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中野人事法務事務所中野 泰(なかの やすし)
ブログ記事一覧
休職発令により、従来配属されていた所属を離れ、
以後は単に会社に籍があるにとどまり、
会社に対して全く労働の義務が免除されることとなった従業員Aさん。
通常、休職中は会社からのお給料が出なくなります。
(プライベートのケガや病気が原因の休職の場合は、
健康保険から傷病手当金が支給されます。)
Aさんはお給料がほしくなり、一計を案じました。
「そうだ。有給休暇が溜まっているから、休職期間中に有給休暇を消化すれば、
その日は100%お給料が出るようになるのではないか?」
そこでAさんは会社に電話をし、「有給休暇として休みたいんですけど。」と伝えました。
会社としてはどのように対応すればよいのでしょうか。
結論から言えば、有給休暇を与える必要はありません。
有給休暇というのは労働の義務がある日について請求するものです。
休職中の期間は労働義務が免除されています。
労働義務がない日について有給休暇を請求する余地はありません。
したがって、このAさんのような人は有給休暇の請求権の行使ができないのです。
(昭和24年12月28日基発1456号、昭和31年2月13日基収489号より)
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休日出勤なのに1.35倍支払わなくてよい場合があるって本当?
休日出勤したから1.35倍の割増賃金が支払われると思っていたAさん。
ところが、給与明細を見ると、1.35倍どころか、
残業代すら払われていません。
これってもしかして未払い残業?
これだけの情報では何とも言えませんが、
少なくとも、休日出勤しているにもかかわらず、
割増賃金が支払われないケースというのは考えられます。
まず、1.35倍の割増賃金が支払われるのは、
休日の中でも、法定休日に出勤した場合です。
法定休日とは「原則的には週1回の休日、例外的に4週4日の休日」を指します。
例えば、土日が休日となっている会社の場合は、
就業規則に「土曜日(日曜日)を法定休日とする」と記載があれば、その日が法定休日です。
ただ、大半の企業には、このような指定はないと思われます。
その週(就業規則に定めがなければ日曜日~土曜日の一週間)で
土曜日出勤し、日曜日は休日として休んだ場合は、
日曜日が法定休日。
日曜日出勤し、土曜日は休日として休んだ場合は、
土曜日が法定休日。
日曜日も土曜日も休日出勤した場合は、
その1週間の最後の休日であった土曜日が法定休日となります。
したがって、法定休日さえ確保できていれば、
日常的な間隔では「休日出勤」でも、労働基準法的には休日出勤ではないのです。
したがって、1.35倍の給与を支払わなくてもよいということになります。
ただし、日常的な意味の休日出勤をした場合、
すでに平日だけで所定労働時間40時間を使い切っている場合は、
休日出勤をした瞬間に40時間オーバーとなり、
1.25倍の残業手当を支払う必要があります。
それでは、残業手当すら支払われないというケースはどういうケースでしょうか。
これはその会社の所定労働時間、または祝日がカギを握っています。
例えば、1日の所定労働時間が6時間の会社があるとします。
月曜日から金曜日までの合計所定労働時間は30時間。
この場合、8時間までなら残業手当を支払わなくて済みます。
なぜなら、1日の法定労働時間である8時間も越えていませんし、
1週の法定労働時間である40時間も越えていないからです。
また、仮にこちらの会社の1日の所定労働時間が8時間であっても、
たまたまその週に祝日があり、その日が休日であったとすれば、
平日4日×8時間=32時間しか働いていませんので、
休日に8時間まで働いていもらっても、残業手当の支払い義務はありません。
1日の法定労働時間である8時間も越えておりませんし、
1週の法定労働時間である40時間も越えていないからです。
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自社の従業員を休日にアルバイトさせることってできますか?
例えば、土日が休みの会社があるとします。
Aという部署が忙しく、人手が足りないので、
Bという部署のメンバーに声をかけて、
希望者には土日に「アルバイト」として働いてもらうことはできるのでしょうか?
