは、正社員と異なり、
契約期間の終了日が決まっているにもかかわらず、
それよりも短い期間で雇用契約を終了させるからには、
それ相当のやむを得ない理由がないとダメだ、
という考えが背景にあるためです。

「アルバイトだから」「パートだから」と
安易に解雇をしていると、
アルバイトやパートとトラブルになった際、
法的には劣勢に立たされかねません。
ご注意ください。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 4

解雇に関するルール、第4回です。

これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。

1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力

3 解雇の手続
4 解雇事由

5 整理解雇
6 退職勧奨

今回は能力不足による解雇について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。

7 勤務成績を理由とする解雇


能力不足を理由に解雇を検討することは、
会社側の立場としてはよくあることです。

特に、経営状況が厳しい場合、
パフォーマンスが低い人には辞めてもらい、
その分人件費を浮かしつつ、
パフォーマンスが高い人の集団として、
組織をスリムアップしたいと考える
経営者の方は多いのではないでしょうか?

ところが、こうしたことがトラブルとなり、
従業員とのトラブルに発展すると、
裁判で能力不足を認めさせることは
結構、骨が折れます。

実際、就業規則の普通解雇の事由を掲げる条文に
「労働能力が劣り、向上の見込みがない」ことを
掲げていたとしても、
相対評価による考課順位が下位であることをもって
直ちに著しく労働能力が劣るとはいえないとし、
さらに、労働者の労働能力の向上を図る
余地があったにもかかわらず
体系的な教育・指導が行われなかったとして、
解雇を権利の濫用と認めた裁判例があります。

【裁判例】

従業員として、平均的な水準に
達していなかったからといって、
直ちに本件解雇が有効となるわけではない。

就業規則に定める「労働能力が劣り、向上の見込みがない」に
該当するといえるためには、
平均的な水準に達していないというだけでは不十分であり、
著しく労働能力が劣り、しかも向上の見込みがないときで
なければならないというべきである。

...右人事考課は、相対評価であって、
絶対評価ではないことからすると、
そのことから直ちに労働能率が著しく劣り、
向上の見込みがないとまでいうことができない。

...さらに体系的な教育、指導を実施することによって、
その労働能率の向上を図る余地があるもあるというべきであり、
...いまだ「労働能力が劣り、向上の見込みがない」ときに
該当するとはいえない。
(東京地裁 平成11年10月15日決定)

こうした観点も踏まえ、
会社側としては、下記のような対策が考えられます。

1 相対評価ではなく、絶対評価に切り替える。
2 能力不足の社員については、
  解雇の前に下記の対策を講じる。

   1 教育・研修を行う。
   2 配置転換をする。

3 会社側からの指導の状況や、本人の成長度合い等を
  客観的に確認できる資料として残す。

こうした対策を講じれば大丈夫、とまでは言えませんが、
必要な対策ではあるかと存じます。

また、現実的には、解雇を検討する前に、
退職勧奨を行い、円満退職に向けた努力をすべきでしょう。

さらに言えば、日本の社会においては、
採用するのは簡単ですが、
解雇するには高いハードルが待ち構えています。

安易に採用せず、人材を見極める不断の努力と、
特に能力や協調性等については、
試用期間中にしっかりと見極めることが重要です。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 3

解雇に関するルール、第3回です。

これまで取り扱った内容については、
下記のリンク先でご覧ください。

1 解雇が禁止されているケース
2 解雇の効力

3 解雇の手続
4 解雇事由

今回は整理解雇と退職勧奨について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変・追記して、
皆様にご紹介致します。

5 整理解雇

事業を継続することが困難な場合に行う
人員整理としての使用者からの労働契約(雇用契約)の解除を
整理解雇と言います。

いわゆる「リストラ」です。

普通解雇の一種ではありますが、
一般的には、従業員側に落ち度がないにもかかわらず、
会社の都合により労働契約を解除する行為であることから、
解雇の妥当性については、厳しく判定されます。

整理解雇についても、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当と認められない場合には、
権利の濫用として、労働契約法の規定により、無効となります。

また、次のことについて
慎重に検討を行っていただくことが望まれます。

・ 人員削減を行う必要性
・ できる限り解雇を回避するための措置を尽くすこと
・ 解雇対象者の選定基準が客観的・合理的であること
・労働組合との協議や労働者への説明を行う等、
  妥当な手続きを行うこと

 ※ 解雇回避のための方法としては、
   例えば、配置転換、出向、希望退職募集等を
   検討することが考えられます。
 ※ 人員削減を避けるために、
   労働時間の短縮(ワークシェアリング)を行うことも
   一つの方策です。

整理解雇を検討する場合は、
その前段階として、早期退職制度を設け、
自主的な退職を促したり、
退職勧奨を行って、合意の下に
退職してもらうなどをするケースが多いです。

【裁判例】


余剰人員となったというだけで解雇が可能なわけではなく、
これが解雇権の行使として、
社会通念に沿う合理的なものであるかどうかの判断を要し、
その判断のためには、人員整理の必要性、人選の合理性、
解雇回避努力の履践、説明義務の履践などは
考慮要素として重要なものというべきである。
(大阪地裁 平成12年12月1日判決)

