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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)
ブログ記事一覧
給与明細書、大半の企業では「紙」で
渡していらっしゃるかと存じますが、
給与明細書をPDFファイルにしてデータで送ることはできるのでしょうか?
結論から申し上げると、特に問題ありません。
次のような通達が出ております。
―――――――――――――――――――――――――――――
使用者は、口座振込などの対象となっている個々の労働者に対し、
所定の賃金支払い日に、次に掲げる金額等を記載した
賃金の支払いに関する計算書を交付すること。
1 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額
2 源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料額等
賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額
3 口座振込等を行った金額
(平成10年9月10日基発530号、平成13年2月2日基発54号、
平成19年9月30日基発0930001号)
―――――――――――――――――――――――――――――
賃金の計算書(=給与明細書)については、
「書面による交付」までは求めていないことから、
上記の3点を満たしている計算書であれば、
データで渡しても構わないということになります。
もちろん、PDFでなく、メール本文に記載しても構いません。
(個別に入力するのは面倒なので、おススメはしませんが...)
なお、賃金計算書は従業員の個人情報に該当します。
送信時等のセキュリティー、誤送信などには十分お気をつけください。
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夜勤のアルバイトが有給休暇を取得した場合、賃金に深夜割増を加える義務があるか?
深夜勤務のアルバイトが有給休暇を取ることになりました。
有給取得日に支払う賃金については、
有給取得日に支払う賃金については、
深夜割増賃金(原則22時~翌朝5時)を加算する必要はあるのでしょうか?
深夜(22時~翌朝5時)にかぶっている深夜勤務の場合は、
深夜割増もつけて支払うことになります。
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1 有給取得日は実態として深夜に働くわけではない。
したがって、深夜割増はしなくてよい。
2 普段深夜割増してもらっているんだから、
有給休暇を取得する際も
深夜割増賃金を加算しなければならない。
答えは2。
有給休暇を取得した場合の賃金額は
答えは2。
有給休暇を取得した場合の賃金額は
次の3つの中から選ぶようになっています。
1 通常支払われる賃金
2 平均賃金
3 健康保険の標準報酬日額
ほとんどの会社では「1」を選択されています。
深夜勤務の方にとって通常支払われる賃金の中には、
深夜割増分も「通常支払われて」います。
従って、上記の設問についても
1 通常支払われる賃金
2 平均賃金
3 健康保険の標準報酬日額
ほとんどの会社では「1」を選択されています。
深夜勤務の方にとって通常支払われる賃金の中には、
深夜割増分も「通常支払われて」
従って、上記の設問についても
「通常支払う賃金を支払う」ことになっている会社であれば、
通常のシフトに入って入れば支払われていたであろう賃金を
支払うことになります。
なお、交代制勤務ということで、
ある日は朝勤務、別の日は昼勤務、さらに別の日は深夜勤務
といった具合に、日によって勤務時間が異なるケースの場合は、
有給休暇取得日がどのシフトに入っているかを見て、
支払う額を変えることになります。
通常のシフトに入って入れば支払われていたであろう賃金を
支払うことになります。
なお、交代制勤務ということで、
ある日は朝勤務、別の日は昼勤務、さらに別の日は深夜勤務
といった具合に、日によって勤務時間が異なるケースの場合は、
有給休暇取得日がどのシフトに入っているかを見て、