1 雇用契約上の問題
雇う側の会社も、雇われる側の従業員も同一であるにもかかわらず、
平日は正社員として雇用契約を結び、
休日はアルバイトとして別個の雇用契約を結ぶというのは
理論的にはありえますが、
実態は一体のものとして取り扱うべきものです。
そうしなければ、どこの会社も休日は「アルバイト」扱いにすることで、
休日出勤が休日出勤でなくなってしまいます。
これでは労働基準法が骨抜きとなってしまい、法の趣旨に反してしまいますので、
認められないわけです。
さらに、労働時間は、事業場を異にする場合においても、
労働時間に関する規定の適用については通算するという定めがあります。
(労基法38条第1項)
したがって、仮に1日の所定労働時間が8時間の会社であれば、
平日5日分で週の法定労働時間40時間となりますので、
土日のどちらかに出勤した時点で1.25倍で計算することになりますし、
その日が法定休日であれば、1.35倍で計算することになります。
2 残業単価
昭和23年11月22日基発第1681号には次のような説明があります。
所定労働時間中に甲作業に従事し、
時間外に乙作業に従事したような場合には、
その時間外労働についての「通常の労働時間又は労働日の賃金」とは、
乙作業について定められている賃金である。
ここから、休日労働での作業に対して
普段の仕事とは別の賃金が割り振られている場合は、
休日労働の作業に見合った賃金を元にした残業単価で計算すればよいということになります。
まとめ
1 雇用契約上は、二つの雇用契約を走らせるのは無理がある。
2 労働時間は平日の業務と通算して計算しなければならず、
その上で、割増賃金が発生する場合は、割増賃金を支払わなければならない。
3 ただし、残業単価はその作業に見合った賃金が設定されている場合は、
その賃金を元にして計算して構わない。
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残業手当は支払わないと従業員と約束したら残業手当は支払わなくてもよいか?
ある会社では「残業手当は基本給に含まれているため、
別途の支払いは行わないことを合意する」という労使協定書を締結しています。
何時間残業しようとも、この労使協定書を根拠に残業手当を支払わないということなのですが、
この労使協定書は有効なのでしょうか?
労働基準法37条第1項には次の定めがあります。
使用者が、(中略)労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、
その時間又はその日の労働については、
通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内で
それぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(後略)
この規定は強行規定です。
この条文を覆すような約束事を従業員と結んでも、法律の方が優先されます。
したがって、このような労使協定を締結したとしても、
この労使協定は無効です。
会社は残業手当を別途支払わなければいけません。
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振替休日をさらに振り替えることはできるか?
休日出勤日の前に、あらかじめ代わりの休日を決めておき、
休日と労働日を振り替えることを「休日の振替」と言います。
これにより、振替により勤務日となった日(本来は休日であった日)に勤務しても、
休日労働とはならなくなる効果が発生します。
さて、この振替休日制度により、本来労働日である日を休日にした場合で、
その休日に出勤を命じざるを得ない事情が生じたとします。
この場合、振替休日を再度振替することはできるのでしょうか?
結論から申し上げますと、法令上は特に問題ありません。
4週4日の休日が確保され、就業規則等の根拠に基づき
事前に振替日を特定明示して行う限り、
特に再度の振替はできないという法令上の規制がないためです。
(ただし、就業規則で再度の振替はできないとする旨の条文がある場合は、
再度の振替はできない可能性が高くなります。)
ただ、実質的に休日を取ることが先延ばしになっていますので、
好ましいことではないことは言うまでもありません。
なお、休日の振替を行うことで、
振替により勤務した日や、その週の労働時間が法定労働時間を超える時は、
時間外労働の割増賃金の支払い義務が発生します。
ご注意ください。
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遅刻した人が残業した場合の割増賃金は?
ある社員が1時間遅刻して出勤してきました。
この人が1時間残業をした場合、
その1時間について割増賃金を支払う義務はあるのでしょうか?
