BLOG
- トップページ >
- BLOG
中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)
ブログ記事一覧
前漢時代、董仲舒(とうちゅうじょ)は
儒学を正統の学問として五経博士を設置することを、
当時の皇帝である武帝に献策しました。
五経博士とは、儒家の経典である五経(易経、書経、詩経、礼記・春秋)を
教学する中国古代の官職です。
武帝はこの献策を受け入れ、BC136年、五経博士を設けました。
少なくとも、この頃には易は単なる占い本ではなく、
人生哲学の書、帝王学の書とされていたのです。
そして、易経を含む五経について、
中国では598年(隋)から1905年(清)まで行われた官僚登用試験、
「科挙」の試験科目の一つとしていました。
ちなみに、日本には古墳時代の513年6月、
百済から五経博士である段楊爾(だんように)が来日しています。
易経は儒教を学ぶ上での教典の一つとして日本に輸入されたのです。
段楊爾の来日は日本が任那四県を
百済へ割譲したことに対する百済側の返礼でした。
当時、最高の知識を有する五経博士は領土にも匹敵する存在だったのです。
日本においても、易経を学ぶことは知識人として当然のことでした。
例えば江戸時代においても藩校(武士が通う学校)において
易経が教えられていました。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
易の三義
易には3つの原則があります。
一つ目の原則は「変わること」です。
分かりやすい例として、季節を取り上げます.
中国や日本には四季があります。
春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来ますね。
このように「変化する」ということが易の原則その1です。
二つ目の原則は「変化しないこと」です。
「えっ?今、変化することが原則って言ったばかりじゃない?」
と思われた方が大半かと存じますが、
変化しないというのは次のような意味です。
四季で言えば、「春→夏→秋→冬」と変化していきますが、
この後も「春夏秋冬⇒春夏秋冬⇒春夏秋冬」
というパターンが続きます。
決して「春→冬→夏→秋」等にはなりません。
ミクロな視点では「変化する」のですが、
その変化はある一定のパターンを繰り返しており、
マクロでな視点でみると「変化しない」ということなのです。
三つ目の原則は「分かりやすい」ということです。
四季の例でお分かりいただけるように、
日々変化している中に不変の法則が潜んでいます。
変化の中に不変の法則が潜んでいる他の例としては、
月の満ち欠け、潮の満ち引き等もあります。
実に明快。分かりやすいですね。
そして、こうしたことに気がつくと、
「今までがこうだったんだから、これからはこうなるんじゃないか?」
と予測が立てられるようになります。
以上3つの易の原則、これを「易の三義」とし、
それぞれ「変易(=変化する)」「不易(=変化しない)」
「簡易(or易簡)(=分かりやすい)」と呼んでいます。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
生理休暇を取得した者は賞与を減額してもよいか?
欠勤日数に生理休暇日数を加えた日数を出勤すべき日数から控除した、
実労働日数に応じた賞与額を計算することは労働基準法違反でしょうか?
結論から申し上げると、違反ではありません。
生理休暇については労働基準法第68条で次のように定めています。
――――――――――――――――――――――――――――――
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、
その者を生理日に就業させてはならない。
――――――――――――――――――――――――――――――
年次有給休暇のように「有給にしなければならない義務」はありませんので、
賃金を計算する際に、欠勤として扱っても問題ありません。
賞与額を算定する際の出勤率の計算にあたり、
生理休暇取得日数を欠勤扱いとすることも労働基準法違反とはなりません。
(昭和49年4月1日婦収第125号、
昭和63年3月14日基発第150号、婦発第47号)
また、賞与そのものではありませんが、
精皆勤手当の支給に当たり、
生理休暇を欠勤として扱うことは適法であるという判例もあります。
(昭和60年7月16日エヌ・ビー・シー工業事件)
以上により、賞与の額を算定する際に
出勤率の計算において、生理休暇日数を欠勤として取り扱うことは
労働基準法違反ではないと言えます。
ただし、こうした計算方法により
生理休暇を取りづらくしている面は否めません。
法の趣旨からは外れることになりますので、
生理休暇取得日を出勤したものとみなして計算する方が望ましいです。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
減給の制裁処分として「給与を3か月間1割削減」することはできるか?