支払う額を変えることになります。
朝勤務や昼勤務でしたら、
深夜(22時~翌朝5時)にかぶっていないと思いますので、
通常の時給を支払えばよいことになります。
深夜(22時~翌朝5時)にかぶっていないと思いますので、
通常の時給を支払えばよいことになります。
深夜(22時~翌朝5時)にかぶっている深夜勤務の場合は、
深夜割増もつけて支払うことになります。
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子曰く、巧言令色、鮮なし仁。
【書き下し文】――――――――――――――――――――――――――
子曰く、巧言令色(こうげんれいしょく)、鮮(すく)なし仁(じん)。
――――――――――――――――――――――――――――――――
【現代語訳】―――――――――――――――――――――――――――
先生が次のように言いました。
「言葉が巧みで、うわべだけ愛想よくつくろうような人というのは、
仁の徳がほとんどない。」
――――――――――――――――――――――――――――――――
口先と表面的な愛想だけで相手と接するような人というのは、
行使が一番大切にしている徳目である「仁」が「少ない」と言っています。
「仁」が「ない」と言い切らなかったところに、
孔子の思いやりを感じますね。
表面的であるとはいえ、ひっくりかえせば
「表面的には(仁が)ある」ということだからでしょうか。
人間、年を取れば取るほど頑固になりやすいと聞いたことがあります。
頑固とは自分を変えないということです。
自分を変えるというのは、これまでの自分を否定することにつながりますから、
それだけで抵抗感があります。
また、今までの慣れ親しんだ思考や行動を変えることにつながりますから、
一言で言えば、「面倒」。
心の奥底では「人に対する思いやりって大切だよなー」と思っていても、
心の底からそれを徹底するとなると、抵抗感や面倒さが先に立ってしまい、
つい、表面的に取り繕って、その場をやり過ごしてしまいます。
これでは、仁の徳を身につけ、成長するチャンスをみすみす逃すことにつながり、
実にもったいないと思います。
仁の徳は孔子が「鮮(すく)なし」と言っているように、
「ある・ない」のどちらかではありません。
色で言えば、真っ黒から真っ白までの
グレーゾーンが果てしなく広がっているというイメージです。
ちょっとずつでもいいから自分中心の考えや、
自分ひとりだけの利益を得ようとする考えを捨て、
他人を思いやった発想をするとよいと思います。
これが積もり積もっていくと、真っ黒が濃いグレーに、
濃いグレーが薄いグレーになっていくのではないでしょうか。
自分と他人を切り離して考えずに、
自分は「右手」、他人は「左手」といった感覚を持つといいと思います。
(小さい自分である)右手と(相手の象徴である)左手を
たどっていくと同じ本体にたどり着く。
これが本当の私です。
右手と左手で「オレがオレが」とやったってしょうがないです。
右手も左手も、元をたどれば同じなんですから。
ガールズ居酒屋で労働基準法違反!
本日(平成24年6月13日)、横浜市内のあるガールズ居酒屋で、
店の経営者だった男ら4人が労働基準法違反の疑いで逮捕されました。
今年年1月から先月にかけて、経営していたガールズ居酒屋で、
16歳の女子高校生を含む18歳未満の少女4人を
下着姿や水着姿で働かせていたようです。
労働基準法第62条に【危険有害業務の就業制限】という条文があり、
その第2項には次のような規程があります。
――――――――――――――――――――――――――――
使用者は、満十八才に満たない者を、
(中略)福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。
――――――――――――――――――――――――――――
この労働基準法を補うものに「年少者労働基準規則」があります。
この規則の8条には次のような定めがあります。
(年少者の就業制限の業務の範囲)
第62条(中略)2項の規定により
満十八歳に満たない者を就かせてはならない業務は、
次の各号に掲げるものとする。(中略)
44 酒席に侍する業務
この「酒席に侍する」とはどういうことでしょうか?