結論から申し上げますと、割増賃金の支払い義務はありません。
時間外労働に対する割増賃金の支払い義務が発生するのは、
法定の実労働時間を超えて労働させた場合です。
実労働時間というのは、実際に働いた時間のことを言います。
この社員の場合、実労働時間が8時間です。
法定労働時間である1日8時間を超えておりませんので、
割増賃金の支払い義務は原則としてありません。
ただし、就業規則等で「終業時刻を超えて働いた時間に対して割増賃金を支払う」等と
記載している場合、支払い義務が発生することがございます。
気になる方は自社の就業規則の文章をご確認ください。
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過半数代表者を選ぶ際の注意ポイントは?
時間外労働や休日出勤の可能性がある職場の場合は、
時間外労働・休日労働に関する協定(通称、三六協定)を
締結しなければなりません。
このように、会社で定めるルールのうち、
重要なルール(労働条件)については就業規則で定めるだけでは足りず、
経営者側と働く側の間で協定を手活けすることが求められています。
協定の当事者は次の通りです。
<従業員の過半数で組織する労働組合がある場合>
会社と労働組合
<従業員の過半数で組織する労働組合がない場合>
会社と従業員の過半数を代表する者(以下、過半数代表者と言います)日本の企業の多くは、後者の場合に該当しておりますので、
後者の場合の注意ポイントを採り上げます。
<協定の締結単位>
事業所単位です。
例えば、本社の他、A支店、B支店がある会社があるとします。
どの事業所でも時間外労働をすることが前提であれば、
それぞれの事業所を管轄する労働基準監督署に三六協定届を届け出ることになります。
<過半数代表者の人数>
各事業所で選出します。
例えば、本社の他、A支店、B支店がある会社があるとします。
どの事業所でも時間外労働をすることが前提であれば、
事業所別に過半数代表者を選任することになります。
(この場合ですと、3名選任することになります。)
<過半数代表者の選出手続き 1 >
法に基づく労使協定の締結当事者、
就業規則の作成・変更の際に
会社から意見を聴取される者等を
選出することを明らかにして
投票、挙手、労働者の話し合い、持ち回り決議など、
従業員の過半数がその人を支持していることが
明確になる民主的な手続きを行うことになっています。
<過半数代表者の選出手続き 2 >
過半数代表者を選ぶ側の従業員には、
下記の方も含めます。
1 労働基準法上の管理監督者
2 病欠、出張、休職期間中の者のように
協定締結当日出勤していない人や
協定期間中に出勤が全く予想されてない人
<過半数代表者の要件>
次の全ての要件を満たす人であることが要件です。
1 労働基準法第41条第2号に規定する
監督または管理の地位にある人でないこと
(労働基準法上の管理監督者ではないこと)
2 法に基づく労使協定の締結当事者、就業規則の作成・変更の際に
会社から意見を聴取される者等を
選出することを明らかにして実施される
投票、挙手等の方法による手続きにより選出された人であり、
会社の意向によって選出された人ではないこと
なお、その事業所には労働基準法上の管理監督者しかおらず、
上記「1」の要件を満たすことができない場合は、
「2」の要件を満たせば問題ありません。
(この場合、労働基準法上の管理監督者の中から選出することになります。)
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年俸制は残業代が高くつく!?
例えば、年俸700万円の非管理職の人(=残業手当の支払い対象者)がいて、
A社では年俸を次のように配分しているとします。
毎月の給与:月額50万円(50万円×12ヶ月=600万円)
夏季賞与:50万円
冬季賞与:50万円
要は、年俸を14で割り、月額の給与は年俸の14分の1ずつ支給し、
残った14分の2を夏・冬の賞与として14分の1ずつ支給するということです。
このようにした場合、普通、月額50万円から残業単価をはじき出すのでは、と思いがちですが、
そうではありません。
今回の例のように、最初から賞与の額が確定している場合は、
賞与の額も含めて、「年俸700万円÷12=583,333円」から
残業単価を出すことになっているのです。
仮に1か月の所定労働時間が173.5時間だとすると、残業単価は次の通りとなります。
月額500,000円の場合:500,000円÷173.5時間=2,882円
月額583,333円の場合:583,333円÷173.5時間=3,362円
その差ナント480円。これに1.25倍したり残業時間をかけたりしたら、相当な差になります。
一方、年俸600万円、その他業績賞与あり」等として、賞与の額を確定させなければ、
賞与の額を残業単価に組み入れる必要はなくなります。
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法内残業と三六協定の締結の必要性について
ある企業では、就業規則に実労働時間を1週38時間と定めています。
こちらの企業では原則として残業や休日出勤は発生しないものの、
1週38時間を超えて、法定労働時間(40時間)まで労働時間を延長することがあるそうです。
この場合、三六協定の締結の必要はあるのでしょうか?