ある社員が就業規則に違反し、減給処分をすることとなりました。
「3か月間、給与を1割減給する」等、
複数月に渡って減給処分を行うことはできるのでしょうか?
結論から申し上げますと、一つの事案について、
複数月に渡って減給処分を行うことはできません。
労働基準法第91条には次の定めがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、
その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、
総額が一賃金支払期における賃金の総額の
十分の一を超えてはならない。
―――――――――――――――――――――――――――――
「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え」てはならないというのは、
「一箇の事案に対しては減給の総額が平均賃金の
1日分の半額以内でなければならない」ことを意味しています。
(昭和23年9月20日基収第1789号)
たった1回の事案によって、多額の損害が会社に発生したとしても、
減給額は平均賃金の1日分の半額を超えることはできません。
また、その事案についての減給の制裁を数回に分けて行うとしても、
その合計額は、平均賃金の1日分の半額までです。
したがって、1つの事案について、
1割減給を3か月間継続することはできないということになります。
なお、従業員が業務上の重過失により
会社に損害を与えた場合、
従業員の重過失の行為と発生した損害との間の因果関係や
発生した損害額を会社側で証明することができれば、
従業員に対して損害賠償請求をすることも可能です。
減給の制裁額と、損害賠償は別問題として
切り離して考えるということです。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
五行の基本的なイメージ
この世の全てのものは、
「木火土金水」という五種類のエネルギー(気)が
巡り巡っているという、
中国の古い考え方を「五行説」と言います。
また、易から発生した「陰陽説」と統合させた考え方を
「陰陽五行説」と言います。
さて、五行説には、
木火土金水という五行の体(たい・姿形)と、
性(性質や働き)について論じた、
五行体性論という考え方があります。
森羅万象(体)はその姿形によって規定され、
森羅万象の性は、そのものの性質や働きによって
定義づけられるとされています。
以下、ご説明することは、
五行説の基本的なイメージとなります。
【木】
1 体(姿・形)
温かくて柔らかい体(温柔)
2 性(性質・働き)
曲がったりまっすぐになったりする性質(曲直)
3 一言で言うと・・・
真っ直ぐ伸びる素直さや、
障害があれば曲がって伸びる柔軟性を発揮しながら、
どんどん成長していこうとするエネルギー
【火】
1 体(姿・形)
明るく熱い体(明熱)
2 性(性質・働き)
燃え上がる性質(炎上)
3 一言で言うと・・・
明るく照らすことで智慧や勇気を生み出し、
進化を促すエネルギー
【土】
1 体(姿・形)
散らばっているものを収め、実のあるものを持つ体(含散・持実)
⇒森羅万象を受け容れ、エネルギーから実体を生み出す体
2 性(性質・働き)
作物を植えたり収穫したりする性質(稼穡(かしょく))
3 一言で言うと・・・
無(といってもエネルギーで充満した無)から有を生み出すエネルギー。
エネルギーや想念という目に見えないものを実体化させる。
【金】
1 体(姿・形)
凝り固まり、強い + 清らかで、冷たい体(強冷)
2 性(性質・働き)
柔らかで思うままに形を変える性質(従革)
3 一言で言うと・・・
今までの価値観や常識、物事の流れを一度分断し(殺し)、
新たな価値観や常識、物事の流れを生み出していくエネルギー
【水】
1 体(姿・形)
寒く、中身がない、からっぽ(空虚)の体(寒虚)
2 性(性質・働き)
湿った方に流れ、低地に向かって下る性質(潤下)
3 一言で言うと・・・
これまでの活動を停止させ、
次の活動に備えるための準備をする役割を持つ。
心の乾きを潤し、自ら卑俗な世界に身を投じて、
救いの手を差し伸べていくエネルギー
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
三六協定書を締結後、従業員数が急増。三六協定書は有効か?