6 退職勧奨

使用者が労働者に対して
強制ではない退職の働きかけを行うことを
退職勧奨と言います。

使用者が「退職してはどうか?」と提案する行為であり、
俗に言う「肩たたき」です。

あくまでも会社側からの提案であり、
その提案には強制力がないことから、
退職勧奨自体には法的な規制はありません。

ただし、裁判例によれば、
被勧奨者の自由な意思決定を妨げる退職勧奨は、
退職を強要することにつながり、
違法な権利侵害に当たるとされる場合があります。

【裁判例】

ことさらに多数回、長期にわたる退職勧奨は、
いたずらに被勧奨者の不安感を増し、
不当に退職を強要する結果となる可能性が高く、
退職勧奨は、被勧奨者の家庭の状況、
名誉感情等に十分配慮すべきであり、
勧奨者の数、優遇措置の有無等を総合的に勘案し、
全体として被勧奨者の自由な意思決定が
妨げられる状況であった場合には、
当該退職勧奨行為は違法な権利侵害となる。
(最高裁第一小法廷 昭和55年7月10日判決)

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 2

解雇に関するルール、第2回です。

第1回では下記の2点を取り上げました。


今回は解雇の手続きに関する基本事項と
解雇事由について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変して、
皆様にご紹介致します。

3 解雇の手続

やむを得ず解雇を行う場合、
労働基準法にしたがって、
30 日前に予告を行うことや、
予告を行わない場合には
解雇予告手当を支払うことが必要です。

【法令】

解雇を行う場合には、解雇しようとする労働者に対して、

イ  少なくとも30日前に解雇の予告
   (予告の日数が30日に満たない場合には、
    その不足日数分の平均賃金を支払う必要があります。)
ロ 予告を行わない場合には、
   平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払いを
   しなければなりません。(労働基準法第20条)

参考:ハロ-ワークへの届出や通知

やむを得ず一定期間内に相当数の離職者が発生する場合
高年齢者・障害者・外国人を解雇する場合は、
ハローワークに届出や通知を行うことが必要です。
詳細は、こちらのパンフレットをご覧ください。

4 解雇事由

就業規則には「解雇の事由」を定めておくことが必要です。

【法令】

退職に関することは、労働条件の重要な事項です。
このため、定年制や解雇等の退職に関する事項については、
就業規則に定めておかなければなりません。
また、就業規則は、常時各作業場の見やすい場所に
掲示又は備え付けること、書面を交付すること等により、
労働者に周知しなければなりません。
(労働基準法第89条、第106条)

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18時3分までの労働。3分は切り捨ててよいか?

終業時刻が18時である場合、
ほんのちょっと残業して18時3分に業務終了、
というケース、よくありますよね。

よくあるパターンは

「うちの会社の労働時間管理は15分刻み」

等としているケース。
上記の事例ですと、18時14分までの労働は
18時までの労働とみなし、
18時15分〜18時29分までの労働は
18時15分までの労働とみなして、
残業代等を計算するというものです。

法的にはこのやり方はOUTです。
賃金には全額払いの法則というものがありまして、
働いた時間は「1分単位」で
支払うことが義務づけられています。

したがって、18時3分まで働いた場合、
3分についても労働時間としてカウントし、
法定労働時間を超えているのであれば、
割増賃金も支払う必要があります。

逆に、従業員有利にする分には構いません。
同じ15分単位の労働時間管理でも、切上げ処理をして、
18時3分の仕事に対して18時15分の労働とみなし、
15分の労働に対する賃金(場合によっては割増賃金)を
支払うのはOKです。

その他、認められている処理としては、
1ヶ月の労働時間を通算した合計時間について、
30分未満は切り捨て、30分以上は切り上げに
することは認められています。

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間違いがちな始業時刻前の残業の考え方

午前9時から午後6時までの勤務時間(途中1時間の休憩あり)の
会社があるとします。

こちらの会社の社員が午前8時に出勤して仕事をし始めました。
この場合、午前8時から始業時刻の9時までの1時間を
「早出残業」として処理すればよいでしょうか?

結論から申し上げると、そのように考えるのではありません。
1日の労働時間は、定められた就業時間に関わらず、
実際に出勤した時刻から起算します。
したがって、午前8時から勤務時間をカウントし始めますので、
午後5時から午後6時までの1時間が時間外労働となります。

なお、実際に勤務開始をした時刻から
勤務時間をカウントするという考え方は、
遅刻の際にも当てはまります。

上記の例でいえば1時間遅刻して10時勤務開始の場合、
19時までは時間外労働にはなりませんので
残業手当の支払い義務もありません。

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熱中症対策、大丈夫ですか?