結論から申し上げると、各日の労働時間が8時間を超えない限り、締結の必要はありません。
三六協定書は法定労働時間を超えて働いてもらう場合や、
休日に働いてもらう場合に締結するものであり、
休日に働いてもらうことがなく、残業といっても法定労働時間以内に収まるのであれば、
締結の必要はありません。
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休日は暦日を指している?連続24時間あればよい?
休日は何時から何時までなのか、という点に関する原則と例外を解説します。
<原 則>
休日とは暦日を指し、午前0時から午後12時までの休業のことです。
(昭和23年4月5日 基発535号)
<例外1> ~交代制~
番方編成(「早番、中番、遅番」等)による交代制における「休日」については、
下記の双方に該当する場合に限り、継続24時間を与えれば差支えありません。
1 番方編成による交代制によることが就業規則等により定められており、
制度として運用されていること
2 各番方の交代が規則的に差sダメられているものであり、
シフト表等によりその都度設定されるものではないこと
逆に言えば、上記2点の片方しか条件を満たさない場合や、
双方の条件ともに満たさない場合は、
番方編成による交代制であっても、原則通り、暦日で休日を捉えます。
<例外2> ~旅館業~
旅館業に勤めるフロント係、調理係、仲番、客室係の従業員を対象者とし、
次のすべての要件を満たすと、二暦日にまたがる休日を認めることとしています。
1 正午から翌日の正午までの24時間を含む継続30時間の休息期間が確保されていること
ただし、この休息期間は、当分の間に限り、正午から翌日正午までの24時間を含む
継続27時間以上であっても差し支えありません。
2 休日を二暦日にまたがる休日という形で与えることがある旨
及びその時間帯があらかじめ従業員に明示されていること
また、次の3点について守られていない場合は、行政指導の対象となります。
1 各従業員の1年間における法定休日数のうち、少なくとも2分の1は暦日によって与えること
2 休日は前月末までにシフト表などにより具体的な期日、
二暦日にまたがる休日という形によって与えるかどうか等を明らかにして
従業員に通知するものとし、
これを変更する場合には遅くとも前日までに従業員に通知すること
3 各従業員について、1年間に法定充実数を含め60日以上の休日を確保すること
(昭和57年6月30日基発446号)
(昭和63年3月14日基発150号)
(平成11年3月31日基発168号)
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休憩時間中に全員でラジオ体操。これは労働時間?
お昼の休憩が12時から1時間ある会社。
昼食と言っても1時間丸々かかるわけではないので、
1時の業務再開5分前に、みんなでラジオ体操をしてから仕事をしようじゃないかと、
社長さんが言い出しました。
このラジオ体操は休憩の一環であり、労働時間としてカウントしなくて大丈夫でしょうか?
やりたい人だけがやるのならいいのですが、強制してしまうと労働時間となります。
休憩には
①勤務時間の途中に
②一斉に与え
③自由利用させなければならない
という、三原則があります。(労働基準法第34条)
今回の事例では③の「自由利用」に抵触してしまうのです。
労働基準法第34条に「自由利用」を謳った経緯が面白いですよ。
戦時中の就業規則には、休憩時間中に会社が定めるところに従い、
体操を行うべき旨を規定するものが多かったという事情があったそうです。
それでは従業員の疲労を回復させることにはならず、
従業員を自由に休息させることが最も適当だと考え、
「自由利用」の規定が置かれたのだそうです。
社長さんからすれば「みんなの健康のために」「みんなの疲労回復のために」と
よかれと思ってのことなのでしょうが、
従業員にはその思いは届かず、法も禁止しているのです。
仮にこの会社が実働8時間の会社ですと、
休憩時間が5分短くなり、その5分が労働時間に回りましたので、
実働8時間5分となります。
こうなると、5分の時間外労働に対する残業手当の支払という問題も生じます。
よかれと思っていることが受け入れられないばかりか、残業手当まで支払うのか...。
社長さんにとっては厳しい話ですね。
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お昼休み中、お弁当を食べている社員に電話番をさせてもよいか?