社員数10名の会社で、労働者の過半数代表者と会社側で三六協定を締結し、
有効期間を1年間として、労働基準監督署に届け出ました。
数か月後、20名の従業員を雇用。
この時点で、かつての過半数代表者は
過半数の代表者ではなくなってしまいました。
このように三六協定を締結後、
過半数代表者が労働者の過半数を代表する人でなくなった場合、
改めて過半数代表者を選定し直し、
三六協定を再度締結・届出をしなければならないのでしょうか?
結論から申し上げると、その必要はありません。
三六協定締結当事者の要件として要求される
「事業場の労働者の過半数で組織する労働組合
または事業場の労働者の過半数を代表する者」
という要件は、三六協定が有効に成立するための要件であり、
有効に存続するための要件ではありません。
したがって、いったん三六協定が有効に成立すれば、
その三六協定は有効期間中は、その効力に影響は生じません。
なお、労働基準法は労働条件の最低基準を定めている法律です。
改めて過半数代表者を選定し直し、
三六協定を再度締結するに越したことはありません。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
易を占いから思想哲学に高めた人:孔子
『史記(孔子世家)』に『孔子、晩にして易を喜び、
葦編(いへん)三絶(さんぜつ)』とあること、
『論語』(述而篇)には「子曰く、我に数年を加(か)し、
五十にして以て易を学べば、
以て大過なかるべし」等とあることから、
孔子は易経の解説書を著述したとされています。
なお、孔子が著述したというのはあくまで伝説です。
解説書は全10冊。この10冊の解説書を「十翼」と言います。
★ 彖(たん)伝(上・下):卦辞の注釈
★ 象(しょう)伝(上・下):各卦の象形の意味についての短い解説と、その爻辞の注
★ 繋辞(けいじ)伝(上・下):易の成り立ち、易の思想等、易に関する包括的な説明
★ 文言(ぶんげん)伝:乾と坤についての詳しい解説
★ 説卦(せっか)伝:八卦の概念、森羅万象の分類のされ方を詳説
★ 序卦(じょか)伝:六十四卦の並び方の理由
★ 雑卦(ざっか)伝:占いにあたって卦象を読み解く際のヒント
これらの書物のうち、説卦(せっか)伝を読み込むと、
九性気学を学ぶ上で、大いに参考になります。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
前倒し付与した年次有給休暇はいつまで有効か?
労働基準法上では最初の年次有給休暇は
入社半年後に10日付与すればよいとされているところ、
一部前倒し、例えば、入社日に3日、
入社半年後に7日付与する会社があります。
この場合、入社日に付与した3日はいつまで有効なのでしょうか?
結論から申し上げると、付与された日から2年間有効です。
中には、入社半年後を起算日にして
2年後(3日付与された日から2年半後)
なのではないかと考える方もいらっしゃるようですが、
そうではございませんので、ご注意ください。
なお、このように10日間の年次有給休暇の一部を
前倒しして付与することを「分割付与」と言います。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
六十四卦の考案と易経本文の執筆者:文王・周公旦
文王は八卦を元に六十四卦を編み出し、
文王・周公旦で卦辞(各卦についての包括的な説明文章)と
爻辞(各卦を構成する六本の爻が示す意味を記した文章)を作ったとされています。
一般に占いのことを「卜筮(ぼくぜい)」と言います。
亀の腹甲や獣の肩甲骨の裏に小さな穴を堀り、
そこに焼け火ごてを突きあてると表面に割れ目が生じます。
その割れ目の形を見て吉凶を判断する占いを「卜(ぼく)」と言います。
殷(いん)(BC1600年頃〜BC1046年)の時代には、
盛んにこの方法で占われていました。
「卜(ぼく)」という漢字は、亀の甲を焼いて占った際、
その表面に生じた割れ目の形を描いたものです。
また、割れ目が生じる際の音が「ボクッ」という音であることから、
この漢字を「ボク」と読みます。
ちなみに、「占」という漢字は「卜+囗」を組み合わせてできています。
この囗は「くち」ではなく、ある物やある場所を示す記号です。
卜(うらない)によって、一つの物や場所を選び決めることを
「占」という漢字で表しました。
一方、周(BC1046年頃〜BC256年)の時代になると、