厚生労働省労働基準局編『労働基準法』には次の定義がなされています。
酒席:客の飲食、歓談等の席で酒等のアルコール類が供されるものをいう。
侍する:酒席において一般に醸し出される慰安歓楽的雰囲気を
維持し盛り上げるため客の傍らまたは近くにいる状態をいう。
恐らくはこれらの条文に違反したとして、逮捕したのではないかと思われます。
なお、労働基準法62条違反の場合、
6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処するとされています。
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有子曰く、其の人と為りや、孝悌にして 上を犯すことを好む者は鮮なし。
【書き下し文】――――――――――――――――――――――――――
有子曰く、其(そ)の人と為(な)りや、孝悌(こうてい)にして
上(かみ)を犯(おか)すことを好む者は鮮(すく)なし。
上を犯すことを好まずして乱を作(な)すことを好む者は、
未(いま)だこれ有らざるなり。
君子は本(もと)を務(つと)む。
本(もと)立ちて道生(しょう)ず。
孝悌(こうてい)なる者は其(そ)れ仁(じん)の本(もと)たるか。
――――――――――――――――――――――――――――――――
【現代語訳】―――――――――――――――――――――――――――
有子が言った。
「父母によく仕え、兄や年長者によく仕えるような
人柄であるにもかかわらず、
目上に逆らうことを好むような人は少ない。
目上に逆らうことを好まないのに、乱れを起こすことを好む人はいない。
有徳の人というのは、根本のことに注力する。
根本がしっかりして、初めて歩むべき道がハッキリするからだ。
父母によく使える「孝」と、兄や年長者によく仕える「悌」が
「仁」の根本であろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――
孔子が一番大切にしていた概念は「仁」です。
「仁」とは、人への思いやり。
仏教では「慈悲」、キリスト教では「愛」と言われているものだと
私は解釈しています。
徳のある人は「本を務む」(根本のことに注力する)とあります。
「本」という漢字は「木」の下部に「一」という記号で印を加えたものです。
木の下と来れば、根っこです。
ここから、本当に大切なことを「根本(こんぽん)」というようになりました。
あるいは、これに「幹(みき)」を加えて、「根幹」とも言います。
「根本」「根幹」に対する反意語は「枝葉末節」です。
枝葉末節と言うと、取るに足りない小さなことというイメージが強いですが、
枝には枝の、葉には葉の大切な役割があります。
特に広葉樹の場合、秋が深まると葉が落ちます。
春や夏には必要だった葉の光合成機能が不要になるからです。
従って、枝葉というのは、
その時期やその場所で必要なものという解釈を私はしています。
A社に就職すれば、A社が扱う商品知識を学ぶ必要がありますし、
B社に転職すれば、A社の知識は不要となる代わり、
B社が扱う商品知識を学ぶ必要が生じます。これが枝葉。
しかし、社会人としての心構え、お客様への心配り等は、
どの会社に行っても通用するものです。これが根本、根幹です。
孔子が一番大切にしている「仁」。
仁という大樹を支えている根っこは
生み育ててくれている親や、兄や年長者に感謝の念を持って接し、
親兄弟のために尽くすことにあります。
人間が初めて経験する組織は家庭です。
この家庭の中で人間としての根っこをしっかり育てていくことが、
やがて社会に出た時に「仁」を発揮することができるようになるということです。
子曰く、学びて時にこれを習う、亦た説ばしからずや。
【書き下し文】――――――――――――――――――――――――――
子曰く、学びて時にこれを習う、亦(ま)た説(よろこ)ばしからずや。
朋(とも)あり、遠方より来たる、亦(ま)た楽しからずや。
人知らずして慍(うら)みず、亦(ま)た君子ならずや。
――――――――――――――――――――――――――――――――
【現代語訳】―――――――――――――――――――――――――――
先生が次のようにおっしゃいました。
「学んでは適当な時期にこれを復習する。なんと嬉しいことだろう。
友人が遠くからやってくる。なんと楽しいことだろう。
人が分かってくれなくとも気にかけない。なんと徳のある立派な人だろう。」
――――――――――――――――――――――――――――――――
学ぶ対象は様々ありますが、
人の根本的なあり方、道徳のように、
時代や洋の東西を問わず、不変の真理を学ぶことを「学」と言い、
その時代やその場所で必要な知識を「芸」と呼んでいました。
ここでは前者の「学」を学んだり、復習したりしているものと私は考えています。
人生のあり方、生きていく上で大切にしなければならない心構えというのは、
一回人に教わったからそれで身につく、というものではありません。
何度も自分なりに思いをめぐらし、思考を深めていくことで、
体にしみこんでいくものです。
こうした過程を通して理想的な生き方、
人としてのあり方を体現できるようになることは、
とても喜ばしいことです。
そして、同じ道を歩もうとしている同士が遠くからやってきて、
お互いに自分の考えを述べあい、学びあうというのは、
とても楽しいことです。
最後に、崇高な生き方を目指して日々研鑽を積んでいることを
他人が知らなくても、気にかけないという生き方は、
なかなかできないものです。
「オレはこんなにスゴイんだぞ!」という高慢さが生じることが多いからです。
そういう高慢さを心に抱くことなく、
ひたすら自分が歩もうとしている道を歩んでいく。
こういうことができる人が徳のある人です。
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男女雇用機会均等法のあらまし
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男女雇用機会均等法のポイントが網羅されていますので、
ご興味のある方はご覧ください。
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給与の振込先を一人1口座に限定できるか?