徐々に日差しが強くなり、暑くなってきました。
今年の夏は暑い夏になるようです。

そんな中、厚生労働省が「熱中症を防ごう!」という
パンフレットを公表しました。

基本的には、下記のような取組みが有効のようです。

1 喉が渇いていなくても、水分・塩分をこまめに補給すること、
2 7日間程度かけて熱に体を慣らすこと、
3 涼しい格好をすること、
4 睡眠不足を避け、体調管理に気をつけること

ところで、昨今は「熱中症」という言葉がスタンダードですが、
子どもの頃は「日射病」あるいは「熱射病」と言ってませんでした?

ネットで調べてみたところ、

熱中症とは「高温の環境下での全身の障害の総称」だそうです。
この熱中症の中に「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」が含まれます。
そして、この熱射病のうち、太陽の熱が原因となっているもの」を
「日射病」と言うのだそうです。

不等号で表すと、下記のイメージです。

熱中症 > 熱射病 > 日射病

昨今は、エアコン等をつけずに部屋にいるお年寄りの方が
高温のサウナ状態になっていることに気づかず、
体調不良を訴えたり、重篤な症状を呈したりすることが
ニュースになるようになりました。

こうした場合は、「日射病」ではありませんけど、
熱中症には含まれるわけです。

というようなことから、
総称である熱中症の方が便利なので、
いつの間にやら熱中症という言葉を
報道機関で盛んに使うようになったようです。

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経営が苦しくなった時に思い出していただきたい解雇等に関するルール 1

経営が苦しくなると、最終的には
従業員の解雇を検討せざるを得なくなります。

ただ、解雇された従業員は、
次の日から生活の糧を得る手段を奪われますので、
生活が困窮する恐れがあります。

従業員も生活がかかっていますので、
解雇をする場合は、
従業員との間に重大なトラブルを抱える
可能性を秘めています。

そこで、企業としては、
トラブルを最小限にするためにも、
法的な観点で逸脱した行動をとらないように、
十分に気をつける必要があります。

特に、下記の法律等には十分配慮してください。

1 労働基準法
2 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
3 労働契約法 その他各種労働法
4 解雇・雇止め等に関する裁判例

さて、今回は解雇が禁止されている場合と
解雇の効力について、
厚生労働省発行のパンフレットを
若干ですが読みやすいように改変して、
皆様にご紹介致します。

1 解雇が禁止されているケース

一定の場合には、解雇が法律で禁止されています。

【法令】

法律で解雇が禁止されている主な場合として、
次のものがあります。

① 業務上の傷病による休業期間及びその後 30 日間の解雇
  (労働基準法第 19 条)
② 産前産後の休業期間及びその後 30 日間の解雇
  (労働基準法第 19条)
③ 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇
  (労働基準法第3条)
④ 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇
  (労働基準法第 104 条)
⑤ 労働組合の組合員であること等を理由とする解雇
  (労働組合法第7条)
⑥ 女性(男性)であること、女性の婚姻、妊娠、出産、
  産前産後休業等を理由とする解雇
  (男女雇用機会均等法第6条、第9条)
⑦ 育児・介護休業等の申出等をしたこと、
  育児・介護休業等を取得したことを理由とする解雇
  (育児・介護休業法第10 条、第 16条、第16 条の4、
   第 16条の7、第16 条の9、第 18条の2、
   第 20条の2、第23 条の2)
⑧ 通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者について、
  パートタイム労働者であることを理由とする解雇
  (パートタイム労働法第8条)
⑨ 公益通報をしたことを理由とする解雇
  (公益通報者保護法第3条)

2 解雇の効力

①  期間の定めのない労働契約の場合

権利の濫用に当たる解雇は、
労働契約法の規定により、無効となります

【法令】

客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当と認められない解雇は、
権利を濫用したものとして、無効となります。
(労働契約法第16条)

②  有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合

やむを得ない事由がある場合でなければ、
契約期間中に解雇することはできません。
期間の定めのない労働契約を結んでいる場合の解雇よりも、
解雇の有効性は厳しく判断されます。

【法令】

有期労働契約については、やむを得ない事由がある場合でなければ、
契約期間が満了するまでの間において、
解雇することはできません。
(労働契約法第17条第1項)

労働者派遣契約が中途解約された場合】

派遣元の使用者は、派遣先との間の労働者派遣契約が
中途解除された場合でも、
そのことが直ちに労働契約法第17条の
「やむを得ない事由」に該当するものでは
ないことに注意してください。

労働者派遣法第29条の2で、
派遣先の都合により派遣契約を解除する場合には、
派遣先は派遣労働者の新たな就業機会の確保、
休業手当等の支払に要する負担等の措置を
講じなければならない旨定められています。

また、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」で、
休業手当の支払等、労働者派遣契約の解除に伴い
生じた派遣元事業主の損害の賠償を
派遣先が行わなければならない旨が
定められていること等を踏まえ、
派遣元の使用者は、新たな就業機会の確保ができない場合でも、
休業等を行い、解雇は避けるようにしてください。

なお、企業側の都合で派遣労働者を休業させた場合には、
派遣元の使用者は、派遣労働者に対して
休業手当を支払うことが必要です。

なお、休業手当については、
コチラ(3 休業手当の支払)を御参照ください。

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