労働基準法では休憩について、次のように定められています。
「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、
8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を
労働時間の途中に与えなければならない。」
所定労働時間が8時間の場合、間違いなく残業がない場合は、45分の休憩でいいのですが、
通常の会社は残業が発生する可能性(=労働時間が8時間を超える可能性)を考慮し、
1時間の休憩を与えているケースが大半です。
さて、この休憩時間、よくありがちなのは12時から13時までの1時間に設定するというパターンです。
昼食時に合わせて休憩時間を設定しているわけです。。
全員が外食に行くと、会社に誰もいなくなってしまいます。
でも、もしかしたらお客様や取引先からお電話があるかもしれません。
ということで、誰かに電話番をお願いすることになります。
お弁当を持ってきているスタッフに、
「もし電話が鳴ったら出てくれる?」と指示を出して食事に行く社長。
この場合、電話番をしながらお弁当を食べるスタッフは休憩を取ったことになるのでしょうか。
答えは「休憩を取ったことにはなりません」。
労働基準法によると、休憩時間は従業員の事由に利用させないといけないことになっています。
電話が鳴ろうが鳴るまいが、電話番をしている以上、
このスタッフは外出ができなくなってしまいます。
これでは休憩時間を自由に利用させているとは言えなくなるんですね。
この場合、休憩ではなく、労働時間としてとらえることになります。
私のお客様の会社の中には
お昼休み中の電話番を(労働基準法上の)管理職が担当することにしている会社があります。
管理職は休憩の条文が適用されないからです。
その他、休憩を交代で取らせている会社もあります。
会社によっては留守電に切り替えるところもあるようです。
皆様の会社では、何か工夫をされていますか?
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8時間勤務なら休憩時間は45分でよいか?
労働基準法第34条には休憩時間について次のように定めています。
1 6時間を超える場合は最低45分の休憩を与えること
2 8時間を超える場合は最低1時間の休憩を与えること
「超える」というのは法律用語でして、その直前に記載されている数字を含みません。
したがって、6時間ピッタリで業務が終了する場合は、
6時間を超えていないので、休憩を与える義務はありません。
同様に、8時間ピッタリで業務が終了する場合は、
8時間を超えていないので、休憩は45分でよいのです。
ただ、ここで問題が。
所定労働時間が8時間の従業員に対して、15分の残業を命じたとします。
こうなると、この日の従業員は8時間15分働きますから、
8時間を超えてしまうのです。
したがって、この日は1時間の休憩を取らせなければなりません。
残業がある日は1時間、残業がない日は45分の休憩を与えればよいのですが、
正直、面倒です。
そんなことから、ほとんどの会社では1時間の休憩を与えることで、
残業が発生しても休憩時間で労働基準法違反とならないよう、配慮しています。
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企画業務型裁量労働制導入に際しての労使委員会での決議事項は?