中小・ベンチャー企業の大半では、
従業員が指定する1ヶ所の振込先に給与を振り込んでいます。
ところが、従業員の中には
給与のうち10万円はA口座に振り込み、
残額をB口座に振り込んでほしいなどと希望する人もいます。
会社としては、こうした要望に応えていくことは、
振込手数料もかかりますし、労力もかかるので、
できれば一人1口座に限定したいと考えるケースが多いのではないでしょうか?
さて、このように、給与の振込先を一人1口座に限定することは
法的に問題ないのでしょうか。
結論から申し上げると、原則として問題はありません。
平成10年9月10日基発530号により、
次の通達が出ています。
―――――――――――――――――――――
取扱金融機関及び取扱証券会社は、
金融機関または証券会社の所在状況等からして
1行、1社に限定せず、複数とする等
労働者の便宜に十分配慮して定めること
―――――――――――――――――――――
これは、一人の従業員に対して、
複数の口座に分けて振り込むことを配慮するという意味ではなく、
会社が振込先を「必ず○○銀行の口座に振り込む」等と定めるのではなく、
従業員にとって複数の金融機関等の中から
振込先銀行を選べるように配慮してください、という意味です。
この程度の便宜を図ることは求められていますが、
複数の口座に分けて振り込めるようにしなさい、
とまでは求められておりません。
従って、給与の振込先を一人1口座に限定することは
特に問題ないという結論になります。
なお、賃金の口座振込については、
次の要件をすべて満たすことが求められています。
1 労働者の同意を得ること
2 労働者が指定する本人名義の口座に振り込むこと
(労働基準法施行規則第7条の2)
これらの要件に加え、
振り込まれた賃金の全額が
所定支払日に払い出せるようにしてください、等と
行政指導をしています。
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休日出勤に対する代休の取得が翌月となった場合の給与計算は?
ある会社の給与は月末締めです。月の途中に休日出勤を行い、
翌月に代休を取得することになっています。
この場合、賃金の支払いについてはどのように考えればよいでしょうか?
仮のこの休日が法定休日である場合、
休日出勤をしたのですから、1.35倍の賃金を支払わなければなりません。
ただし、従業員の意思に基づいて代休を付与したり、
代休の付与が制度として確立している場合は、
代休日の賃金(1.00倍)を1.35から差し引き、
結果として残る0.35部分の支払いをすればよいとなっています。
ただし、代休の取得が翌月となった場合は、
どのように考えればよいのでしょうか。
Aパターン 割増賃金を支払わない
まず考えられるのは、0.35部分を支払わないという選択です。
実態としては一番多いのですが、これは明らかに労働基準法違反となります。
ということで、おススメはできません。
Bパターン 0.35のみ支払う
0.35のみ支払うという選択は、
適法な取り扱いを目指している会社の中ではよくあるパターンですが、
厳密に言うと、これも法違反です。
労働基準法には「全額払いの法則」が掲げられており、
その賃金計算期間内に働いた分、
原則として全額を支払わなければならないからです。
とういことで、完ぺきに合法を目指すなら、次のCパターンとなります。