蓍(めどき)(蓍(めど)萩(はぎ))という
植物の茎50本を使った占いが主流となりました。
後に、蓍(めどき)の代わりに竹を使用するようになりました。
これを筮竹(ぜいちく)と言います。
私たちが想像しやすい易占いのイメージです。
ちなみに、筮(ぜい)という漢字は「竹+巫(みこ。うらない師)」。
筮竹(ぜいちく)で占って、迷いを断ち切り、きっぱりと思い切ることを
筮(ぜい)という漢字で表現していました。
この占い、当時は「周易(しゅうえき)」と言っていました。
他にも「連山(れんざん)」「帰蔵(きぞう)」という易占いがあり、
これら三つを「三易」と言います。
現在に至るまで伝わっているのは「周易」のみであり、
他の二つは時の経過とともに失われてしまいました。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
アルバイト就業規則を作成。意見を聴取する「労働者」は 誰にすればよいか?
全従業員のうち30%がアルバイトで構成されている会社が
アルバイト用の就業規則を作成することとなりました。
この場合、就業規則を作成・変更する際に意見を聴取する「労働者」は
誰にすればよいのでしょうか?
結論から申し上げると、全従業員の代表者です。
(アルバイトの代表者ではないということです。)
ここでいう全従業員の代表者については、
労働基準法第90条に詳しく記載されています。
――――――――――――――――――――――――――
使用者は、就業規則の作成または変更について、
当該事業場に、労働者の過半数で組織する
労働組合がある場合においてはその労働組合、
労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては
労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
――――――――――――――――――――――――――
物理的には「正社員用の就業規則」と「アルバイト用の就業規則」の
2冊に分かれていたとしても、
労働基準法上は、その2冊を合わせたものが
「当該事業場の就業規則」という取り扱いになります。
したがって、対象者がアルバイトだから
アルバイトの代表者から意見を聴取するという考えではなく、
あくまで就業規則の意見を聴取するのは
「全従業員の代表者」となります。
逆に言えば、「全従業員の代表者」は
正社員の代表、あるいは組合員の代表というよりも、
全従業員の代表であるという視点に立って、
意見を述べることが期待されています。
もっとも、アルバイトの代表者にも意見を聞くことは、
労務管理上望ましいことは言うまでもありません。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
07 子夏曰く、賢を賢として色に易え
【書き下し文】
子夏(しか)曰(いわ)く、賢(けん)を賢として色に易(か)え、
父母に事(つか)えて能(よ)く其(そ)の力を竭(つく)し、
君に事(つか)えて能(よ)く其(そ)の身を致(いた)し、
朋友(ほうゆう)と交わるに言(い)いて信あらば、
未(いま)だ学ばずと曰(い)うと雖(いえど)も、
吾(わ)れは必ずこれを学びたりと謂(い)わん。
【現代語訳】
子夏が次のように言いました。
「優れた人を優れた人として
美人を好むように慕い、
父母に対しては力を尽くして仕え、
リーダーに対しては身を捧げて仕え、
友人との交際では、話す言葉が誠実であれば、
誰かが『この人はまだ学問をしていない』と言ったとしても、
私は必ず、『この人は学問をしている人だ』と言うであろう。」
子夏は孔子の門人の一人です。孔子より44歳年下です。
子游とともに文学(=学問)に優れていた人です。
『礼記』に子夏に関するこんなエピソードがあります。
子夏の子どもが亡くなってしまった時のこと。
子夏はあまりの悲しみのために失明してしまったのだそうです。
曾子という、孔子の門人が子夏を見舞いに行きました。
自分の子どもを亡くして落ち込んでいる子夏は、次のように言いました。
「なぜ、私だけこんな不幸な目にに遭わなければならないのか」
この言葉を聞いて曾子は
「今までずっと妻子を放っておいたくせに、何を言っているんだ!」
と諭しました。
すると、子夏は「我(われ)、過(あやま)てり」と嘆いたのだそうです。
さて、本題です。
「学問」って何でしょうか?