企画業務型裁量労働制導入に際しての労使委員会での決議事項は以下の通りです。
1 対象となる業務の具体的な範囲
対象業務については具体的な範囲を労使委員会で決議しなければなりません。
(例:本社において企業全体の経営状態・経営環境等について調査及び分析を行い、
経営に関する計画を策定する業務)
その要件として、以下の4つがあります。
1 業務が所属する事業場の事業の運営に関するものであること
例えば、対象事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼすもの、
事業場独自の事業戦略に関するものなど、
対象業務の該当性の有無(○×)は次の通りです。
例1 本社で企業全体の事業戦略の策定を行っている →○
例2 本社で個別の営業活動を行っている →×
例3 事業本部で特定の製品についての企業全体の事業戦略の策定を行っている →○
例4 関東支社で関東支社および関東地域の各支社を統括した事業戦略の策定を行っている →○
例5 茨城支店で個別の営業活動を行っている →×
例6 千葉支店のみの事業戦略の策定を行っている →○
例7 埼玉工場で特定の製品についての海外における事業戦略の策定を行っている →○
例8 埼玉工場で個別の製造作業やその工程管理を行っている →×
2 企画、立案、調査及び分析の業務であること
3 業務遂行の方法を大幅に従業員の裁量にゆだねる必要があると、
「業務の性質に照らして客観的に判断される」業務であること
「業務の性質に照らして客観的に判断される」業務であること
4 企画・立案・調査・分析という相互に関連しあう作業を、
いつ、どのように行うか等についての
広範な裁量が従業員に認められている業務であることいつ、どのように行うか等についての
以上の要件のすべてを満たした業務が対象業務となります。
したがって、一定の職務経験年数以上で職能資格が一定以上の
従業員全てが該当するわけではありません。
なお、対象業務となりえる業務やなりえない業務の例については、
こちらのサイトをご覧ください。
2 対象従業員の具体的な範囲
対象従業員は、「対象業務に状態として従事していることが原則」です。
また、客観的にみて、「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等」がない従業員、
例えば4年制大学を卒業した新卒で職務経験がない従業員は、対象従業員と決議しても、
企画業務型裁量労働制の効果は生じません。
こうした従業員は、少なくとも3~5年の職務経験を経た上で、
初めて「対象業務を適切に遂行するための知識・経験等」がある従業員として
認められることになります。
この辺り、実際は新卒でもまれに「学生起業」等の経験があり、
ちょっとした中堅社員よりよっぽど見識等があるケースもありますが、
いかんせん、役所の判断基準ですので、認められずらいかと存じます。
3 労働したものとみなす時間
労働したものとみなす時間は、労働時間として算定される時間です。
その際、1週間単位や1ヶ月単位の時間を決議することはできません。
実際のみなし労働時間の決め方については、
法令で「このような水準で決めるべき」という規定は盛り込まれていませんが、
割増賃金節約だけのために短めのみなし労働時間を定めることは、制度の趣旨に反しています。
このため、決議する際に、労使委員会の委員は、
会社側から評価制度・賃金制度に関する説明を十分に受けて、
対象業務の内容を理解した上で、
みなし労働時間が適切な水準のものとなるよう決議するように注意してください。
4 健康・福祉の確保措置の具体的内容
会社は、対象労働者の健康及び福祉を確保するため、
下記の2点について決議する必要があります。
申し出の窓口、取り扱う苦情の範囲等、措置の具体的内容を
1 対象従業員の勤務状況を把握する方法を具体的に定めること
2 把握した勤務状況に応じ、どういう状況の対象従業員に対し、
いかなる健康・福祉確保措置をどのように講ずるかを明確にすること
勤務状況の把握方法については、
通常の労働時間管理と同様の管理までは求められていませんが、
出退勤時刻のチェック等によって、
従業員がいかなる時間帯にどの程度の時間在社していたのかの
状況を把握する方法で明確に定めることが必要です。
<健康・福祉確保措置の例>
1 把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に応じて、
代償休日または特別な休暇を付与すること
2 把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に応じて、
健康診断を実施すること
3 働き過ぎ防止の観点から、年次有給休暇について
まとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること
4 心と体の健康問題についての相談窓口を設置すること
5 働きすぎによる健康障害防止の観点から、