Cパターン いったん1.35倍全額を支払い、
代休取得月に1.00分を控除する
いったん1.35倍を支払い、代休を取得した月に
1.00分を控除するという選択です。
これであれば、全額払いの原則に抵触しません。
代休を取得した月に1.00分を控除するというのも、
ノーワークノーペイの原則からして妥当となります。
ただ、正直、このパターンで実務を運用している会社って、
大企業ならともかく、中小・ベンチャー企業では
ほとんど見たことがありません・・・。
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希少価値の高いキャリア作りのヒント
以前、職場の先輩から言われたことが「得意技を二つ持て」。
例えば社労士業界の場合、大半の社労士は
労働基準法等の労務に関するご相談対応を得意としています。
こんな環境下で、労働基準法一本で勝負しようと思っても
他の同業者との差別化がなかなか難しい。
社労士が労働基準法に強いというのは当たり前だからです。
ところが例えば、中には「英語が得意な社労士」がいたりします。
こうなってくると、とたんに希少価値が増してきます。
外資系の企業担当者に英語でやり取りができる社労士はそう滅多にいません。
他には「税理士 兼 社労士」という人もいます。
企業のお金のことと人のことの両方を
一通りアドバイスできるというのも、これまた強い。
また、当社のスタッフの一人は前職が農業・酪農です。
一般企業相手に農業の経験をそのまま活かすというのは
ひとひねり必要ですが、
今彼が注力しているのは、農家に向けた労務アドバイス。
農家と言っても家族経営しているところばかりではありません。
家族以外の人を従業員として雇用し、農業を営んでいるケースも多いのです。
こうした農家に対し、「農業・酪農の実務経験」と「労働法に詳しい」という
二つの武器で戦える社労士も滅多におりません。
得意技が一つですと、なかなか頭一つ抜け出るのは大変ですが、
一つ一つの得意技のレベルはほどほどでも、
それぞれの得意技を融合したサービスができるようになると、
高確率で希少価値が高まります。
ましてや、得意技が三つともなると、
その希少価値というか存在確率は非常に低くなります。
ただ、黙っていても得意技が作れるというわけにはいきません。
知らないことやできないことに好奇心を持って取り組む姿勢があって
はじめて第二、第三の得意技が身についていくのだと思います。
人間、死ぬまで勉強ということですね。
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有給休暇を前倒し付与した場合、翌年度の付与はどうなるか?
4月1日に入社の社員がいます。
有給休暇の付与日や付与日数について、労働基準法通りに運用した場合、
入社日の6か月経過日である10月1日に10日の有給休暇が付与されます。
ところでこちらの会社では8月に夏季休暇を予定しています。
8月第2週の月曜日から水曜日までの3日間が夏季休暇。
さらに、木曜日と金曜日は有給休暇の計画的付与により、お休み。
土日の休みを挟んで連続9日間の夏休みを取る会社なのです。
そこで、10月1日に付与予定である10日のうち、
2日間を前倒しして付与することで、対応をしようとする場合、
いつの時点で何日の有給休暇を付与すればよいのでしょうか?