現代語訳を読んで思うのは、
学問とは書物から学ぶものだという一般的な発想ではなく、
特に自分の周りの人に対して、
ちゃんとした行動・態度を取ることこそが本当の学問だ、ということです。
書物から学ぶ学問も大切ですが、
何のために書物から学ぶのか、と言えば、
日々の生活に役立てるためです。
書物から学ぶというのは、言ってみれば
日々の他人との交際の質を上げるための手段です。
逆に言えば、日々の他人との交際において
高い質を発揮しているのであれば、
十分学んでいると言えるのだ、と子夏は言っています。
自分より高い境地にいる人を慕い、そこから学ぼうとし、
自分が忠義を尽くすべき目上の人や
お世話になった人には誠心誠意尽くし、
誠実な交友関係を築くこと。
こうしたことが子夏にとっての
実践的な学問なのだということです。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
特定の月に限り給与の支払日を遅らせることはできるか?
毎月25日払いをしている会社があるとします。
資金繰りの関係で1月と6月に限り、月末払いにしたい場合は、
事前に従業員から同意を得ておけば問題ないでしょうか?
結論から申し上げると、例え従業員の同意を得たとしても、
あらかじめ定められた賃金支払日を
25日以外に変更することはできません。
賃金支払日を労使間で自由に決めることはできますが、
この場合であっても、毎月払いの原則や一定期日払いの原則
(労働基準法第24条第2項)に反することはできないためです。
次の判例が参考になります。
「たとえ各労働者が賃金の不払いを承諾していたとしても、
賃金の支払いは労働条件の中でも重要な条件であって、
使用者に対し労働者を保護するために
特に賃金支払い確保の目的から
労働基準法第24条が設けられたのであるから、
同条第1項但書及び第2項但書の場合の外、
所定の支払方法を変更することは
許されないものと解するを相当」
(昭和25年2月4日 大阪高裁判決 扶桑商運事件)
つまり、従業人の同意の有無に関係なく、
特定の月の給与支払日を遅らせることは違法なのです。
それでは、いっそのこと毎月の賃金支払を
25日から月末に変えるということではいかがでしょうか。
これについては労働条件の変更となりますが、
毎月払いの原則に反しない限り就業規則によって
自由に定めたり変更したりすることができます。
事前に労働基準法第90条による手続きに従って、
就業規則を変更する限り、
支払日が変更されても違法とはなりません。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
8月27日(月)、ワークライフバランス個別相談会開催!
「育児支援の制度はあるが、実態がともなっていない」
「親の介護をいつ迫られるか不安な世代の社員が多い」
「長時間勤務が常態となっているので、働き方を見直したい」
とお考えの中小企業経営者、人事担当者の方、
また、
「仕事と家庭との両立が難しい」
「残業が多く、自ら働き方を変えたい」など、
個人からワーク・ライフ・バランスを実践し拡げたいとお考えの方、
ワーク・ライフ・バランス推進にむけた、個別相談会を開催します!
当社の中野を含め5名体制で個別相談を承ります。
しかも、当日のご相談は無料!
ご興味・ご関心のある方はぜひお申し込みください。
なお、申込をされる場合は、
下記のパンフレットをダウンロードし、
申込用紙に必要事項を記載の上、FAXにてお申し込みください!