必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、
または対象従業員に産業医等による保健指導を受けさせること
6 把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に配慮し、
必要な場合には適切な部署に配置転換をすること
また、上記と合わせて次の事項についても決議することが望まれます。
1 会社が対象となる従業員の勤務状況を把握する際、併せて健康状況を把握すること
2 会社が把握した対象従業員の勤務状況及びその健康状態に応じて、
対象従業員への企画業務型裁量労働制の適用について必要な見直しを行うこと
3 会社が対象となる従業員の自己啓発のための特別の休暇の付与等
能力開発を促進する措置を講ずること
5 従業員からの苦情処理のため実施する措置の具体的内容
決議で定めることが求められています。
具体的には、企画業務型裁量労働制に関しては、業績評価制度や目標管理制度、
これに基づく報酬制度などが導入されている場合には、
評価制度や報酬制度に付随する苦情が多く寄せられることが予想されます。
そこで、これらに関する苦情についても、
苦情処理の対象に含めるように措置することが適当であると
行政では指導をしています。
既に企業内に苦情処理システムをお持ちの企業については、
例えば、そのようなシステムで企画業務型裁量労働制に関する苦情処理を
合わせて行うことを対象従業員に周知するというように、
実態に応じて機能するよう配慮することが求められます。
6 本制度の運用について従業員本人の同意を得なければならないこと及び
不同意の従業員に対し不利益取り扱いをしてはならないこと
次の事項についても決議することが望まれます。
1 企画業務型裁量労働制の概要、企画業務型裁量労働制の適用を
受けることに同意した場合に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容
並びに同意しなかった場合の配置及び処遇について、
会社が従業員に明示してその従業員の同意を得ることとすること
2 企画業務型裁量労働制の適用を受けることについての従業員の同意の手続き
(書面によること等)
3 対象となる従業員から同意を撤回することを認めることとする場合には、その要件及び手続き
7 決議の有効期間
3年以内とすることが望ましいとされています。
また、委員の半数以上から決議の変更等のための労使委員会の開催の申し出があった場合は、
決議の有効期間の中途であっても決議の変更等のための
調査審議を行うものとすることとされています。
8 企画業務型裁量労働制の実施状況にかかる従業員ごとの記録を保存すること
決議の有効期間中及びその満了後3年間が保存期間です。
なお、以上挙げた8項目以外にも、会社が対象となる従業員に適用される
評価制度及びこれに対応する賃金制度を変更しようとする場合にあっては、
労使委員会に対し事前に変更内容の説明をするものとすることを盛り込むよう、
行政は指導しています。
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企画業務型裁量労働制の対象業務となる事例、ならない事例
企画業務型裁量労働制の対象業務となる事例、ならない事例は次の通りです。
<経営企画 対象業務となりえる業務例>
★ 経営状態・経営環境等について調査及び分析を行いあ、経営に関する計画を策定する業務
★ 現行の社内組織の問題点やその在り方について調査及び分析を行い、
新たな社内組織を編成する業務
<経営企画 対象業務となりえない業務例>
★ 経営に関する会議の庶務等の業務
<人事労務 対象業務となりえる業務例>
★ 現行の人事制度の問題点やそのあり方等について調査及び分析を行い、
新たな人事制度を策定する業務
★ 業務の内容やその遂行のために必要とされる能力等について調査及び分析を行い、
社員の教育・研修計画を策定する業務<人事労務 対象業務となりえない業務例>
<財務・経理 対象業務となりえる業務例>
<財務・経理 対象業務となりえない業務例>
<広報 対象業務となりえない業務例>
★ 金銭の出納、財務諸表・会計帳簿の作成及び保管、租税の申告及び納付、
予算・決算にかかる計算等の業務<広報 対象業務となりえる業務例>
★ 効果的な広報手法等について調査及び分析を行い、広報を企画・立案する業務
★ 広報誌の原稿の校正等の業務
<営業企画 対象業務となりえる業務例>
★ 営業成績や営業活動上の問題点等について調査及び分析を行い、
企業全体の営業方針や取り扱う商品ごとの全社的な営業に関する計画を策定する業務
★ 個別の営業活動の業務
<生産企画 対象業務となりえる業務例>
★ 生産効率や原材料にかかる市場の動向等について調査及び分析を行い、
原材料の調達計画も含めて全社的な生産計画を策定する業務★ 個別の製造等の作業、物品の買い付け等の業務
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