この事例のように、有給休暇の一部を前倒しして付与することを
「分割付与」と言います。
8月に2日間分割付与するのですから、
10月1日は残りの8日間を付与することになります。
これで話がおしまいであれば簡単なんですが、
この分割付与は翌年度以降にも影響を与えます。
仮に分割付与した日が8月15日だとすると、
翌年度以降は8月15日が有休付与の基準日となるのです。
なお、分割付与を実施する場合は、
次の要件を満たす必要があります。
1 年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定において、
短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
2 次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、
初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じ
又はそれ以上の期間を法定の基準日より繰り上げること
これらを踏まえ、翌年度の基準日となる8月15日には
11日の有給休暇を付与することになります。
<翌年度の8月15日に2日間付与、
10月1日に9日間付与という運用について>
複数の労働基準監督署、都道府県労働局などに確認を取りましたが、
この運用については否定的な見解が多数を占めています。
否定的な見解の考え方は次の通りです。
1 分割付与は初年度に限り認められたものであり、
2年目以降に分割付与という概念はない。
2 あくまで基準日は最初に有給休暇を付与した日。
初年度に何日付与したかということには関係なく、
2年目の基準日には法で定めている有給休暇日数を
丸ごと付与しなければならない。
中には上記の運用も望ましくはないが法違反ではない、
という見解を示す人もいました。
また、インターネットで検索すると、
平成6年5月31日付基発330号を根拠に挙げて
上記の運用で構わないとする見解もあります。
白黒がバシッとついているわけではないようですが、
「君子危うきに近寄らず」で、
2年目以降も分割して付与する考え方は避けた方が無難かと存じます。
<実務上の対応方法>
さて、このような運用が待っているとなると、
正直、有給休暇の管理が煩雑になるかと存じます。
そこで、実務上は次のような対応をしているケースが多いです。
1 上記の例で言う夏休みの「2日間」は
労働基準法に定めている有給休暇の前倒しではなく、
会社独自の有給休暇として付与する。
→労基法上の有給休暇はあくまで10月1日に10日付与。
2 斉一的付与を活用する。
(全員一律の有休付与日を設けます。
ただし、付与日の設定に留意して、
法の要件を下回らないようご注意ください。)
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いきなり本採用したが3日後に即日解雇。解雇予告手当の支払い義務はあるか?
「この人の働きぶりはよく分かっているから」と、
試用期間を設けることなく、
Aさんをいきなり本採用したB社。
入社後、Aさんの仕事ぶりを見てみると、意外や意外。
期待していたほどの仕事ぶりが全く発揮されていません。
B社としては「こりゃダメだ」と、
Aさんの入社3日後に即日解雇を言い渡しました。
するとAさんは「即日解雇は分かりましたので、
解雇予告手当を支払ってください。」と主張。
これに対しA社としては、次のように考えています。
「労働基準法第21条にある、『解雇予告の適用除外』で定められている
『試みの使用期間』の期間内に該当し、
入社後14日以内の解雇であれば、
解雇予告手当の支払い義務はないはずだ」
さて、A社は解雇予告手当を支払う義務はあるのでしょうか?
なお、A社は就業規則等の規程類は作成しておりません。
結論から申し上げると、支払い義務が生じています。
試みの使用期間は、労働契約上の契約事項の一つです。
したがって、就業規則や雇用契約において
明確に定められている必要があります。
これらを定めずに直ちに本採用をした場合は、
労働基準法第21条の適用はなく、
採用後14日以内であっても解雇予告制度の適用があります。
試用期間を設けていない会社の社長さん、十分お気をつけください!
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女性のみに制服を支給すると男女雇用機会均等法に違反しないか?
同じ事務系の仕事なのに、男性は自分で選んだスーツ、
女性は会社指定の制服を着ることになっている会社ってありませんか?
これって男女雇用機会均等法には違反しないのでしょうか?
男女雇用機会均等法第6条において、
厚生労働省令で定める福利厚生の措置について、
性別を理由とした差別的取り扱いを禁止しています。
この「厚生労働省令で定める福利厚生の措置」は次の4つです。
(男女雇用機会均等法施行規則第1条)
1 生活資金、教育資金その他労働者の福祉の
増進のために行われる資金の貸付け
2 労働者の福祉の増進のために定期的に行われる金銭の給付
3 労働者の資産形成のために行われる金銭の給付
4 住宅の貸与
これらの中には「制服の支給」は含まれておりませんので、
法違反とは言えません。
ただ、男女雇用機会均等法は、
特定の性を排除したり、不利に扱うことはもちろん、
特定の性を対象とした措置や、
特定の性を有利に取り扱うことも原則として禁止しています。
こうしたことを認めてしまうと、
性別の違いによる職域の固定化や、
男女の仕事を分離することにつながってしまうからです。
こうした法の趣旨に照らすと、女性のみに制服を支給するということは
あまり好ましいこととは言えません。
男女ともに制服を支給する(あるいは支給しない)というようにしたり、
男女とも希望者のみに支給するなど、
男女で同一の取り扱いをすることが望ましいとされています。
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