なお、開催日時等の詳細は次の通りです。
【開催日時】
第 1 回 8 月 27 日(月)10:00~16:00
第 2 回 11 月 22 日(木)10:00~16:00
第 3 回 2 月 21 日(木)10:00~16:00
※1回のみ、複数回の参加、いずれも可能です。
【定員】50名/各回(合計 150名) 無料
【場所】港勤労福祉会館 1階 第一洋室
【対象】
中小企業経営者/人事担当者/港区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定を
めざす企業の担当者/
ワーク・ライフ・バランス推進担当者/ワーク・ライフ・バランスにより
ご自身の働き方を変えたい方
八卦の考案者:伏羲(ふくぎ) その2
伏羲は数理を発見した人としても知られています。
数理の発見に当たっては、次の伝説が有名です。
------------------------------------------------------------
伏羲が予州(現在の河南省一帯)の
栄河の治水作業を行っていた時のこと。
河の中から頭は龍で体が馬の動物(龍馬と言います)が
南へ向かって飛び去りました。
龍馬の背中には旋毛(渦を巻くように生えている毛)が
文様のように並んでいました。
------------------------------------------------------------
この文様の図を「河図(かと)」と言います。
この「河図」より、北=1、南=2、東=3、西=4、中央=5とし、
それぞれに5を加えた数(6〜10)を合わせて数理と言います。
数理のうち、1〜5を生数(なますう)、
それぞれの生数に5を加えた6〜10を成数(なりすう)と言います。
これらの数は中国発祥の占いや思想面で頻繁に利用されています。
なお、生数、成数ともに本来は「せいすう」と読みますが、
これでは区別が出来ません。
そこで、「なますう」「なりすう」と読むのが一般的です。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■
口頭による退職願いの効力はあるか?
ある従業員が上司から叱責を受けたところ、
「それなら私は会社を辞めます!」と発言し、
そのまま帰宅し、会社に出勤しなくなりました。
その後、本人に連絡を取って確認したところ、
「会社は退職するが、退職願は提出しない。」と主張。
一方、就業規則には、退職に当たって
「退職の事由を記載した退職願を提出しなければならない。」
という条文があります。
この場合、会社としては退職扱いとしてよいのでしょうか?
結論から申し上げると、本人が会社を辞めたいと
明確に意思表示している場合には、
退職として処理しても構いません。
退職という判断は従業員にとって非常に重要な事柄です。
これを受けて、上記の就業規則の条文は
退職願は書面によるべきであり、
口頭による退職願は原則として認めないという趣旨と思われます。
「従業員が退職しようとするときは、
事由を詳細に記した退職願を提出し、
協会の承認を受けなければならない」
という就業規則の規定について、
裁判所が次のように判示しています。
「(この規定は)従業員が退職するに際し、
その時期、事由を明確にして、
使用者に善後措置を講じさせて
企業運営上、無用の混乱を避けるとともに、
他方、従業員が退職という雇用関係上
最も重大な意思表示をするに際しては、
これを慎重に考慮させ、
その意思表示をする以上はこれに疑義を残さないため、
退職に際してはその旨を書面に記して提出すべきものとして、
その意思表示を明確かつ決定的なものとし、
この雇用関係上、最も重要な法律行為に
紛糾を生じさせないようにするとともに、
書面による退職の申し出がない限り、
退職者として取り扱われないことを
保障した趣旨であると考えなければならない。」
(昭和38年9月30日 横浜地裁判決 全日本検数協会事件)
(就業規則の条文、判決文ともに読みやすいように一部改変)
判決文を読む限り、就業規則に「退職願の提出」が
義務づけられている規定は、
ある意味、従業員を守るためのものだと読み取れます。
ただ、その従業員が退職願を出さないからと言って、
退職を認めないというのも不合理な話ですので、
本人の退職意思が明確なのであれば、
口頭による退職の意思表示でもよいとする結論です。
なお、実務上、私どもが心配するのは、次の点です。
★今は『退職』と言っているけれど、
後日いきなり『辞めさせられた。不当解雇だ!』
等と言ってこないか?
言った・言わないの世界は極力避けた方が無難です。
状況にもよりますが、極力退職願を入手して、
本人の意思を客観的に証明できるようにした方が
無難であることは間違いありません。
□■□□■■□□□■■■□□□□■■■■□□□□□■■■■■□□□□□□■■■■■